転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「話は良く分かったわ...」

「お分かり頂けましたか」

 シンシアはあからさまにホッとした様子だが残念! 私は理解はしたけど納得した訳じゃないんだよ!

「でも...それでも私はあなたとラインハルトを絶対に結ばせて見せるわ!」

「だからどうしてそうなるんですか...お分かり頂けたんじゃなかったんですか...」

 今度はあからさまに呆れたような表情を浮かべるシンシアに対し、

「当たり前じゃないのよ! あなた達が結ばれなかったら、ストーリーがむちゃくちゃになっちゃうじゃないの!」

 私はキッパリと言い切った。

「ストーリー!? なんですかストーリーって!?」

「あ、間違えた! 運命よ! 運命!」

 危ない危ない...素で言い放っちゃったよ...この世界は小説のストーリーの中なんだ! なんて言ったりしたら狂人扱いされるの間違いないかんね...気を付けないとな...クワバラクワバラ...

「運命って...お嬢様、いつから運命論者になられたんですか?」

「そんなのいつだっていいじゃないのよ! とにかく、あなたとラインハルトは結ばれる運命なの! これはもう決まったことなのよ!」

「意味が分かりませんけど...」

 シンシアは呆れを通り越して蔑むような表情になってるけど、私だってここは引く訳にはいかないんだよ!

「今は分からなくてもいいのよ! その内に分かる時が必ず来るから! ね? 騙されたと思って私の言う通りにしなさい!」

「何度も言いますがイヤです。騙されたくありませんし」

 シンシアは素っ気なく言い切った。

「だからなんでよぉ~!」

 私は泣きたくなって来た。

「なんでもなにも、肝心のラインハルト様にその気がない以上、どうしようもないんだってことをさっきから言ってんですけどね...」

「お色気作戦...」

 ギラリ! シンシアの目が怪しく光ったので、

「...はダメなのよね...」

 私は慌てて取り繕った。

「しょうがない...この手は使いたくなかったけど...」

 背に腹は代えられない。私はカバンの中からとある瓶を取り出した。

「なんですかこれ?」

 シンシアは瓶を手に取り不思議そうに眺めている。

「即効性の媚薬」

「......」

 シンシアが瓶を手にしたまま固まってしまった。

「これを入れたお茶をシンシアがラインハルトに運べばそれで終了。後はケダモノと化したラインハルトがシンシアに襲い掛かるのを待つだけ。簡単なお仕事でしょ? まぁ倫理的、道徳的にどうなんだ? って話はあるだろうけど、既成事実さえ作っちゃえばオールオッケーみたいな感じ? どうよ?」

 私はドヤ顔でそう言った。
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