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「そうだったの...全然気付かなかったわ...」

「でしょうね。お嬢様は鈍いですから」

「鈍いってあなたね...」

 ハッキリ言われるのはちょっとショックだな...まぁ多少は自覚してる部分ではあるんだけどね...特に恋愛面は...前世での経験が少ない分野だからねぇ...

「思い当たる節とかあったりしませんか?」

「まぁ多少は...ラインハルトがたまに私の胸元を凝視したりとか...」

「ちゃんとお分かりになっていらっしゃるじゃありませんか」

「で、でもそういうのってあれでしょ? 思春期特有の異性の体に対する興味みたいなもんで...」

「それもあるかも知れませんが、好きな人だからこそって面が大きいと思いますよ?」

「そうなの?」

「えぇ、現に私はラインハルト様からそのような目で見られたことは記憶にありませんし、マルガリータに対しても同様です。そんな目で見ているような場面はありませんでした。ラインハルト様が熱い視線を向けるのはお嬢様に対してのみなんですよ」

「うわぁ...それはまた...」

 私は絶句するしかなかった。

「お嬢様はなにかに付けてラインハルト様と私を二人っきりにするように画策されておりますが、私と二人っきりの時にラインハルト様がなにをなされているのかご存知ですか?」

「えっ!? それはもう...18禁的な組んず解れつ目眩く快楽にドップリと浸かって...」

「違いますよ! なんですかそれ!」

「違うの?」

「ずっとお嬢様談義に花を咲かせているんです!」

「だ、談義!?」

「えぇ、お姉様はああだこうだ、お姉様のここが凄い、お姉様は尊敬に値するお方だ、お姉様は唯一無二の存在だ、などなど。延々と語り尽くしていらっしゃいますよ?」

「そ、それは...なんかゴメン...」

 私は謝るしかなかった。良かれと思ってやっていたことが裏目に出たという気分だった。

「いえ、謝って頂く謂われはございませんよ? 私もノリノリで一緒になって盛り上がってましたからね?」

「えっ!? それってどういう意味!?」

 私は首を捻った。少なからず好意を抱いている男が、目の前で他の女の話ばかりしてたら面白いはずがないだろうに。

「だって私もお嬢様のことが大好きなんですからね! それこそラインハルト様にも負けないくらい! マルガリータにだって負けないくらいに! 私のお嬢様は世界一だって思ってますからね!」

「あぁ、うんうん...ありがとありがと...」

「なんでそこはサラッと流すんですかぁ~!」

 だってしょうがないじゃん...シンシアの愛は重過ぎんだよ...
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