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「やぁ、リーチェ。今日も精が出るね?」

「ご機嫌よう、アレク様」

 次の日、いつものように図書室で勉強している私の元に、これまたいつものようにアレクサンドル王子が訪ねて来た。そう、これはいつものように繰り返される光景のはずなのだが...

 アレク様とお会いするのは、私とラインハルトとのキスシーンを見られた時以来となる。なので、私的にはちょっと居心地が悪かったりする。

「あれからどう?」

「えぇ、お陰様でラインハルトとは正式に婚約をする運びとなりました」

「それは良かった。おめでとう」

「ありがとうございます」

「公式発表はいつ?」

「それなんですが、両親と相談した結果、アレク様とマルガリータとの婚約発表と同時に行おうという話になりましてね」

「あぁ、なるほど」

「それでアレク様にお聞きしたかったんですが、いつ頃発表されるお積もりでしょうか?」

「うん、僕の方も母親と相談したんだけど、各派閥間の調整やら根回しやら諸々が済んでから発表しようかって段取りになった。大体の目処は立ったんで、遅くとも来月の王立学園の入学式までには発表できると思うよ?」

 なるほど。王族が一度婚約を結ぶとなると、各方面に影響を与えることになるから、そういった調整やら根回しが必要になってくるってことなんだろうね。なんだか大変そう。

「分かりました。では私達もタイミングを合わせます」

「婚約発表に入学式と。来月はお互い忙しくなりそうだね」

「えぇ、今の内から準備しておかないとですね」

「僕達もそうしておこう。ちなみに今日、リータは?」

「今日はウチの母親とお茶会の練習をしていますよ?」

 応接間で二人っきりでね。

「あぁ、これからは社交の場にも出なきゃいけないから、そういった予行演習は必須だよね」

「どうです? アレク様も飛び入り参加されてみては?」

「う~ん...いや、止めとくよ。邪魔しちゃ悪いし」

「邪魔なんてそんな...」

「あ、お茶会と言えば...聞いたよ、リーチェ。公爵夫人の大立ち回り。いやぁ、その場で見たかったなぁ。さぞや痛快だったことだろうなぁ」

「えっ!? もうアレク様のお耳に入ったんですか!?」

 いくらなんでも早過ぎない!? 起きたの昨日だよ!?

「あぁ、なにせクリスのヤツが興奮しながら、身振り手振り交えて臨場感たっぷりに熱く語ってくれたからね。その場に居られたヤツが羨ましかったよ」

「えっ!? クリスって!?」

 誰だよそれ!?

「オールトン侯爵家のクリスティンだよ。お茶会で一緒だったろ?」
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