親指エレジー  

コブシ

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<具> <2>

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「具、見えてたよ!」

 「えーーーっ!」((((゜д゜;))))

男性陣一同驚いていた。

 残りの作業をしていたスタッフも話を聞いてないようで聞いてたのか、驚いていた。

だけど、一番驚いたのは、誰あろう施術していた私である。

 「コブシさんが、膝曲げて足を回してる時、見えてたよ!」

その女性スタッフは、私の後ろのベッドで施術中だった。

だから、私も他のスタッフ、特に女性スタッフが近くにいたので、よけい気を配っていたと思う。

そんな私の目と鼻の先で、まさか・・・そう思うと、衝撃的だった。

その後、そのお客様は2週間ほどして、また、来店された。

その時は指名ナシで、服装もホットパンツではなく、皆、ガッカリしていた。

それから、数ヶ月経って、また、来店された。

 驚いた事に、私を指名してくれた。

その時も、残念ながらホットパンツではなかった。

それから、2度ほど指名の電話があったけれど、私の予約がいっぱいで、他のスタッフが施術した。

その後、1年くらい来店されなかった。

 具のお客様の存在を忘れかけた頃、再び私を指名してくれた。


 私は、基本的に必要な事以外は話をしない。

 施術者それぞれ、考え方が違うので、営業的な喋りで指名を取ったりしてる人もいる。

 勿論、技術的にそこそこのレベルがあっての話は言うまでもない。

 1年振りに、こんな40代のオッサンを20代の女性が覚えててくれて、指名してくれる。

もう、それだけでもテンション上がりまくり。

 「絶対、ホットパンツ履いてくるんちゃう?」

 他のスタッフからは、そうからかわれる始末。

 「いや、冬やし!」

 残念ながら、季節は冬。

 今までと違って、いつも無口なんだけど、私に結構話し掛けてくる。

 勿論、体の事についてだけれど・・・。

 施術も終わり、そのお客様の体の注意すべき事を説明をした私。

 「私、通います!通うんで治して下さい!」

これは、固い指名客になるなと思った。

それから、半年以上経った。

そのお客様は、未だ来店されてない。

 女心とナンとやら。

 女はわからん!

そう再認識した、今日この頃。
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