転生したら死亡エンドしかない悪役令嬢だったので、王子との婚約を全力で回避します

真理亜

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「新聞なら執事長が管理してますから、許可を取らないと私にはどうにも出来ませんよ?」

「面倒ね...新聞如きで...分かったわ。私が自分で言うから。もうセバスチャンは起きてる頃かしら?」

 あ、思わずセバスチャンって言っちゃった! だって執事と言えば...ねぇ?

「えぇ、この時間なら既にお仕事を開始してますね。今頃は食堂で朝食のセッティングをしていると思います」

 おぉっ! セバスチャンで合ってたみたいだ! 自分で言っててビックリしちゃったよ!

「そう、なら食堂に向かいましょう」

「分かりました」

 部屋を出て食堂に向かう...って食堂はどっちだ!? シンシアは後ろに控えていて案内してくれないから分かんないぞ! それも当然か。自分の屋敷に案内が必要なはず無いもんね。

 仕方ない...取り敢えず適当な方向に向かうか...

「お嬢様、食堂はこちらですよ!?」

「あ、あぁ、そうだったわね...朝だからまだボーッとしてウッカリしたわ」

 そういうことにして今度はシンシアの後を付いて行く。しかしまぁ...ただっ広い屋敷だな! さすがは公爵家! 無駄に広いぞ! まだ食堂に着かないのかよ! 

 しばらく歩いた先にある部屋の前で、シンシアは両開きのドアを開けた。ここが食堂か。ちゃんと覚えておこう。しかしこれまた広いな! このテーブル何人掛けなんだよ!

 私はテーブルセッティングしている執事長らしき人物に声を掛ける。年齢から言っても風格から言ってもコイツがセバスチャンで間違いないだろう。髪に白いものが混じってるから、初老に差し掛かった辺りの年齢かな?

「セバスチャン、おはよう」

「えっ!? お、お嬢様!? こんな時間にどうされたんですか!?」

「目が覚めちゃったのよ。ねぇ、新聞を持って来てくれない?」

「新聞ですか!? どうしてまた!?」

「読むからに決まっているでしょうが」

 全くもう...ドイツもコイツも...まぁでも...これまでのベアトリーチェならそう思われても仕方ないかな...

「お、お嬢様がですか!?」

「そうよ。あ、それとお腹空いたからトーストとコーヒーもお願い」 

「と、トーストとコーヒー...」

「えぇ、朝はパン食と決めているの」

 というかこの世界にお米ってあるんだろうか? 設定が昔の欧州風だから無さそうだな。だとしたら元日本人としては残念だな...

「か、畏まりました...少々お待ち下さい...」

 物凄く怪訝な顔をして出て行ったけど気にしない。これから変わって行く私に慣れて貰わないとね。

「...お待たせしました」

「ん、ありがと」

 ややあって新聞と朝食が運ばれて来た。なぜかサラダとスープまで付いてるけど。気を利かせてくれたかな? トーストとコーヒーだけじゃ味気ないとか? まぁいいや。ありがたく頂こう。

 新聞を開こうとしてハタと気付く。

 私ってこの世界の文字読めるの!?

 
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