3 / 27
コブシ仏
しおりを挟む
いつものように、会社の前の道路を掃き掃除していた時。
一匹の獰猛そうなスズメ蜂がいた。
普段なら、走って逃げただろう。
しかし、私は逃げなかった。
何故なら、そのスズメ蜂は瀕死の状態だったからた゛。
今にも死にそうに、少し丸まりかけて、足をゆっくり動かしていた。
掃除も終わりかけで、枯れ葉や吸殻などのゴミを、1ヶ所に集めていた。
その蜂も集めて、ゴミ袋に捨ててしまおうかとも考えた。
しかし、最期の一時をゴミ袋で終わらせてしまうのは忍びない・・・。
私の、ほんの僅か、雀の涙ほどの仏心が囁いた。
最期くらい静かな草花の上で・・・。
いくら死にかけとはいえ、触るのが怖かった私。
普段なら絶対にしないであろう。
軍手をしているとはいえ、多少は怖かった。
でも、死にかけだし・・・と自分に言い聞かせた。
最大限の慈悲心を発揮して、弱っている蜂を掴んだ。
(かわいそうに・・・。)
つまみ上げた蜂を見つめて、仏のような気持ちになった。
すると、さっきまで弱々しく足を動かしていた蜂の動きに変化が・・・。
(最期の力を振り絞ってなのか・・・。)
先ほどよりも、さらに慈悲心を抱いた私。
蜂は、足の動きをやめ、下腹部を前後に動かして・・・。
(こ、これ、ワシを刺そうとしとるやないかいっ!)
「うわぁぁぁーーーっ!」
小学生みたいな甲高い大声を出して、掴んでいた蜂を振り払おうとした。
しかし、軍手に蜂の足が引っ掛かっているのか、軍手から離れない蜂。
相変わらず前後に動く下腹部。
「うわぁぁぁぁぁぁーーーっ!」
更に大声を発しながら、全力で手を振った。
蜂はどこかに飛んでしまった。
さっきまでの、慈悲心に溢れていた私。
もう蜂がどうなったかなんて知ったこっちゃなかった。
「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」
キリスト教の聖書に書かれている言葉。
「蜂よ、汝の最期の力を振り絞って、存分に刺すがよい」
本当の慈悲心を抱いているのならば、こう言うべきだったのか?
ムリだな。(笑)
一匹の獰猛そうなスズメ蜂がいた。
普段なら、走って逃げただろう。
しかし、私は逃げなかった。
何故なら、そのスズメ蜂は瀕死の状態だったからた゛。
今にも死にそうに、少し丸まりかけて、足をゆっくり動かしていた。
掃除も終わりかけで、枯れ葉や吸殻などのゴミを、1ヶ所に集めていた。
その蜂も集めて、ゴミ袋に捨ててしまおうかとも考えた。
しかし、最期の一時をゴミ袋で終わらせてしまうのは忍びない・・・。
私の、ほんの僅か、雀の涙ほどの仏心が囁いた。
最期くらい静かな草花の上で・・・。
いくら死にかけとはいえ、触るのが怖かった私。
普段なら絶対にしないであろう。
軍手をしているとはいえ、多少は怖かった。
でも、死にかけだし・・・と自分に言い聞かせた。
最大限の慈悲心を発揮して、弱っている蜂を掴んだ。
(かわいそうに・・・。)
つまみ上げた蜂を見つめて、仏のような気持ちになった。
すると、さっきまで弱々しく足を動かしていた蜂の動きに変化が・・・。
(最期の力を振り絞ってなのか・・・。)
先ほどよりも、さらに慈悲心を抱いた私。
蜂は、足の動きをやめ、下腹部を前後に動かして・・・。
(こ、これ、ワシを刺そうとしとるやないかいっ!)
「うわぁぁぁーーーっ!」
小学生みたいな甲高い大声を出して、掴んでいた蜂を振り払おうとした。
しかし、軍手に蜂の足が引っ掛かっているのか、軍手から離れない蜂。
相変わらず前後に動く下腹部。
「うわぁぁぁぁぁぁーーーっ!」
更に大声を発しながら、全力で手を振った。
蜂はどこかに飛んでしまった。
さっきまでの、慈悲心に溢れていた私。
もう蜂がどうなったかなんて知ったこっちゃなかった。
「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」
キリスト教の聖書に書かれている言葉。
「蜂よ、汝の最期の力を振り絞って、存分に刺すがよい」
本当の慈悲心を抱いているのならば、こう言うべきだったのか?
ムリだな。(笑)
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

リアル男子高校生の日常
しゅんきち
エッセイ・ノンフィクション
2024年高校に入学するしゅんの毎日の高校生活をのぞいてみるやつ。
ほぼ日記です!短いのもあればたまに長いのもだしてます。
2024年7月現在、軽いうつ状態です。
2024年4月8日からスタートします!
2027年3月31日完結予定です!
たまに、話の最後に写真を載せます。
挿入写真が400枚までですので、400枚を過ぎると、古い投稿の挿入写真から削除します。[話自体は消えません]

ホテルのお仕事 〜心療内科と家を往復するだけだったニートの逆転劇〜
F星人
エッセイ・ノンフィクション
※この物語は、ある男が体験した『実話』である。
尚、プライバシーの関係上、すべての人物は仮名とする。
和泉浩介(いずみ こうすけ)は、子どもの頃から『倒れちゃいけない』と考えれば考えるほど追い込まれて、貧血で倒れてしまう症状があった。
そのため、入学式、全校集会、卒業式、アルバイト等にまともに参加できず、周りからの目もあって次第に心を塞ぎ込んでしまう。
心療内科の先生によると、和泉の症状は転換性障害や不安障害の可能性がある……とのことだったが、これだという病名がハッキリしないのだという。
「なんで俺がこんな目に……」
和泉は謎の症状から抜け出せず、いつのまにか大学の卒業を迎え……半ば引きこもり状態になり、7年の月日が経った。
そして時は西暦2018年……。
ニートのまま、和泉は31歳を迎えていた。
このままではいけないと、心療内科の先生のアドバイスをきっかけに勇気を出してバイトを始める。
そこから和泉の人生は大きく動き出すのだった。
心療内科と家を往復するだけだった男の大逆転劇が幕を開ける。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

うつ病WEBライターの徒然なる日記
ラモン
エッセイ・ノンフィクション
うつ病になったWEBライターの私の、日々感じたことやその日の様子を徒然なるままに書いた日記のようなものです。
今まで短編で書いていましたが、どうせだし日記風に続けて書いてみようと思ってはじめました。
うつ病になった奴がどんなことを考えて生きているのか、興味がある方はちょっと覗いてみてください。
少しでも投稿インセンティブでお金を稼げればいいな、なんてことも考えていたり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる