転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「気持ち...ですか...」

「そうよ。あなたはラインハルトのことを少なくとも嫌ってはいないんでしょう?」

「えぇ、まぁ...」

「好きか嫌いかどっちかと言われたら好きって答えるでしょう?」

「ま、まぁ確かに...」

「だったら他にどんな問題があるって言うのよ?」

 ウチの両親も認めている。寧ろ歓迎しているくらいだ。ラインハルトがシンシアにぞっこんなのは言うまでもないし。これ以上なにがあるって言うんだ?

 するとシンシアはチラッとラインハルトの方を見た。ラインハルトはなにやらマルガリータとコソコソ話している。

 時折ラインハルトが顔を真っ赤にする度に、マルガリータが「キャア♪ キャア♪」とハシャイでいる。

 離れているのでなにを話しているのかまでは分からないが、なんとなく良い雰囲気なんだろうなってことは伝わって来た。まさか!

「シンシア、ひょっとしたらだけど...問題があるのはラインハルトの方だったりする?」

 シンシアは無言で頷いた。次の瞬間、私は頭を抱えた。

「なんてことなの...あれ程ラインハルトには言い含めておいたのに...マルガリータとは出来るだけ二人っきりにならないように気を遣っていたというのに...」

「あの? お嬢様?」

「マルガリータの魅力は人を無自覚に誑し込む厄介なものだから、緩衝材としてシンシアを付けておいたっていうのに...」

「私ってプチプチみたいなもんだったんですね...って、そうじゃなくて! お嬢様ったら!」

「なによ、うっさいわね...私は今、それどころじゃないのよ...あれだけ細心の注意を払っていたものが全て無駄になったんだから...」

「だからお嬢様、なにか勘違いされてませんか?」

「どこがどう勘違いだって言うのよ...見なさい、あの二人の仲睦まじい姿を...あれを見たら一目瞭然じゃないの...ラインハルトはマルガリータに恋しちゃったのね...」

「全然違いますけど?」

「そしてマルガリータの方も次第にアレクサンドル王子よりもラインハルトのことを...って、なんですって?」

「だから全然違います。勘違いも甚だしいですよ?」

「だったらあれはどう説明できるって言うのよ?」

 今もなお、マルガリータがなにか囁いてはラインハルトが赤面するということを繰り返している二人だ。端から見たらカップルとしか思えないんだが?

「あれは...なんとなくですが想像は出来ます。後でマルガリータを叱っておかなきゃ...」

 シンシアが苦虫を噛み潰したような顔になった。一体どういうことなんだ?
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