転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「公営化...ですか? 今とあんまり変わらないような...」

 ラインハルトの言い分はもっともだ。現状、我が家がパトロンになっている状態は、既に公営化されているっ言っても差し支えないかも知れない。

「まぁ確かにそうなんだけどね。ただ、一旦町の財産にしてしまえば、これから劇場のメンテナンスとかを行う場合、いちいち私達にお伺いを立てなくて済むじゃない? 煩わしさを省いて自分達の好きなように出来るじゃない? その方がいいんじゃないかなって思ったのよ。自立化を促す意味でもね。いつまでも私達におんぶに抱っこじゃ困るから」

「なるほど...効率化を図る上ではそれもいいかも知れませんね」

「でしょう? ただこれは、私達だけの一存じゃ決められないから、町長さんとヘルマンさんを交えた三者会談を行う必要があるわね」

「そうですね」

「ラインハルト、悪いんだけど三者会談のセッティングをお願いしていいかしら?」

「分かりました。手配します」

「お願いね」

「ちなみにお姉様、幾らぐらいで売却するおつもりなんですか?」

「お父様、博物館を幾らで売ったんだっけ?」

「ちょっと待って下さい...」

 ラインハルトは手帳を取り出してページを捲った。大事なことは全てメモに取ってあるのだ。さすがはラインハルト。

「あぁ、あったあった。この金額ですね」

 ラインハルトは私に手帳のメモを見せてくれた。

「うわぁ...またお父様ったらエラく吹っ掛けたもんね...これ、ウチの年度内予算の半分ぐらい行ってない?」

 私は目を丸くした。

「土地家屋含めてですからね。オマケに博物館としての商業価値も加味されてますから、これぐらい吹っ掛けても国は払うと踏んだんでしょう」

「道理で別館...いや今は本館か...の内装が豪華になっていたはずだわ...こないだ帰省した時にラインハルトも気付いたでしょう?」

「えぇ、アンティークっぽい家具がやたら増えてましたね」

「そりゃこんだけ貰えたらウハウハにもなるわなぁ...思わず衝動買いしちゃうわなぁ...」

「お父様の喜んだ顔が目に浮かぶようですね」

「ホントにね...」

 私達は揃って苦笑した。

「それを踏まえて金額はどうなさいます?」

 ラインハルトが改めて尋ねて来たので、

「0」

「ほえっ!?」

 ラインハルトは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。まぁビックリするのも当然か。

「だから0よ。売却じゃなくて権利を委譲するという形にするわ」

 私はハッキリとそう言い切った。
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