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自室に戻った私は手紙を認めた。宛先は領地に居るラインハルト宛だ。内容はたった一言、
『会いたい...』
とだけ書いた。
これを読んだラインハルトは、恐らく矢も盾も堪らず飛んで帰って来ることだろう。セバスチャンに渡そうと思って呼ぼうと思っていたら、
「失礼致します、お嬢様。旦那様方がお戻りになられました」
「そう、ありがとう。今行くわ。あぁ、セバスチャン。この手紙を出して貰える?」
「畏まりました」
セバスチャンが部屋を出て行こうとする前に、勢い良くドアが開いて父親と母親が飛び込んで来た。
『リーチェ! 無事!?』
見事にハモッた両親の姿を見た私は、どれだけ心配を掛けたのか、またどれだけ愛されているのかを実感できた気がして、なんとなくホッコリとした気持ちになった。
「落ち着いてください、お父様、お母様。順を追って説明しますので」
◇◇◇
「フハハハッ! なんとまぁ、それはさぞかし痛快だったことだろうな! 是非ともこの目で見たかったもんだよ!」
「えぇ、本当に! ゲス野郎はいい様ね! あぁ、その場に居たかったわぁ~!」
私の話を聞き終えた両親は、二人揃って見逃したことを悔やんでいた。
「いやぁ、これなら閣議で元老院のジジイ共の退屈で長い話を、眠気に耐えながら黙って聞いてた甲斐があるってもんだよ...」
父親が遠い目をした。その姿がありありと目蓋に浮かぶようだ。
「私も似たようなもんね...側妃様の話ったらとにかく要領を得ないことばっかりでウンザリしたもの...やれ『これから長い付き合いになるから仲良くしよう』だの『私のことは親戚だと思っていいのよ?』だの、抽象的で曖昧な表現しかしなかったのよね...リーチェの話を聞いて全て納得したわ...」
なるほど。どうやら側妃様は私が断るだなんて微塵も思ってなかったらしいな。私がジークフリート王子の愛人になることを前提として話していたようだ。
まぁ実際のところ、断るもなにもなかった訳なんだけどね。アレクサンドル王子が全て引き受けてくれたから。結局、私は一言も喋ってないしね。
それもこれもみんな、今現在の私に婚約者が居ないからつけ込まれた訳であり、もしかしたら今後も同じような目に遭うかも知れない。であるなら、解決策は一つしか無いだろう。私も覚悟を決めるしかない。
「そこでお父様とお母様にお願いがあります」
私は居住いを正してから両親に向き直った。そして自分を落ち着かせるためにフッと息を吐いてから、
「ラインハルトと結婚させてください」
朗々とそう告白した。
『会いたい...』
とだけ書いた。
これを読んだラインハルトは、恐らく矢も盾も堪らず飛んで帰って来ることだろう。セバスチャンに渡そうと思って呼ぼうと思っていたら、
「失礼致します、お嬢様。旦那様方がお戻りになられました」
「そう、ありがとう。今行くわ。あぁ、セバスチャン。この手紙を出して貰える?」
「畏まりました」
セバスチャンが部屋を出て行こうとする前に、勢い良くドアが開いて父親と母親が飛び込んで来た。
『リーチェ! 無事!?』
見事にハモッた両親の姿を見た私は、どれだけ心配を掛けたのか、またどれだけ愛されているのかを実感できた気がして、なんとなくホッコリとした気持ちになった。
「落ち着いてください、お父様、お母様。順を追って説明しますので」
◇◇◇
「フハハハッ! なんとまぁ、それはさぞかし痛快だったことだろうな! 是非ともこの目で見たかったもんだよ!」
「えぇ、本当に! ゲス野郎はいい様ね! あぁ、その場に居たかったわぁ~!」
私の話を聞き終えた両親は、二人揃って見逃したことを悔やんでいた。
「いやぁ、これなら閣議で元老院のジジイ共の退屈で長い話を、眠気に耐えながら黙って聞いてた甲斐があるってもんだよ...」
父親が遠い目をした。その姿がありありと目蓋に浮かぶようだ。
「私も似たようなもんね...側妃様の話ったらとにかく要領を得ないことばっかりでウンザリしたもの...やれ『これから長い付き合いになるから仲良くしよう』だの『私のことは親戚だと思っていいのよ?』だの、抽象的で曖昧な表現しかしなかったのよね...リーチェの話を聞いて全て納得したわ...」
なるほど。どうやら側妃様は私が断るだなんて微塵も思ってなかったらしいな。私がジークフリート王子の愛人になることを前提として話していたようだ。
まぁ実際のところ、断るもなにもなかった訳なんだけどね。アレクサンドル王子が全て引き受けてくれたから。結局、私は一言も喋ってないしね。
それもこれもみんな、今現在の私に婚約者が居ないからつけ込まれた訳であり、もしかしたら今後も同じような目に遭うかも知れない。であるなら、解決策は一つしか無いだろう。私も覚悟を決めるしかない。
「そこでお父様とお母様にお願いがあります」
私は居住いを正してから両親に向き直った。そして自分を落ち着かせるためにフッと息を吐いてから、
「ラインハルトと結婚させてください」
朗々とそう告白した。
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