親指エレジー  

コブシ

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<6年前の出来事>

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4年前の「あの出来事」。

 私の人生を揺るがすと言ってもおかしくない出来事・・・。

 私は、自分の治療院を16年前に始めた。

しかし、なかなか軌道に乗らず、子供ができた事もあり、夜中、運送会社でアルバイトを始めた。

 昼は治療院、夜は運送会社で仕事という日々を過ごしていた。

 私の治療院が入っていたテナントには、他に3つの店舗があった。

そのうちの1つの工務店の社長Iさん。

その店舗の一番の古株で、結構顔が広い方だった。

そのIさんは、何かと私の事を気にかけてくれていた。

 私の家業の関係の仕事にも顔が利く人だった。


 「ワシがエエとこ紹介してやるわ!丁度、忙しくてかなわん言うてるとこあるんや!」

 私が夜中アルバイトをしていると聞いたIさんは、私にそう言ってくれた。

 私の家業の仕事は特殊な業界だった。

だから、せっかくそれが出来るのに、夜中アルバイトなんてしなくていいじゃないかとIさんは言ってくれた。

そんな事から、家業の関係の仕事場で働いていた。

そこは、社長と私で仕事を回していた。

 給料も破格で待遇も良かった・・・入る前の話では。

 最低限の給料(普通の会社員にしては高額)はもらっていた。

とにかく忙しく、休みはあったけれど、不規則だった。

それ以外にも、社長の行動に「?」と思う事が度々あった。

しかし、紹介してくれたIさんの顔を潰すわけにはいかないから、一年間は文句を言わずやろうと決めていた。

その会社は、この業界にしては急激に伸びた事で、同業者の敵が多かった。

 私もボクサーをやるくらいの性格なので、そういう奴らに対して、強気に渡り合っていた。

そんな日々を1年過ぎた頃、とうとう私を激ギレさせる出来事が起こった。

年に数回、この業界の大きなイベントが行われていた。

いろんなグループ会社が集まり交流する。

 持ち回りで、それぞれのグループが主催する。

この年に主催するグループ会社はKグループだった。

 私は若い頃、このKグループトップのKさんの付き人を4年間していた。

 代替わりしたばかりのKさんの初代の付き人だった。

そのせいか、事あるごとに何かと目をかけてくれた。

 「コブシ、ちょっと手伝ってくれんか?」

 Kさんからメールを頂いた。

 「喜んでお手伝いさせてもらいます。」

 私は、このKさんを心から尊敬している。

 20数年経った今でも、私の近況を心配してくれる。

 2日間休みを取り、Kさんの会社に手伝いに行った。

 全グループ会社の若手の為のイベント。

イベントの最後には、ホテルで親睦パーティーが行われた。

 私も、Kグループの一員として参加し、親睦パーティーにも参加した。

そこで起こった出来事。

 結果として、この出来事で私は激ギレする事になる。

 私はホスト会社の一員として、知った顔の人間と談笑していた。

マナーモードにしていた私の携帯が鳴った。

 「おーーコブシ、忙しい時に悪いな。」

 私が勤めている会社の社長Gからだった。
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