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僕
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気づくと、俺とユメは向かい合わせで椅子に座っていた。どっから出てきたのかわからなくて不気味だが、座り心地が抜群なのでよしとしよう。
「さあて…と、んじゃあ、始めよっか。」
楽しそうに鼻歌を歌いながら微笑みかけてくるユメに、あの、と声を掛けた。
さっきまでとは違う、緩やかな風が頬を撫でる。
ほんのりと暖かい太陽が、草原を黄金色に染める。
「始めるって、何を始めるんだ?」
たずねると、ユメは妖しげな感じで目を細めた。
光り輝く背景の中にいるユメは、どこか鮮やかで優しげで、色っぽい。
思わず見入ってしまって、俺は目を背けた。
「決まってるでしょ?キミを救うんだよ。」
…。
…はい?
「だから…、キミを救うの!」
「はい?え、何言ってんの?まって、怖い顔で睨むなよ!ホントに何!?なんなんだよこの夢!」
混乱する俺を置き去りにして、ユメはどんどん言葉を紡ぐ。
「あー、ごめんね。いきなりこんな話しても難しいか…。そっか、わかった。んじゃあ、とりあえず、友達になろう?」
そして白い手をさっと出す。
意味もわからないままに、俺は中学の時部活で焼け焦げた黒い手をおずおずと取り出した。
男同士にしては、柔らかな握力の握手が数秒。
そしてバイバイという声が聞こえて、俺は目を覚ました。
なんだったんだろ。
怖。
あー、今日もまたおんなじような1日が来るのかー。
かったるいなー。
「さあて…と、んじゃあ、始めよっか。」
楽しそうに鼻歌を歌いながら微笑みかけてくるユメに、あの、と声を掛けた。
さっきまでとは違う、緩やかな風が頬を撫でる。
ほんのりと暖かい太陽が、草原を黄金色に染める。
「始めるって、何を始めるんだ?」
たずねると、ユメは妖しげな感じで目を細めた。
光り輝く背景の中にいるユメは、どこか鮮やかで優しげで、色っぽい。
思わず見入ってしまって、俺は目を背けた。
「決まってるでしょ?キミを救うんだよ。」
…。
…はい?
「だから…、キミを救うの!」
「はい?え、何言ってんの?まって、怖い顔で睨むなよ!ホントに何!?なんなんだよこの夢!」
混乱する俺を置き去りにして、ユメはどんどん言葉を紡ぐ。
「あー、ごめんね。いきなりこんな話しても難しいか…。そっか、わかった。んじゃあ、とりあえず、友達になろう?」
そして白い手をさっと出す。
意味もわからないままに、俺は中学の時部活で焼け焦げた黒い手をおずおずと取り出した。
男同士にしては、柔らかな握力の握手が数秒。
そしてバイバイという声が聞こえて、俺は目を覚ました。
なんだったんだろ。
怖。
あー、今日もまたおんなじような1日が来るのかー。
かったるいなー。
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