転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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 ラインハルトがウチに来てから一週間が経過した。

 大分ラインハルトもここの環境に慣れて来たみたいだし、周りの使用人達もラインハルトに慣れて来たようだ。良好な関係を築けていると思う。

 私はと言えば、ラインハルトと一緒に領地経営のお勉強をしながら、父親に対しては経済面でのアドバイスをしながら日々過ごしている。

 ちなみに領地経営に関しては、なんと父親自らが教育役を買って出た。忙しいのに無理しないでって言っても、自分の領地に関することなんだから他人には任せられないと言い張っている。

 だが実は、案外人見知りする私にとってはありがたいことだった。どんな先生がやって来るのかと思ってちょっと不安だったりしたからだ。

 それはラインハルトも同様だったようで、先生が父親だと分かった時は、あからさまにホッとした表情を浮かべていたりしていたものだった。

 そんな訳で今日も私達は、父親の執務室で領地経営に関する講義を仲良く聞いている。講義は午前中までとして、午後からは私が父親に対し経済面に関するアドバイスをする時間となる。

 今日の講義とそれに対する質疑応答が終わった後は、基本的にラインハルトは自由時間となる。

 外で遊び回ってもいいし、好きな本を読んでも構わない。私も父親に対するアドバイスが終わったら一緒に遊ぶつもりだ。

 だが今日のラインハルトはちょっと違った。午前中の講義が終わり、みんなで昼食を摂っている席で、午後から私と父親がどんな話をしているのか聞きたいと言い出した。

「ラインハルト、なんにでも興味を持つのは良いことだけど、これはまだラインハルトにはちょっと早いかなぁ。聞いてても難しくて理解できないと思うわよ? きっと眠くなっちゃうわよ? お昼ごはん食べた後だし尚更ね」

「構いません。お姉様の側に居たいんです」

 はい、可愛い♪ 本当になんなんだこの可愛い生き物は♪ 私を萌え死にさせるつもりなのか♪ それなら死んで本望じゃい♪ あぁ、このまま地の果てまでお持ち帰りしたい~♪

 コホン、冷静になれ私! ヒッヒッフー、ヒッヒッフー、腹式呼吸腹式呼吸! 今ここで欲望のまま突っ走ってどうする! ここは姉としてカッコ良い姿を、威厳を見せるところだろう!

「そ、そう...分かったわ。それじゃお父様、始めましょうか」

 内面はともかく外面は完璧に取り繕って、何事もなかったかのように今日の新聞を広げながら仕事に向かう。

 そんな私の姿をラインハルトがキラキラした目で見詰めている。

 私は邪な考えが表に出ないように必死で抑えていたのだった。


 
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