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 結論から言うと心配は杞憂だった。

 転生特典なのかなんなのか知らないが、全ての文字が日本語に見える。まぁ言葉が通じてる時点でそんなものなのかも知れないよな。なんにしてもありがたいことだった。

 早速読み進めて行く。フムフム...お隣の国がなにやらキナ臭いと。内乱に発展するかも知れないと。こっちは我が国の天候不順に関してか。どうやら今年は全般的に不作になりそうだな。株価と物価、穀物市況はと...なるほどなるほど。

「り、リーチェ!? ど、どうしたんだい!? こんな朝早くに!?」

「あら、おはようございます。お父様」

 クリス改めクリンスマンが起きて来たようだ。

「お、おはよう...それでなにをやっているのかな!?」

「見ての通りですが? 新聞読みながら朝食を摂ってます」

 本当は行儀が悪い行為なんだろうけど大目に見てよね。

「リーチェが...新聞を...」

 あぁ、やっぱりビックリされるよね。それはもう仕方ないとして、私は今日の新聞を読んで気になったことを聞いてみる。

「ねぇ、お父様。ウチは鉄鉱山とか持っているんでしょうか?」

「えっ!? あ、あぁ、持ってるけど!?」

「鉄の価格が高騰しそうですよ? 生産量を上げるように指示した方が良いと思います」

「...その根拠は!?」

「お隣の国で内乱が勃発しそうです。そうなると武器が必要になりますよね? 武器の原材料になるのは?」

「...なるほど...鉄か...」

「えぇ、その通りです。株価を見ても製鉄会社や鉱山会社の株価が上がってるし、鉄の価格も上昇傾向にありますね。上がりそうな株を買っておくのも良さそう」

「...そうなのか...」

「それと今年の我が国は不作になりそうだから、今の内に他の国から穀物を買い付けておいた方が良いと思います」

「...分かった...」

「あとそれから...」

「ちょ、ちょっと待ってくれ! リーチェ、一体どうしたと言うんだ!? 昨日までの君とはまるで別人じゃないか!?」

 ヤベッ! ちょっと調子に乗り過ぎたか! 前世のクセで思わず気が付いたことをペラペラと語っちゃったよ! さすがにギャップが激し過ぎるか!

「えぇまぁその...私も変わらなければならないかなと思いまして...」

「どうしてだい!? 君はこれまで通りで良いじゃないか! 変わる必要なんてどこにもないと言うのに!」

「それは違います、お父様。傷物になった私には良縁なんて望めなくなってしまいました。だったら自分の力で幸せを掴むしかありません。私は職業婦人になろうと思っています。そのために日々精進を積み重ねて行こうと思っているんですよ」

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