転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「さぁ、マルガ。ここがあなたの私室よ」

「うわぁ~♪ 可愛い~♪ それにお洒落~♪」

「フフフ、ありがとう。そういう反応されると、内装に凝った甲斐があるってもんね」

 部屋はマルガリータの髪色に合わせた、淡いピンクで統一されたデコレーションになっている。壁紙やカーペット、シーツや枕カバーに至るまで全てだ。そして女の子の部屋っぽくするために、可愛いぬいぐるみや小物も揃えた。

「リーチェ様ぁ~♪ ありがとうございますぅ~♪ 私、この部屋で暮らすのが今から楽しみですぅ~♪」

「気に入って貰って良かったわ」

「あのちなみに、リーチェ様のお部屋はどちらに?」

「この部屋の真上よ」

「あ、そうなんですね...同じフロアーじゃあないんだ...」

 急にマルガリータのテンションが下がった。

「まぁそうだけど、一つ屋根の下で暮らすのは変わらないんだから」

「えぇ、そうですよね...」

「ちょっとマルガ? 暖炉を覗き込んでなにしてるの?」

「...ブツブツ...部屋の造りが同じだとしたら、暖炉も繋がってる訳で...つまりこの暖炉を登ればリーチェ様の部屋の辿り着く訳で...グフフフフ♪」

「えっ!? 今なんて!?」

 ブツブツ呟いてるから良く聞こえなかったよ。

「なんでもありませんよ?」

「そう? ならいいんだけど。それじゃあ次に行きましょうか」

 こうして食堂や図書室、娯楽室などを次々に案内して行った。前の屋敷と比べ半分以下の大きさなので、程なく全ての部屋の案内が終わった。

「とまあ、こんな感じよ。どうだった?」

「すっごい広かったです...私、確実に迷子になる自信があります...」

 まぁそうだよねぇ...前より狭くなったとはいえ、一般庶民の感覚から見たら大豪邸だもんねぇ...前世の私でも同じ感想を抱いたと思うよ...

 そういった意味では、私も大分この世界に染まって来たなぁ...慣れって怖いよねぇ...この屋敷を狭いって思える自分が居るんだもんねぇ...

「アハハ、まぁ慣れてくれば大丈夫よ。ゆっくり覚えなさいな」

「はい!」

「あ、それと今夜はマルガの歓迎パーティーを盛大に開くつもりだから。楽しみにしててね?」

「ホントですかぁ~!? 嬉しいですぅ~♪」

「それじゃあパーティーの時間までゆっくり休んで? シンシア」

「はいはい。マルガリータ様、こちらへ。お茶をお入れしますので」

「あ、シンシアさん。私のことはマルガリータ、あるいはマルガで。呼び捨てして下さい」

「いえ、そういう訳には...」

「いいんです。シンシアさんも貴族の方ですよね? そんな方に様付けで呼ばれるのは心苦しいです」

 シンシアが困ったような顔で私を見て来る。だから私は、

「いいんじゃない? マルガがそう言ってるんだから」

「...分かりました。ではマルガリータ、こちらに」

「はい!」
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