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4章 文化祭

類!そろそろ文化祭終わるぞ!

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 俺がボラ部を辞めるか悩んでると、二人は心配そうな顔して見てた。
 はは、この二人がそんな顔するとか笑えるな!

 なんかそんなの見てたら辞めるとかどうでも良くなって来たわ。


「とりあえず続行って事で!今決めるの面倒くせぇわ~」
 
「やったー♡貴ちゃん辞めたらつまらないじゃーん♪」

「ところで貴哉、その髪誰にセットしてもらったんだ?」

「俺も思ったよ!雰囲気変わってて凄く良いよ♪」

「あ、空にセットしてもらったの忘れてたわ」

「ふーん。早川にやってもらったんだー?お上手なこった」

「いーくんがまた怒ってる~。葵くん達来る前も怒ってたよな?二人共喧嘩でもしたの?」

「喧嘩ぁ?したっけ?」


 俺は伊織を見て聞くけど、さぁ?というポーズをして笑っていた。


「えー!絶対怒ってたよいーくん!貴哉どこだってめっちゃ怒って聞いて来たじゃん。電話切った後もめっちゃ不機嫌だったじゃん」

「そうだっけー?あ、貴哉デートしようぜ~♡桃山の用事は済んだのか?」

「あー、あれな。もう諦めたわ」

「もしかして猛犬注意のやつー?みんなでどうやって手に入れるか考えたんだよ♪」

「猛犬注意って、うちのクラスの宝探しか!それで桃山探してたのか」

「そうだよ!面倒なの考えやがって!」

「桃は怜ちん達にブレスレットを守り切れば何でも言う事を聞くって言われてるんだろ?それなら貴ちゃんにしか出来ない桃が喜びそうな事を先にしちゃえばいいんだよ♪」

「あいつが喜びそうな事ってなんだよ?喧嘩か?それなら無理だぞ。真っ向勝負であいつには勝てる気がしねぇ」

「そんなの俺がさせねぇよ。てか誰とも喧嘩すんな」

「茜ちゃんとちょーっとイチャイチャすればいいんじゃないかなぁ?」

「はい!?」

「あ!?」


 とても楽しそうに提案してくる紘夢に俺だけじゃなくて伊織も変な顔をしていた。
 何だよそりゃ?何で俺が茜とイチャイチャするんだよ?


「考えてみてよ?桃は茜ちゃんと貴ちゃんの事大好きでしょ?二人が一緒に何かしてるの良く写メってるし♪だからチューとかしたら喜ぶんじゃないかなぁって♡」

「茜とチュー……」


 出来なくはねぇな。そういやあいつ可愛い同士がどうとか言ってたな。
 俺が少し考えてると、伊織が綺麗に片付いたテーブルをバンッと拳を作って叩いた。
 俺と紘夢は言葉を失って同時に伊織を見た。
 ニコッと笑ったけど、一瞬めっちゃ怒ってる顔してたの見ちゃったわ……


「俺が奪ってやるよ♡だから貴哉は何もするな♡」

「お、おう……」

「ざんねーん♪ちょっと見たかったんだけどな~?貴ちゃんと茜ちゃんのラブシーン♡」

「一条、あんま貴哉で遊ぶなよ?明日からは許さねぇからな」

「こわーい!俺売上を顧問に報告して来まーす♪」


 紘夢はあはは~って笑いながら逃げるようにいなくなった。
 残された俺どうしたらいいのよ?

 
「伊織、とりあえず落ち着け?机壊れるぞ」

「はぁ、何なんだよほんと」

「伊織……?」

「どうして思うようにいかないんだよ。俺はお前と普通に付き合いたいだけなのに」


 下を向いてそんな事をボソボソと喋る伊織。ど、どうしよ?こんな伊織珍し過ぎて困るんだけどっ!
 俺が悪いんだよな?俺が、伊織だけを見てないから……


「伊織、俺……」


 ずっと下を向いたままの伊織に声を掛けようと思った時、まさかの男が入って来た。


「見つけた~♪貴哉に伊織さん♡」

「あ!類!」


 こいつ、文化祭に来てたのか!
 石原類。俺の一個下の中学三年生で、俺の母ちゃんの友達の子供。年下とは思えないぐらい大人っぽくて、背も伊織ぐらい高い。青い髪に口元に付いたピアスが特徴的ないつも笑顔の男だ。
 俺はこいつが苦手だった。
 前に伊織とも会っていて、伊織の事を気に入ってるっぽかったけど……まずい時に会っちまったな。

 突然声を掛けられて伊織はパッと顔を上げて無理矢理笑顔を作っていた。


「石原くん……来てたんだ」

「伊織さんに会いたかったんです~♪演劇観ました!めっちゃかっこよかったです♪」

「ありがとう」

「る、類!そろそろ文化祭終わるぞ!出口まで案内しようか!?」

「んーん。大丈夫~♪それよりも一緒に来てた友達とハグれちゃってさ。電話したら食堂ら辺にいるらしいんだよね~。食堂ってどこにあるの?」


 俺は類を帰そうとするような事を言うと、困ったようにそんな事を言った。今日は友達と来てるのか。
 ならさっさとその友達に引き取ってもらって帰ってもらおう!俺は食堂を言葉で説明しようと思ったら伊織が立ち上がって類の隣に並んだ。


「食堂まで俺が案内するよ。貴哉、ここで待ってろ」

「やったー♡伊織さんありがとうでーす♡」

「…………」


 伊織に背中を押されて喜ぶ類。
 俺はさっさと歩いて行く二人を見て何も言えなかった。

 何で伊織が類を案内する事になったんだ?
 だって、伊織は前に類と会った時に、俺が類を苦手だって教えたから知ってるじゃん。

 何でそんな笑顔で、類の背中触ってんだよ。
 そんな事したら類が喜んでますます俺にあのセリフ言うじゃん……

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