転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「お父様...お母様...」

「な、なあに、大丈夫さ! 二、三日くらい居なくなったところで...きっとセバスチャンが頑張ってくれる...はず...」

「そ、そうよね...セバスチャンが居るから安心よね...」

 私は心の底からセバスチャンに同情した。

「こけら落としが終わったらすぐに戻って下さいね...セバスチャンのためにも...」

『はい...』

「お嬢様、そろそろお時間ですが...」

 そこへエドワードがおずおずと割って入った。

「あら? もうそんな時間? いけない! ラインハルト、シンシア、急ぎましょう!」

『はい!』

「ちょ、ちょっと待ってリーチェ!」

「お、置いてかないで~!」

 私は丸っと無視してやった。


◇◇◇


 新劇場のこけら落としは、沢山宣伝した甲斐もあって大入り満員札止めの大盛況だった。私は一先ず胸を撫で下ろした。

「これはこれはベアトリーチェお嬢様、ようこそおいで頂きました」

「ヘルマンさん、おはようございます。盛況のようでなによりですね」

「お嬢様方が宣伝して下さったお陰様でございます。ありがとうございました。本当にお世話になりました」

「いえいえ、当然のことをしたまでですよ。こけら落とし、絶対に成功させましょうね」

「はい! 必ず! ところでお嬢様、そちらの方々は?」

 ヘルマンさんは私の両親の方を見て尋ねて来た。

「あぁ、これは私の両親です。わざわざ王都から観に来たんですよ」

『これって!』

 両親からの抗議をまたしても丸っと無視する。

「そうでございましたか。遠い所からようこそおいで頂きました。本日はごゆるりとお楽しみ下さいませ...うん!? ご両親様!? ということは...ま、まさか!?」

 急にヘルマンさんの様子がおかしくなった。

「ヘルマンさん、どうしました?」

「あ、あの...も、もしかして、こ、公爵様と奥方様でございましょうか...」

「そうですけど?」

「はわわわ...な、なんと畏れ多い...ぞ、存じ上げなかったとはいえ、た、大変なご無礼をば...」

「あぁ、そんな畏まらなくいいですよ? コイツら、呼んでもいないのに勝手に来たんですから」

『コイツらって!』

 あぁもう! イチイチうるさいな!

「とにかく、ヘルマンさん。気を遣わなくていいですから。席に案内して下さいな」

「は、はい、ど、どうぞコチラに...ロイヤルボックスをご用意しております...」

「ありがとうございます。ラインハルト、シンシア、行きましょう」

『はい!』

「リーチェ! 待ってよ!」

「置いてかないでよ~!」

 なんだかとってもデジャヴ。

 
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