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4章 文化祭
どこに閉じ込める気だよっ
しおりを挟む伊織と自分の部屋のベッドの上で存分にいちゃついた後、ゴロゴロのんびりしていた。伊織はずっと俺に張り付いて甘えてる。
てか服脱いで布団に入っちまうとこの後出掛けるの面倒になって来たな。
このまま寝ちまいてぇわ。
「なぁ伊織~、打ち上げまで後どれぐらいなんだ?」
俺は時間とか場所とか全部伊織に任せていた。
多分俺にも紘夢からメッセージ届いてると思うけど、スマホすら見ていない。
伊織は俺にピッタリくっ付いてキスしながら普通に答えた。
「んー、そろそろ始まるんじゃん?」
「何だそりゃ?おい、何時からなんだ?」
すげぇ曖昧な事言われたからスマホで時間を確認すると、今は18時を過ぎたとこ。
てか茜から電話来てるし!
「18時からだよ」
「はぁ!?もう始まってんじゃねぇか!何でもっと早く言わねぇんだ!ちょっと茜に電話すっから!」
「だって貴哉と二人でいたいんだもん」
俺からスマホを奪ってギューってされた。
何だよこいつ……可愛いじゃねぇか。
「それは俺も一緒だけどよ、一応参加するって言ってあるからよ」
「行きたくねぇ!絶対みんな貴哉貴哉ーって寄って来るじゃん!」
「ならお前は行かなきゃいいだろ。俺は行くぞ~。犬飼と七海とも約束してるからな」
「行くし!てかあいつらと何約束したんだよ?どうせろくな事じゃねぇだろ」
「二人共茜と二人きりにさせてくれって」
「はは!あいつららしいな!」
伊織は笑いながらスマホを返して、ベッドから出て着替え始めた。てか俺は私服で行くけど、伊織は制服しかねぇじゃん。ボラ部Tシャツあるけど、さすがにそれ着て行かねぇよな?
「一回帰るかな~?俺も着替えて行きたいし。貴哉一緒に来てよ」
「いいぜ。そんじゃ茜に遅れるって言っとくわ」
「何て言うんだ?」
伊織がニヤニヤと笑いながら聞いて来た。
「普通に寝てたって言うし」
「嘘つくのかぁ?」
「お前とセックスしてたなんて言える訳ねぇだろ!」
「何でだよ~?付き合ってるんだし別にいいじゃん。まぁ察すると思うけど」
「とにかく急ぐぞ。腹減ったからな」
「んじゃタクシー呼ぶわ」
俺は茜に。伊織はタクシーにそれぞれ連絡を入れて家を出た。
外はすっかり暗くなっていて、少し肌寒かった。
タクシーの中、伊織と打ち上げの会場について話していた。
「御影先生の行きつけのお好み焼き屋だって。美味いって評判の店貸し切ったらしい」
「へー、そりゃ楽しみだ」
伊織が言う御影先生ってのは演劇部の顧問の事だ。二年の担任やってて、見た目は中年のおっさん。ちょくちょく演劇部見に来てたから顔は合わせた事はある。
サバサバしてて俺は結構好き。
初対面で俺の事を「貴哉」って呼んだ教師は初めてだったのを良く覚えている。
「ボラ部の佐々木先生も来るってよ」
「佐々先も?部活には顔出さねぇのに、そういうのには来るんだな」
佐々先は三年の担任してる比較的若い教師だ。
ボラ部でも滅多に、と言うか一度も顔出してるの見た事ないけどな。
演劇部のバーベキュー大会ん時にはさすがにいたけど、そん時に俺にダサい水着を貸してくれたのは今でも忘れねぇ。
「二人の奢りらしい」
「まじ!?いっぱい食うぞー♪」
「なぁ貴哉」
「なんだ?」
「ありがとうな」
「いきなりだな!何のお礼だよ?」
「本当の俺を受け入れてくれたじゃん」
「あー、てかあんま変わらなくね?やきもちとか前から焼いてたじゃんお前」
「やきもちなんて可愛いもんじゃねぇから。お前の事を誰にも関わらせたくないんだぜ?どっかに閉じ込めたいとも思ってる」
「監禁!?どこに閉じ込める気だよっ」
「やっぱ俺んちかなぁ?帰ったら貴哉がいるとか嬉しくね?」
「……お前んちって相変わらず誰もいねぇの?」
「うん。俺一人だよ」
「そっか。なら閉じ込められてもいいかもな」
あんな広い家に一人とか寂し過ぎるだろ。
俺が軽く言うと伊織に手を握られた。
「俺も貴哉も高校卒業したらさ、一緒に住もうぜ♪俺は大学か何か行くだろうから貴哉が卒業するまで待ってるから」
「え」
やべー、俺空と同棲する気満々だったわ!
まだ伊織に話してなかったみたいで、伊織は微笑みながら楽しそうに話してる。
あちゃー、今空と同棲する話したらぶち壊すじゃん。どーしよ?適当に言って誤魔化してもいいけど、そしたら空と同棲しづらくなるよな~。
「今すぐにでも一緒に住みたいけど、さすがに無理だろ?高校出たら一人暮らしするから、一緒に物件見に行こうぜ♪」
「おういいぜ♪一緒に見に行こう」
「なぁ部屋とかどうする?貴哉は自分の部屋欲しいか?」
「まぁ一応」
「でもさ、寝室は一緒がいいだろ?てかずっと一緒がいいじゃん?自分の部屋とか必要かなって思うんだ」
楽しそうに話してる伊織。
俺は内心焦っていた。
空とも住みたいし、今の伊織となら一緒に住みたいとも思える。
うーん、こりゃ面倒な事になっちまったなぁ。
そうこう考えてる内にタクシーは伊織んちに到着していた。
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