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「お嬢様、学園の制服が届きました」
部屋に戻るとシンシアが衣装ケースを開けていた。
「あぁ、そろそろ届く頃だと思ったわ。早速、試着してみましょうか。シンシア、手伝ってくれる?」
「分かりました」
色合いはカーキ色のブレザーに黒のチェック柄のスカート。デザインはシンプルながら気品漂う作りになっている。
これは小説『悪役令嬢は二度と死ぬ』の扉絵に描かれていたものと全く同じだった。だから私としては、既視感を覚えずにはいられない。
「お嬢様、まるで誂えたかのようにピッタリですね」
「そうね。良い仕事してるわ。肌触りも心地好いし、生地も良いものを使ってるみたいね」
私は制服を着てクルリと一回転してみた。うん、どこにも違和感が無い。
「キツい所とかございませんか?」
「大丈夫。ちょうど良い按配よ」
「それはよござんした。えぇと...女子の場合はこの制服に合わせて、胸元にフリルの付いた白いシャツを、男子の場合は白いシャツに藍色のネクタイを締めるみたいですね」
シンシアは、衣装ケースの中に入っていた説明書を読みながらそう言った。
「なるほどね。ちなみに男子の制服も同じ色合いなの?」
「そうみたいです。スカートがスラックスに変わりますけど、それ以外は基本同じデザインみたいですね」
うん、これも小説の通りだ。私がいくらストーリーをねじ曲げようとも、デザインその他は変更されないってことだね。
「ありがとう、シンシア。それじゃ来月の入学式までしっかり保管しといてね?」
「分かりました」
私が制服を脱ごうとした時だった。
「お姉様ぁ~♪ 見てくださいこれぇ~♪ とっても可愛い制服ですぅ~♪」
マルガリータがノックもせずいきなり部屋に入って来たかと思えば、その場でクルクルと回り出した。
「お姉様とお揃いなんて最高ですぅ~♪」
よっぽど嬉しいのか、マルガリータはいつまでもクルクルと回り続けている。良く目が回らないもんだと感心していると、
「だからお嬢様! そんなにはしゃいだらダメですってば! さっきからパンツ丸見えじゃないですか! そもそもスカート丈が短か過ぎなんですよ!」
カレンが慌てて後を追って来た。
「えぇ~! だってだってだってぇ~! 短い方が可愛いじゃないのよぉ~!」
「ダメです! 娼婦じゃないんだから! そんなに足を見せるなんて論外です! ほら、行きますよ!...すいません、お騒がせしました...」
マルガリータは、カレンに引き摺られるようにして部屋を出て行った。
「...まるで嵐のようでしたね...」
「全くね」
呆れたような顔のシンシアに、私も苦笑するしかなかった。確かにマルガリータのスカート丈は『お前は現代日本のJKかよ! 』って思うくらいに短かったな。
部屋に戻るとシンシアが衣装ケースを開けていた。
「あぁ、そろそろ届く頃だと思ったわ。早速、試着してみましょうか。シンシア、手伝ってくれる?」
「分かりました」
色合いはカーキ色のブレザーに黒のチェック柄のスカート。デザインはシンプルながら気品漂う作りになっている。
これは小説『悪役令嬢は二度と死ぬ』の扉絵に描かれていたものと全く同じだった。だから私としては、既視感を覚えずにはいられない。
「お嬢様、まるで誂えたかのようにピッタリですね」
「そうね。良い仕事してるわ。肌触りも心地好いし、生地も良いものを使ってるみたいね」
私は制服を着てクルリと一回転してみた。うん、どこにも違和感が無い。
「キツい所とかございませんか?」
「大丈夫。ちょうど良い按配よ」
「それはよござんした。えぇと...女子の場合はこの制服に合わせて、胸元にフリルの付いた白いシャツを、男子の場合は白いシャツに藍色のネクタイを締めるみたいですね」
シンシアは、衣装ケースの中に入っていた説明書を読みながらそう言った。
「なるほどね。ちなみに男子の制服も同じ色合いなの?」
「そうみたいです。スカートがスラックスに変わりますけど、それ以外は基本同じデザインみたいですね」
うん、これも小説の通りだ。私がいくらストーリーをねじ曲げようとも、デザインその他は変更されないってことだね。
「ありがとう、シンシア。それじゃ来月の入学式までしっかり保管しといてね?」
「分かりました」
私が制服を脱ごうとした時だった。
「お姉様ぁ~♪ 見てくださいこれぇ~♪ とっても可愛い制服ですぅ~♪」
マルガリータがノックもせずいきなり部屋に入って来たかと思えば、その場でクルクルと回り出した。
「お姉様とお揃いなんて最高ですぅ~♪」
よっぽど嬉しいのか、マルガリータはいつまでもクルクルと回り続けている。良く目が回らないもんだと感心していると、
「だからお嬢様! そんなにはしゃいだらダメですってば! さっきからパンツ丸見えじゃないですか! そもそもスカート丈が短か過ぎなんですよ!」
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「ダメです! 娼婦じゃないんだから! そんなに足を見せるなんて論外です! ほら、行きますよ!...すいません、お騒がせしました...」
マルガリータは、カレンに引き摺られるようにして部屋を出て行った。
「...まるで嵐のようでしたね...」
「全くね」
呆れたような顔のシンシアに、私も苦笑するしかなかった。確かにマルガリータのスカート丈は『お前は現代日本のJKかよ! 』って思うくらいに短かったな。
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