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「もしかしたら、そんなお兄さんに目を付けられるのがイヤで、わざと手を抜いて目立たないようにしてるとか?」
「あぁ、確かにその可能性は考えられるな。もっとも、本人に聞いてみなけりゃ本当のところは分からないが」
「そうですね」
聞いても本音を聞かせてくれるかどうか分かんないけどね。
「リーチェ、実を言うとね? 今現在、王宮の内部でも意見が割れてたりするんだよ」
「意見?」
「第一王子と第二王子、どちらが次の王位に相応しいか? っていうね。それは一重に、第一王子が評価を下げていることが原因だったりするんだ」
「なるほど...つまり第二王子の評価が上がったんじゃなくて、第一王子が勝手に評価を下げたから相対的に見れば拮抗しているような状態になってるって訳ですね?」
「そういうことになるな」
私はちょっと考え込んだ。これまでのアレクサンドル王子の言動と、現在の状況を見比べてみると、辻褄の合わない点が多々あるように思う。
「ねぇ、お父様。アレクサンドル王子殿下は本当に王位を狙っているんでしょうか?」
「それどういう意味だい?」
「いえね、王妃様がご自分の息子を王位に就けたいって気持ちはイヤっていうほど伝わって来るんですよ。それこそずっと私に執着してた時なんかは特に。でもね、今思い返してみると、アレクサンドル王子殿下ご本人からはそういった感じがあんまり伝わって来なかったんですよね」
なにせ初対面の時にハッキリ言われたからね。王妃に言われたから私の所に来たって。
その後、領地にまで追い掛けて来られた時は辟易したもんだったけど、今思うとあれも王妃に言われたから仕方なく来てただけかも知れないよね。
「つまり必ずしもご本人の意志じゃなく、あくまでも王妃様の意志に従っているだけの行動に過ぎないかも知れないと?」
「えぇ、そう考えるとしっくり来ません? だってご本人が本当に王位をお望みなら、猫を被る必要なんてどこにもないじゃないですか? 周りの評価を下げるだけでなんのメリットもないんですから」
「確かにそうだな...」
「お兄さんと本気で王位を争う気なら、目を付けられるのがイヤだなんて言ってる場合じゃないと思いますし、逆にお兄さんの評価を下げるくらいの気概を持たないとダメだとも思います」
そう、今のアレクサンドル王子ってなんか中途半端に見えてしまうんだよね。どっち付かずというか態度がハッキリしないというか。
やっぱりここは一度本人に本音を聞いてみるしかないかも知れないよね。はぐらかされるかも知れないけどさ。
「あぁ、確かにその可能性は考えられるな。もっとも、本人に聞いてみなけりゃ本当のところは分からないが」
「そうですね」
聞いても本音を聞かせてくれるかどうか分かんないけどね。
「リーチェ、実を言うとね? 今現在、王宮の内部でも意見が割れてたりするんだよ」
「意見?」
「第一王子と第二王子、どちらが次の王位に相応しいか? っていうね。それは一重に、第一王子が評価を下げていることが原因だったりするんだ」
「なるほど...つまり第二王子の評価が上がったんじゃなくて、第一王子が勝手に評価を下げたから相対的に見れば拮抗しているような状態になってるって訳ですね?」
「そういうことになるな」
私はちょっと考え込んだ。これまでのアレクサンドル王子の言動と、現在の状況を見比べてみると、辻褄の合わない点が多々あるように思う。
「ねぇ、お父様。アレクサンドル王子殿下は本当に王位を狙っているんでしょうか?」
「それどういう意味だい?」
「いえね、王妃様がご自分の息子を王位に就けたいって気持ちはイヤっていうほど伝わって来るんですよ。それこそずっと私に執着してた時なんかは特に。でもね、今思い返してみると、アレクサンドル王子殿下ご本人からはそういった感じがあんまり伝わって来なかったんですよね」
なにせ初対面の時にハッキリ言われたからね。王妃に言われたから私の所に来たって。
その後、領地にまで追い掛けて来られた時は辟易したもんだったけど、今思うとあれも王妃に言われたから仕方なく来てただけかも知れないよね。
「つまり必ずしもご本人の意志じゃなく、あくまでも王妃様の意志に従っているだけの行動に過ぎないかも知れないと?」
「えぇ、そう考えるとしっくり来ません? だってご本人が本当に王位をお望みなら、猫を被る必要なんてどこにもないじゃないですか? 周りの評価を下げるだけでなんのメリットもないんですから」
「確かにそうだな...」
「お兄さんと本気で王位を争う気なら、目を付けられるのがイヤだなんて言ってる場合じゃないと思いますし、逆にお兄さんの評価を下げるくらいの気概を持たないとダメだとも思います」
そう、今のアレクサンドル王子ってなんか中途半端に見えてしまうんだよね。どっち付かずというか態度がハッキリしないというか。
やっぱりここは一度本人に本音を聞いてみるしかないかも知れないよね。はぐらかされるかも知れないけどさ。
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