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犯罪者と他の種族編
盗まれる秘宝
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「それでは」
ジゼルさんが大樹に触れると大樹に扉のような物が現れる。人が通るには小さいが、物を入れるのには丁度いいサイズ感だ。
「これが……秘宝」
「綺麗です」
アリスも目を輝かせる。その気持ちも分からなくはない。力の結晶とも言える能力が封印された宝玉。だが、とても……表現できぬほど綺麗で、星々のように輝いている。
「これに………スキルが。具体的にどんなのが」
「うむ、確かジュウという物を自在に出す力だ」
「銃!?」
まさか、この世界で一度もお目にかかれなかった銃が出せるスキルとは………ということは、5代目勇者は転生者………今思えば……なぜ5代目。
古の大戦は100年前に終えた出来事、その大戦で魔王が誕生したと言われている。なら、100年に一度復活するのが魔王と授業では習った。なぜ5代目まで勇者がいる。
「なぁ、ジゼルさん」
「ん?どうした」
「…………この世界って今………何周目?」
「っ!!」
ジゼルは驚く。声は出さず、体も動かさないが……顔はとても険しい顔だった。
「?お兄様、何周目ってどういう……」
「貴殿、いつ気づいた」
「つい今かな。で?何周目目?」
「………今回で確か……8周目だ」
………これでわかった。この世界は同じ時間を繰り返している。シナリオを変えてな。
一回目の魔王復活からこの世界は何度も歴史を繰り返している。
あくまで推測だが、1代目勇者が戦ったのが古の大戦。そこで勇者が仕留め損ねた魔王復活して戦ったのが2代目勇者。つまり今の時間の一週目と戦う……が、なんらかの原因で時間は巻き戻り、勇者は消失し、他のメンバーは記憶を引き継いで元の容姿のまま時間が巻き戻った。
そして、2代目勇者一行の誰かが、1代目勇者が戦った歴史が書かれた後付けに100年後……魔王が復活すると書いた。魔王に干渉した者が書いた物なら、再び受け継がれると予想したのだろう。それも見事に成功した。で、今に至る。
つまり、自称勇者は9代目勇者………今までの1代目を抜いた7人の勇者は行方不明なのだろう。いたら魔王にとっても都合が悪い………。だが、何故アリス達は5代目勇者というワードを聞いて不思議に…………それがこの世界にかけられた呪いだとしたら……
「まさか……」
「そうだ。今君臨している魔王……つまり、これから復活する魔王は先代勇者だ。魔王は勇者に倒されるたび、勇者の体を乗っ取り、そして時を巻き戻す。そして、神々に勘付かれぬようにシナリオを変えている」
「………つまり、自称……ケイビリンも」
「あぁ、そやつが勇者なら戦いに勝っても…」
ジゼルは目をそらす。
これで辻褄が合う………だが、もう一つ問題がある。
「何故アリス達はこの会話を聞いて不思議に……っ!?」
後ろを振り向き、みんなの顔を見ると眼球が真っ黒になっており、口がただポッカリ空いていた。例えるなら、ムンクの作品の一つ、『叫び』のようだ。
「わかったろう。貴殿がこの影響を受けないかはわからんが、この真実を聞けるのは現魔王からだけ……そう、世界に呪いをかけられたのだ。聞いているのが例え、勇者や勇者の仲間でも……」
…………意外と……深い闇を抱えてるな。
「……今はそれより、シャドウ・デーモンを倒そう」
「うむ、そうだな。では、秘宝を………な!!」
秘宝を取り出そうと、大樹に再び目をやったジゼルさんはさっきの険しい顔はしていないが、かなり驚いているようだ。
「どうしました?」
「秘宝が……ない!」
「な!!」
秘宝がない………アリス達がとったとは思わないし、さっきまでムンクの『叫び』みたいになって硬直していたからまずありえない。
ということは………この国の
「く、探知魔法を使う。【サーチ】」
サーチ……目的の物や生き物を見つける探知魔法。本来、少し長い詠唱を唱えてからだが、流石魔法帝。今も健在ってわけか。
「…………っ!。あやつ……」
「誰かわかりましたか?」
「…………エルカだ」
この世界の住人って、面倒ごと起こさないと気がすまないの?
ジゼルさんが大樹に触れると大樹に扉のような物が現れる。人が通るには小さいが、物を入れるのには丁度いいサイズ感だ。
「これが……秘宝」
「綺麗です」
アリスも目を輝かせる。その気持ちも分からなくはない。力の結晶とも言える能力が封印された宝玉。だが、とても……表現できぬほど綺麗で、星々のように輝いている。
「これに………スキルが。具体的にどんなのが」
「うむ、確かジュウという物を自在に出す力だ」
「銃!?」
まさか、この世界で一度もお目にかかれなかった銃が出せるスキルとは………ということは、5代目勇者は転生者………今思えば……なぜ5代目。
古の大戦は100年前に終えた出来事、その大戦で魔王が誕生したと言われている。なら、100年に一度復活するのが魔王と授業では習った。なぜ5代目まで勇者がいる。
「なぁ、ジゼルさん」
「ん?どうした」
「…………この世界って今………何周目?」
「っ!!」
ジゼルは驚く。声は出さず、体も動かさないが……顔はとても険しい顔だった。
「?お兄様、何周目ってどういう……」
「貴殿、いつ気づいた」
「つい今かな。で?何周目目?」
「………今回で確か……8周目だ」
………これでわかった。この世界は同じ時間を繰り返している。シナリオを変えてな。
一回目の魔王復活からこの世界は何度も歴史を繰り返している。
あくまで推測だが、1代目勇者が戦ったのが古の大戦。そこで勇者が仕留め損ねた魔王復活して戦ったのが2代目勇者。つまり今の時間の一週目と戦う……が、なんらかの原因で時間は巻き戻り、勇者は消失し、他のメンバーは記憶を引き継いで元の容姿のまま時間が巻き戻った。
そして、2代目勇者一行の誰かが、1代目勇者が戦った歴史が書かれた後付けに100年後……魔王が復活すると書いた。魔王に干渉した者が書いた物なら、再び受け継がれると予想したのだろう。それも見事に成功した。で、今に至る。
つまり、自称勇者は9代目勇者………今までの1代目を抜いた7人の勇者は行方不明なのだろう。いたら魔王にとっても都合が悪い………。だが、何故アリス達は5代目勇者というワードを聞いて不思議に…………それがこの世界にかけられた呪いだとしたら……
「まさか……」
「そうだ。今君臨している魔王……つまり、これから復活する魔王は先代勇者だ。魔王は勇者に倒されるたび、勇者の体を乗っ取り、そして時を巻き戻す。そして、神々に勘付かれぬようにシナリオを変えている」
「………つまり、自称……ケイビリンも」
「あぁ、そやつが勇者なら戦いに勝っても…」
ジゼルは目をそらす。
これで辻褄が合う………だが、もう一つ問題がある。
「何故アリス達はこの会話を聞いて不思議に……っ!?」
後ろを振り向き、みんなの顔を見ると眼球が真っ黒になっており、口がただポッカリ空いていた。例えるなら、ムンクの作品の一つ、『叫び』のようだ。
「わかったろう。貴殿がこの影響を受けないかはわからんが、この真実を聞けるのは現魔王からだけ……そう、世界に呪いをかけられたのだ。聞いているのが例え、勇者や勇者の仲間でも……」
…………意外と……深い闇を抱えてるな。
「……今はそれより、シャドウ・デーモンを倒そう」
「うむ、そうだな。では、秘宝を………な!!」
秘宝を取り出そうと、大樹に再び目をやったジゼルさんはさっきの険しい顔はしていないが、かなり驚いているようだ。
「どうしました?」
「秘宝が……ない!」
「な!!」
秘宝がない………アリス達がとったとは思わないし、さっきまでムンクの『叫び』みたいになって硬直していたからまずありえない。
ということは………この国の
「く、探知魔法を使う。【サーチ】」
サーチ……目的の物や生き物を見つける探知魔法。本来、少し長い詠唱を唱えてからだが、流石魔法帝。今も健在ってわけか。
「…………っ!。あやつ……」
「誰かわかりましたか?」
「…………エルカだ」
この世界の住人って、面倒ごと起こさないと気がすまないの?
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