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第23話 夜襲
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手早く入浴と食事を済ませた三人は、リビングにフトンを並べた。
「二人とも、今日は疲れたろ。寝ていいぞ。俺が起きてるから」
「そんな! 無理です! とても眠れません!」
「そうだよ! リオのせいでこんなことになってるんだからさ! 眠ってなんかいられないよ!」
「リオちゃん!? あなたのせいじゃないってさっき言ったでしょ!?」
「そうだった! ゴメン! クソ領主のせいだ!」
「その通りです! 悪いのはクソ領主です!」
「今夜は眠らないぞ~! 徹夜で警戒だ~!」
「その意気ですよ!」
深夜でテンション高めの二人だったが、一時間後には...
「「 スピ~...zzz 」」
仲良く寝息を立てていた。
「おやすみ...」
ユウが二人の掛けフトンを直している時だった。窓の外から複数人の足音と話し声が聞こえた。
「来たな.. 」
ユウはそっと窓から外の様子を伺った。
「おい、爺さん。本当にこっちで合ってんのかよ?」
「あぁ、間違いないはずじゃ」
「獣人のガキ連れてるっての確かなのか?」
「儂を疑うのか!? あの娘は妙な被り物をずっと被っておったんじゃぞ!? あれは獣の耳を隠すために違いないわい! 儂の目は誤魔化せんわ!」
やっぱりバレていたようだ。ユウは歯噛みする。誤魔化せると思ったが、逆に疑いの目を向けられることになってしまったようだ。判断が甘かったと後悔する。
「分かった、分かったって。信じるって。ったく、年寄りは気難しくていけねぇ...」
「なんか言ったか!?」
「いや? なにも? うぉっ!? な、なんだこれ!?」
「建物!? 小屋!? 家か! ? なんだってこんな所に!?」
「こんな家、見たことないぞ...」
「確かに...変わった造りだな...」
「ここじゃ! ヤツらはここにおる! 間違いないぞ!」
「なんで分かるんだよ?」
「ヤツらは王都から来たと言っておった! きっとこの家は魔法で造ったんじゃ!」
当たらずとも遠からずと言ったところか。
「中々鋭い爺さんだな」
ユウは独りごちた。
「ほれ、とっとと突入せんか! 夜が明けてしまうわい!」
「分かったよ。それじゃ早速...うぽっ!? な、なんだこれ!? 透明な膜みたいなのがあって先に進めないぞ!?」
「なんじゃと!? おい、お前ら、裏に回れ!」
「...ダメだ! こっちも入れない!」
「手分けして探せ! どこかに入口があるはずだ!」
探したってある訳ない。ユウは心の中で「お疲れさん」と囁いていた。
「どこにもないぞ! これじゃあ中に入れない!」
「くそぉ! お宝を目の前にして~! ん? 待てよ? 誰か、スコップを持って来ておらんか?」
「鍬なら持って来てるぞ? 武器代わりに」
「それでいい! 土を掘るんじゃ! 土の中までは膜も届いておらんじゃろ!」
「なるほど! その手があったか!」
それを聞いてユウはマズいと思った。確かに土の中まではバリヤもカバー仕切れていないだろう。穴を掘って隙間が出来たら、そこから中に入られる。どうする? まずはリオとアリィを起こすか? だがその後どうする? どうやって逃げる? ユウが判断に迷っていると、
「だ、ダメだ! 土の中まで膜が張ってある!」
「な、なんじゃと~!」
いやどんだけ高性能なんだこのバリヤ。ユウは他人事のようにそう思っていた。
「二人とも、今日は疲れたろ。寝ていいぞ。俺が起きてるから」
「そんな! 無理です! とても眠れません!」
「そうだよ! リオのせいでこんなことになってるんだからさ! 眠ってなんかいられないよ!」
「リオちゃん!? あなたのせいじゃないってさっき言ったでしょ!?」
「そうだった! ゴメン! クソ領主のせいだ!」
「その通りです! 悪いのはクソ領主です!」
「今夜は眠らないぞ~! 徹夜で警戒だ~!」
「その意気ですよ!」
深夜でテンション高めの二人だったが、一時間後には...
「「 スピ~...zzz 」」
仲良く寝息を立てていた。
「おやすみ...」
ユウが二人の掛けフトンを直している時だった。窓の外から複数人の足音と話し声が聞こえた。
「来たな.. 」
ユウはそっと窓から外の様子を伺った。
「おい、爺さん。本当にこっちで合ってんのかよ?」
「あぁ、間違いないはずじゃ」
「獣人のガキ連れてるっての確かなのか?」
「儂を疑うのか!? あの娘は妙な被り物をずっと被っておったんじゃぞ!? あれは獣の耳を隠すために違いないわい! 儂の目は誤魔化せんわ!」
やっぱりバレていたようだ。ユウは歯噛みする。誤魔化せると思ったが、逆に疑いの目を向けられることになってしまったようだ。判断が甘かったと後悔する。
「分かった、分かったって。信じるって。ったく、年寄りは気難しくていけねぇ...」
「なんか言ったか!?」
「いや? なにも? うぉっ!? な、なんだこれ!?」
「建物!? 小屋!? 家か! ? なんだってこんな所に!?」
「こんな家、見たことないぞ...」
「確かに...変わった造りだな...」
「ここじゃ! ヤツらはここにおる! 間違いないぞ!」
「なんで分かるんだよ?」
「ヤツらは王都から来たと言っておった! きっとこの家は魔法で造ったんじゃ!」
当たらずとも遠からずと言ったところか。
「中々鋭い爺さんだな」
ユウは独りごちた。
「ほれ、とっとと突入せんか! 夜が明けてしまうわい!」
「分かったよ。それじゃ早速...うぽっ!? な、なんだこれ!? 透明な膜みたいなのがあって先に進めないぞ!?」
「なんじゃと!? おい、お前ら、裏に回れ!」
「...ダメだ! こっちも入れない!」
「手分けして探せ! どこかに入口があるはずだ!」
探したってある訳ない。ユウは心の中で「お疲れさん」と囁いていた。
「どこにもないぞ! これじゃあ中に入れない!」
「くそぉ! お宝を目の前にして~! ん? 待てよ? 誰か、スコップを持って来ておらんか?」
「鍬なら持って来てるぞ? 武器代わりに」
「それでいい! 土を掘るんじゃ! 土の中までは膜も届いておらんじゃろ!」
「なるほど! その手があったか!」
それを聞いてユウはマズいと思った。確かに土の中まではバリヤもカバー仕切れていないだろう。穴を掘って隙間が出来たら、そこから中に入られる。どうする? まずはリオとアリィを起こすか? だがその後どうする? どうやって逃げる? ユウが判断に迷っていると、
「だ、ダメだ! 土の中まで膜が張ってある!」
「な、なんじゃと~!」
いやどんだけ高性能なんだこのバリヤ。ユウは他人事のようにそう思っていた。
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