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「お嬢様、おふざけが過ぎますよ?」

 マルガリータが部屋を出て行った後、シンシアのお説教が始まった。

「ごめんごめん、ちょっと調子に乗った」

 私もその自覚はあったから素直に謝った。

「まぁでもさ、確かにふざけてするような話じゃないけど、あんまり重苦しくし過ぎるするのもどうかな? って思ってね」

 マルガリータが少しでもリラックス出来るようにっていう私なりの配慮ってことで。

「それはまぁ...」

「あぁ、そうだ。シンシア、カルロスさんがこっちに着いたらウチに泊めるつもりだから。部屋の準備をお願いね?」

「えっ!? どうしてって!?...あ、そういう意味ですか」

 さすがはシンシア。自己完結しよった。

「そう、ラインハルトが例の隣国の商人に話を付けてくれるにしても、向こうの都合の良い日がいつになるか分からないからね。もしかしたら時間が掛かるかも知れない。その間はウチに泊まって貰って、久し振りに家族水入らずで過ごして欲しいって思った訳よ」

「理解はしましたが...公爵家の屋敷に泊まるとなると、恐らくカルロスさんは緊張してしまってゆっくり休めないと思いますよ?」

「あ、それもそっか。だったら近くに宿を取って、マルガリータを泊まりに行かせた方がいいかな?」

「えぇ、その方が良いと思います」

「じゃあシンシア、町で一番良いホテルの一番良い部屋を予約だけしといてくれる?」

「その辺は抜かりありません。急な来客にも対応できるように、公爵家名義で常に一部屋抑えておくようにしてますから」

「さすがシンシアね」

 公爵家の使用人は伊達じゃないってことだよね。


◇◇◇


 夕方になってラインハルトが戻って来た。

「お姉様、例の商人と連絡が付きました」

「ご苦労様。向こうはなんて?」

「明日まで商談の予定が入っているから、明後日以降ならいつでも良いとのことです」

「なるほど...シンシア、カルロスさんへの連絡は早馬便にしてくれたのよね?」

「はい、もちろんです」

「だったらもう連絡は受け取った頃ね。向こうを発つのが明日として...」

 コルツ村から王都までは早馬便なら半日弱、馬車なら丸一日掛かる距離だ。カルロスさんが馬に乗れるのかどうか知らないが、さすがに馬を飛ばしてまで駆け付けたりはしないだろうと思う。

「明後日だとちょっとバタバタしそうね。ラインハルト、お会いするのは明明後日にしたいと連絡してくれる?」

「分かりました」

「シンシア、マルガリータにもそう伝えておいて?」

「畏まりました」
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