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4章 文化祭
※ 猛犬は見付けたんですけど、取ろうとすると噛みつかれそうで
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演劇部へ向かった貴哉を見送って俺は店番に戻った。今度は直登と数馬が休憩の番だ。
凛子さん達は少しみんなと話した後、貴哉の勇姿を見るために体育館へ入って行った。
凛子さんは本当に貴哉の事が大好きだなぁと思う。一緒にいた早苗さんも息子の倉持の事をとても大切にしている。
俺の母さんも二人のような母さんだったらな……
もう諦めた事だけど、凛子さんと倉持の母さんを見てると羨ましく思うんだ。
「空くんも貴ちゃんを見に行きたいんじゃないのー?」
「見たいですけど、貴哉と一緒に過ごせたんで満足ですよ」
この後行われる演劇部効果で、客が少し引いて来たから店番組の俺達は椅子に座って話していた。そこで一条さんに聞かれたから正直に答えた。
「あ、文化祭デート楽しかったんだぁ?」
「はい♪」
「どこ行ったのー?俺のクラスには行ったぁ?」
怜ちんに聞かれて、俺は宝探しの事を思い出した。そうだ、怜ちんのクラスだし桃さんの事何とかしてくれないかな?
「行きましたよ。宝探しやったんですけど、貴哉の宝がなかなか手に入らなくて困ってるんです。怜ちんコツとかありませんか?」
「貴ちゃんの事だから特賞に手出したでしょ?特のお宝も何個か用意してあるんだけど、どんなやつだったー?」
「猛犬注意ですよ。猛犬は見付けたんですけど、取ろうとすると噛みつかれそうで」
「あはは!よりによって一番ヤバいの引いたね~♪さすが貴ちゃんだ♪」
「何それ?面白そうだね。どんなルールなの?」
「紘夢とかすぐにクリアしちゃいそうだな~。えっとね、この学校中にお宝が隠されているんだけど、それをヒントを頼りに探してくるっていうゲームなの♪レベルがあって、上のレベルになるとヒントも難しくなってるし、お宝を見付けても簡単には手に入らないようになってるんだ~♪」
「面白かったですよ。俺は一番簡単なの選びましたけど、ほら、見付けました♪」
「空くんおめでとー♪今日中に景品と交換してね♪」
「へー、貴ちゃんは猛犬がどうとか言ってたけど、まだ手に入れてないんだ?」
「そうなんですよー。一条さんに相談しようと思ってたんです」
「相談してしてー♪」
「猛犬注意ってヒントを頼りにこの学校の猛犬っぽい人を探したんです。そしたらお互い桃山さんしかいないってなって、会議室にいたんで会いに行ったんです。そしたらお宝を身に付けてました。でも、怜ちん達がお宝を守り切ったら何でも言う事聞くなんて言ったらしく、渡して貰えなかったんです」
「だってぇ~♡簡単に手に入ったら特レベルじゃないじゃーん?」
怜ちんは首を横に軽く倒して、えへへと可愛く笑った。
一条さんはニコニコ笑顔のまま答えた。
「ならさ、貴ちゃんも同じ条件出せばいいじゃん。何でも言う事を聞いちゃえばいいんだよ」
「えー、桃さんですよ?迂闊にそんな事言ったら何を要求されるか分からないじゃないですか」
「ならこっちで決めちゃえばいい♪貴ちゃんには出来て、怜ちん達には出来ない、桃が喜びそうな事をさ♪」
「そんなのあるの?貴ちゃん面倒くさがりだから誰かの言う事聞くの嫌がりそうだけど」
「桃さんが喜びそうな事か……」
「俺、一つ思い付いたんだけど~♡」
一条さんがニヤッと笑った。
この人の頭の中は本当にどうなってるんだ?
次から次へと良くこんなに早く思い付くよな。
「ちなみにどんな事ですか?」
「桃ってさ、貴ちゃんの事好きじゃん?茜ちゃんの事も勿論好き。てか二人の事大好きじゃん?」
「はい。それは認めます」
「二人の事可愛い可愛い言ってるでしょ?自分にとって可愛い同士がイチャつくのが好きらしいんだよね桃って~」
「ばっ!!」
馬鹿ですか!?と言い掛けてグッと堪えた。あ、危なかった!
確かに桃さんて頭おかしいから、自分の恋人である茜さんと貴哉がイチャつくのを望んではいる。
だけど、貴哉が他の人とイチャつくなんてっ!
……嫌だけど、相手が茜さんって考えると別にそうでもなくね?
二人が仲良いのは良く知ってるし、それは先輩後輩、または本当に友達としてだって分かる。
だから桃さんも信用している二人だから心を許して見たがってるのかも知れない。
ワンチャン、貴哉も茜さんとならやるんじゃないか?
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