転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「お、お姉様...そ、その傷って...」

 アレクサンドル王子が帰った後も、ずっと私の手を掴んで放さないラインハルトが涙目になって聞いて来た。

 こういう表情もまた可愛えぇのぉ~♪ おっと、いかんいかん。心配してくれているラインハルトを安心させてやらねば。

 私はこの傷を負った経緯に関してラインハルトに説明した。

「そんなことがあったんですね...お姉様、お可哀想に...あ、だからアレクサンドル王子は尚更お姉様に固執するんですね? 責任を取るとかなんとか言って?」

「えぇ、そういうことよ。きっと大義名分を手に入れたとか思ってんでしょうね」

「そして行く行くはまんまとお姉様を手に入れて政争の道具にしようと...許せませんね! お姉様! まだ僕にはなんの力も無いけど、一杯勉強して剣の鍛練も積んで心も体も強くなりますから! 見てて下さい! お姉様のことを絶対に守って見みせますからね!」

 ラインハルトは私と繋ぎ合っていた片手を、今度は両手で握り直してキラキラした涙を流しながらそう言った。そんなことを泣き顔のラインハルトに言われた日にゃ私の理性なんか軽くぶっ飛ぶってもんで、

「ラインハルト~♪ ありがとう~♪ 大好きよ~♪」

 次の瞬間、私は力一杯ラインハルトを抱き締めていた。

「ぴぇっ!? あ、あの、お姉しゃま!?」

 あ、なんかデジャヴ。

 その後、呆れた両親に引き離されるまで私は、ラインハルトのショタ成分を心行くまで堪能していたのだった。いや、そんな場合じゃなかったんだがそれは仕方のないことだったんだよ。

 これもまたデジャヴ。

 そして引き離されたラインハルトの方は真っ赤になってヘタってしまった。

「プシュ~...」

「ら、ラインハルト!? ゴメン、強く抱き締め過ぎちゃった!? あんまり嬉しかったんでつい...」

 更にデジャヴ。

 私はヘタってしまったラインハルトを慌てて膝枕してあげた。だが一向に顔の熱が引かない。この間も思ったけど、この子知恵熱とか出してないよね? 大丈夫かな? どうしたもんかとオロオロしていると、

「リーチェ、この間も同じことを言ったが...いい加減ラインハルトを解放してあげなさい。彼はもう限界だ」

「というより既に昇天しているみたいよ?」

 両親が呆れたようにそう言う。

 こんなにもデジャヴ...ってもうえぇわ!

 とにもかくにも、取り敢えずアレクサンドル王子を撃退することは出来た。だがまだ安心することは出来ないと思ってる。

 だから私は改めて両親に提案してみることにした。
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