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 そして今日。

 ついにマルガリータが我が家にやって来る。私は朝からウキウキが止まらなかった。

「ねぇ、シンシア。おかしくない? 変じゃない?」

 私は鏡の前で御粧ししながらシンシアに問い掛ける。

「はいはい...お嬢様は今日も可愛いですよ...っていうか、さっきから何回同じこと聞いてんですか...」

「だってだってだって~! 初めてマルガリータをウチに招くのよ~! 粗相があったらいけないじゃないの~!」

「...なんかまるで愛しい恋人を待つ乙女みたいな感じでキモ...いやいや、張り切り過ぎじゃないですか...」

「やぁだぁもぅ~♪ 乙女だなんてぇ~♪ 恥ずかしいぃ~♪」

「ダメだこりゃ...皮肉も通じてねぇ...」

「ん? なんか言った?」

 声が小さくて良く聞こえなかったよ。

「いえ別になにも...とにかく、おかしな所はありませんから。お嬢様、少し落ち着いて下さいな...」

「分かった~! ありがとう~!」

 そこへラインハルトがやって来た。

「お姉様、着いたみたいですよ?」

「ホント!? 今行くわ!」

 私は玄関へと急いだ。どうやら既に、エドワードを始めとする使用人一同も玄関に集合しているようだ。

「マルガ~♪ 待ってたわよ~♪」

「リーチェ様ぁ~♪ お会いしたかったですぅ~♪」

 私達は互いを確かめるようにガッシリと抱き合った。

「あぁ~♪ 今日のマルガは一段と良い香り~♪ クンカクンカスーハースーハー♪ あぁ~♪ 満たされるわぁ~♪」

「フガフガフガフガ~♪」

 そうやってマルガリータ成分を十分に堪能していたら、

「お姉様、長いです」

 ラインハルトの野郎が私達をペイッて引き剥がしやがった! なにすんじゃ我ぃ! いてこましたろかいぃ!

「コホン、ようこそおいで頂きました、マルガリータ様。使用人一同心より歓迎致します」

 ラインハルトを怒鳴り付けようと思ったら、エドワードに機先を制せられた。ラインハルト、命拾いしたな!

「ふわぁ...あ、これはこれは...ど、どうもご丁寧に...あ、あの...こ、こちらこそよろしくお願いします...」

 マルガリータはこういう扱いに慣れていないので若干緊張気味のようだ。

「さぁいらっしゃっい、マルガ。早速、家の中を案内するわね」

 私はマルガリータの手を取った。マルガリータって手まで柔らか~♪

「はい~♪ よろしくお願いしますぅ~♪」

 私達は恋人同士のように寄り添いながら歩き出した。後ろの方から冷めた視線が飛んで来ているような感じがしたが、敢えて気にしないことにした。
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