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 翌日、王都の屋敷に戻った私は馬車から降りるなり、両親から熱烈な歓迎を受けた。

 ちなみに昨日の内に先触れを出しておいたので、両親はこうして待ち構えていたという訳だ。

「あぁっ! 愛しのベアトリーチェ! 我が天使よ! 良く帰って来てくれた! 顔をよおく見せておくれ! あぁ、可愛い可愛い♪ チュッチュッ♪」

「ベアトリーチェ! しばらく見ない間に大きくなったんじゃない!? 女の子の成長は早いわねぇ! 顔をよおく見せてちょうだい! あぁ、愛しい愛しい♪ チュッチュッ♪」

「ムグッ! お、お父様、お、お母様、ちょ、ちょっと落ち着いて...グエッ!」

 久し振りに再会した両親の強烈なスキンシップに辟易していると、そんな私の姿を微笑ましいものを見るような目で見ているラインハルト、シンシアと目が合った。笑ってないで助けろ!

「プハァッ! お父様、お母様! 挨拶くらいちゃんとさせて下さいよ! ベアトリーチェ、ただいま戻りました!」

 なんとか両親の抱擁から逃れた私は、怒鳴るようにそう言った。

『お帰りなさい♪』

「ほら! あんた達なにボサッとしてんの!」

 私は八つ当たり気味に二人をどやし付けた。

「あっ! す。すいません! ラインハルト、ただいま戻りました!」

「ご、ご挨拶が遅れて申し訳ございません! シンシア、ただいま戻りました!」

『お帰り~♪』

 あぁ...王都に戻って来たんだとイヤでも実感させられた一時だったよ...


◇◇◇


「それで!? アレクサンドル王子はなんだって急にウチの領地へ来ることになったんです!?」

 私達は場所をリビングに移動して話をしている。

「あぁ、それはきっと立て続けに二人のご令嬢にフラれたからだろうな」

「二人!? フラれた!?」

 私はビックリして聞き返していた。

「あぁ、一人目は侯爵家のカトリーナ嬢、二人目は辺境伯家のアナスタシア嬢、どちらも我が公爵家に次ぐ名家のご令嬢だった訳だが敢えなく玉砕した。それだけあの王子の評判は最悪だっていうことだな」

「そ、それはまた...」

 私は二の句が継げなかった。

「だからまた矛先をリーチェに向けたってことなんだろう」

「なんてハタ迷惑な...あれだけ拒否したっていうのに...」

「それだけ追い詰められてるってことだろうな。それこそ領地にまで追い掛けて行く程に」

「怖いんですけど...」

「プハハッ! それにしてもあの日のことは今思い出しても笑えるなぁ。意気揚々と我が家を訪ねた来た王子は、ベアトリーチェがどこに居るか探すんだよ。そこで一言『ベアトリーチェは領地に移りました』って言った時の王子の絶望した顔といったら! イヤホント傑作だったよ! プハハッ!」

 いやいや、笑い事じゃないだろうよ...
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