1 / 35
<面接>
しおりを挟む
今から数年前、私は生活費のために、某全国チェーンのマッサージ屋で働いていた。
日中は自分の仕事をし、夜間だけ割のいいバイトを探していた。
時給は1800円。
しかし、完全歩合制。
お客さんは、60分2980円(税ヌキ)を店に支払う。
その内の1800円が自分の取り分。
60分3000円とは、昔の相場からいうと半値。
しかし、生活の為に、やるしかない!
私の住んでいる近くで、新しくオープンするという店で働き始めた。
面接に行く為、問い合わせてみると、驚いた事に履歴書はいらないらしい。
ただ、講習があるとの事だった。
しかし、経験者は技量に応じて免除してくれるとの事だった。
当時はカイロプラクティックの治療院を14年やっていた。
自分の治療院が流行っていたら、マッサージ屋なんかでは働かない。
流行らないという事は、飯が食っていけないという事だ。
では、何故、14年も続けているのか?
話すと長くなるので、また、後ほど。
新しい店舗に面接に行くと、ベテランの女性社員の方が、数人の人間に講習中だった。
その女性社員は、入ってきた私を、頭のテッペンから足のつま先まで無表情で見つめていた。
これが履歴書の変わりなのだろう。
面接が始まり、私の経歴を聞いてきた。
「ここは経験者よりも、まったくの初心者の比率が高いのよ。」
その女性社員は、相変わらず無表情だった。
「それと、絶対に矯正はしないでください!」
その女性社員は、初めて無表情から威圧するような顔で私に言った。
聞けば、矯正を入れてトラブルになるケースが、多々あるらしい。
「じゃあ、ちょっと施術してみて。」
カイロプラクティックには、一応「ほぐし」という矯正する前に筋肉を緩める技術がある。
それが果たして、マッサージ屋でいいのかわからなかったけれど、今の自分にはそれしかないので、やってみた。
30分くらいやっただろうか。
通常だったら、20分くらいしかしないけれど、このマッサージ屋では、基本的に60分が主体なので、長めにやってみた。
「まぁ、一応、合格ですけど・・・。」
(ですけど・・・、な、何やねん。)
私は何かやらかしたかと、不安になった。
「今、少し矯正入れましたね!」
(へ?ぜんっぜん入れてないけど・・・。)
私はあれだけ、語気強く言われたので、細心の注意をしてやっていた。
「いや、入れてませんけど・・・。」
「まぁ、いいわ。とにかく、絶対に矯正はしないでください!」
って、どんだけ矯正にナーバスになってんねん。
この店には、マッサージの他に、足ツボのコースもあった。
足ツボはやったことがなかったので、数時間講習を受ける事になった。
ツボの場所と、どの臓器に関係しているかを覚えてしまえば、何て事なかった。
足ツボは実戦経験がない為、嫁さんに実験台になってもらった。
すぐにコツがわかり、「うん、これなら金とれるんちゃう。」と、嫁さんからもお墨付きをもらった。
そして、いよいよマッサージ師・・・いや、法律上では、マッサージといってはいけないらしい。
リラクゼーションセラピストとして、デビューする事になった。
日中は自分の仕事をし、夜間だけ割のいいバイトを探していた。
時給は1800円。
しかし、完全歩合制。
お客さんは、60分2980円(税ヌキ)を店に支払う。
その内の1800円が自分の取り分。
60分3000円とは、昔の相場からいうと半値。
しかし、生活の為に、やるしかない!
私の住んでいる近くで、新しくオープンするという店で働き始めた。
面接に行く為、問い合わせてみると、驚いた事に履歴書はいらないらしい。
ただ、講習があるとの事だった。
しかし、経験者は技量に応じて免除してくれるとの事だった。
当時はカイロプラクティックの治療院を14年やっていた。
自分の治療院が流行っていたら、マッサージ屋なんかでは働かない。
流行らないという事は、飯が食っていけないという事だ。
では、何故、14年も続けているのか?
話すと長くなるので、また、後ほど。
新しい店舗に面接に行くと、ベテランの女性社員の方が、数人の人間に講習中だった。
その女性社員は、入ってきた私を、頭のテッペンから足のつま先まで無表情で見つめていた。
これが履歴書の変わりなのだろう。
面接が始まり、私の経歴を聞いてきた。
「ここは経験者よりも、まったくの初心者の比率が高いのよ。」
その女性社員は、相変わらず無表情だった。
「それと、絶対に矯正はしないでください!」
その女性社員は、初めて無表情から威圧するような顔で私に言った。
聞けば、矯正を入れてトラブルになるケースが、多々あるらしい。
「じゃあ、ちょっと施術してみて。」
カイロプラクティックには、一応「ほぐし」という矯正する前に筋肉を緩める技術がある。
それが果たして、マッサージ屋でいいのかわからなかったけれど、今の自分にはそれしかないので、やってみた。
30分くらいやっただろうか。
通常だったら、20分くらいしかしないけれど、このマッサージ屋では、基本的に60分が主体なので、長めにやってみた。
「まぁ、一応、合格ですけど・・・。」
(ですけど・・・、な、何やねん。)
私は何かやらかしたかと、不安になった。
「今、少し矯正入れましたね!」
(へ?ぜんっぜん入れてないけど・・・。)
私はあれだけ、語気強く言われたので、細心の注意をしてやっていた。
「いや、入れてませんけど・・・。」
「まぁ、いいわ。とにかく、絶対に矯正はしないでください!」
って、どんだけ矯正にナーバスになってんねん。
この店には、マッサージの他に、足ツボのコースもあった。
足ツボはやったことがなかったので、数時間講習を受ける事になった。
ツボの場所と、どの臓器に関係しているかを覚えてしまえば、何て事なかった。
足ツボは実戦経験がない為、嫁さんに実験台になってもらった。
すぐにコツがわかり、「うん、これなら金とれるんちゃう。」と、嫁さんからもお墨付きをもらった。
そして、いよいよマッサージ師・・・いや、法律上では、マッサージといってはいけないらしい。
リラクゼーションセラピストとして、デビューする事になった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる