私が根性を叩き直してやります!

真理亜

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 ヘンリエッタが嫁いで来た日、バッカーノは嫌々ながらも出迎えた。

 本音を言えば出迎えなどしたくなかった。ビッチーナが泣いて嫌がったから。だがさすがに隣国の王女を無下に扱う訳にもいかない。たとえ友好の証として押し付けられた妻だとしても。

 なぜなら隣国はこの国よりも圧倒的に力が上だからだ。ビッチーナのせいで愚王になり下がったバッカーノではあったが、隣国の不興を買う訳にはいかない。まだそれくらいの頭は回っていた。

 やがてやって来たヘンリエッタは、バッカーノの目の前でスカートの裾を摘まみ、見事なカーテシーを披露...しなかった。その代わりにスカートの裾から取り出したハリセンで、

「こんの愚か者がぁ~!」

 パシーンッ!

 見事な一撃をバッカーノにお見舞いしたのだった。いきなりハリセンで殴られたバッカーノは唖然として呟いた。

「なっ!? い、一体なにを...」

「なにをじゃないわぁ! こんのバカタレがぁ~!」

 そんなバッカーノを無視してヘンリエッタはハリセンを連打する。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! や、止めっ! 止めてぇ~!」

「やかましいわぁ! こんのボケナスがぁ~!」

 ヘンリエッタのハリセン攻撃は止まらない。やがて殴り疲れたのか、ヘンリエッタは肩で息をしながら、

「ハァハァ...今日はこの辺で勘弁してやらぁ...」

「ううぅ...」

 ハリセンの嵐が過ぎ去った後、バッカーノは床に踞っていた。

「おら、なにしてやがる! さっさと毒婦の所に案内しねぇか!」

 ヘンリエッタはバッカーノを足蹴にしながらそう言った。

「ど、毒婦って!?」

「ビッチーナとかいう腐れビッチのことに決まってんだろうがぁ!」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! あ、案内します! 案内します!」


◇◇◇


 ドバーンッ!

 ビッチーナの部屋のドアを蹴破る勢いで開けたヘンリエッタは、ビッチーナと初めて対面した。

「キヤァァァッ! な、なんなの一体!? な、なにが起こったの!? だ、誰よあんた!?」 

「うるさいわぁ! 口を開くんじゃねぇ!」

「へぶしっ!」

 問答無用とばかりにヘンリエッタのハリセンが一閃して、ビッチーナの顔にクリーンヒットした。バッカーノは止める間も無かった。その場に倒れ込んだビッチーナに馬乗りになったヘンリエッタは、

「思った通りだ! これだな!」

 そう言ってビッチーナの胸元からペンダントを剥ぎ取った。

「ぬなっ!? なにすんのよ!? 返しなさい! それはアタシのよ!」

 ビッチーナが慌てた。

「喧しいわぁ! こんなもんこうしてやらぁ!」

 ヘンリエッタはペンダントを足で踏み付けた。

 パリーンッ!

「あぁっ! なんてことすんのよ!」

 その瞬間、バッカーノは頭の中に掛かっていた靄が晴れたように感じた。
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