コブシ文庫(ブルー)

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霊能力開眼!

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「霊能者」

 古いところで言えば、宜保愛子さん。

 否定はしないけど、実際には、ホンマか~?と、思っていた。

 「俺の知り合いに、めっちゃ凄い霊能者がおんねん。一回行かへん?」

10数年前、ある事で悩んでいた私にツレが言ってくれた。

その時に、霊能者といわれる人に会った時の話。

その霊能者の人は、土建屋の社長で、Kさんという人だった。

 娘さんに障害があり、思い悩み、いろんな拝み屋さんに行っていた。

そして、その内、自分自身が見えるようになってしまったらしい。

(でも、ホンマに見える人やったら、俺の隠してるエロDVDとかバレてしまうんちゃうんか・・・)

おめでたい悩みを心配しながら、行く事になった。

そのKさんの自宅に、相談者が集まってくるとの事だった。

 大きな自宅の居間。

 10畳以上はあるだろうか。

 私たちが行くと、すでに相談者らしき人たちが5、6人いた。

 「失礼します!」

ツレと私が、居間に入った。

 「おう!待っとったゾ!もう、来る頃じゃないかと思っとったとこじゃ!」

 眼鏡の奥の目をギロリとさせ、大柄なKさんが言った。

(も、もう見えてたんか!)

洗脳されやすい私は、軽い衝撃を受けた。

ま、時間言うてたら、別に普通の事。

なんだけど、相談者が5、6人いる、そして、Kさんの迫力ある風貌。

 完全に呑まれていた。

すでに、相談者の霊視が始まっていた。

 皆が見ている前で、それぞろの悩みを話していた。

(プライバシー的に大丈夫なん?)

皆、そんな事も気にならないくらい悩んでいるから、なりふり構っていられないらしい。

 眼鏡の奥の目をギロリとさせ、私を見るKさん。

 「君、能力あるな~。修行積んだら力つくよ、君は。」

 開口一番に、そう言われた。

 「は、はぁ・・・そうなんですか?」

 念のため言っておくけれど、霊能力があるなんて、これっぽっちも感じた事はない。

 逆に、私が隠しているエロDVDを、ことごとく見つける妻の方が能力があると思う。

 K先生が、相談者を霊視する様子を後ろで見ていた。

すると、ある相談者が、うめき声とともに話している最中に突然倒れた。

(う~わ、こんなんテレビで見たことある!)

思わぬ展開に、興味津々だった。

 先生によると、霊が、その人を支配する比率が高くなると、こうなるらしい。

 最初は、荒い呼吸をしていた相談者。

 先生が、上向きに寝かせた相談者に手をかざし、除霊していくにつれ、呼吸は穏やかになっていった。

 「おい!君!」

 突然、私を指差し、K先生が言った。

 私も突然言われたものだから、どう反応していいかわからなかった。

 「ちょっと、こちらに来なさい!」

 「え、ぼ、僕ですか?」

 自分を指差し答える私。

 「あーそうだ、こちらに来なさい!」

 「は、はい!」

 先生の横に座った。

 「この男性には、2体の霊がついておる。その憑いている場所は、暖かいから、手をかざしていけばわかる。君ならわかるはずだ!」

(おーーーい!何やねん、この無茶振り!)

皆が、私の事を注目していた。

とはいえ、K先生に「君は能力がある」みたいな事を言われていた私。

もしかしたら、この日を境に・・・とも思っていた。

 私は、全神経を手のひらに集中させ、相談者の体の頭の先から、手をかざしていく。

 皆が、その様子を固唾を飲んで見ていた。


目を閉じ、1度、2度と手をかざしていった。

(2ヶ所・・・暖かい・・・2ヶ所・・・暖かい・・・)

ずっと、その言葉を心の中で繰り返し、手をかざす。

 1ヵ所だけ、暖かさを感じた場所があった。

 「先生、2ヶ所はわからないですけど、1ヵ所だけはわかりました。」

 「どこかね。」

 「この辺りです。」

 私は、相談者の顔の辺りを指差した。

すると、先生が一言。

 「うん、君、そりゃ息じゃ!」

そう、私が感じていた暖かさは、相談者の呼吸している息の暖かさだったのだ。

え~と、私の入る穴は、どこなんでしょうか?ってくらい、恥ずかしいなんてもんじゃなかった。

 笑いをこらえるツレの肩は、静かに揺れていた。

 他の相談者たちを見る余裕はなかった。

きっと、ツレと同じく肩を揺らしてた事だろう。

という訳で、私には霊能力なんて、これっぽっちもないっ!(笑)
 

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