171 / 219
4章 文化祭
とりあえずここのクラスの奴らに聞いてみよう
しおりを挟む空と二人で二年A組のクラスに来ていた。
そこでは喫茶店をやってるらしく、ウエイターの格好をした生徒達が出迎えてくれた。
どうやら目的の奴はいないらしい。
「いなそうだな。デザイン部の方に出てるのかな?」
「いや、あいつの事だからどっかフラフラしてんのかも」
二年A組のデザイン部で、いつもフラフラしてる猛犬注意な奴と言えば桃山湊だ!
てかこの学校の猛犬と言えば桃山しかいねぇだろ。俺と空の読みは桃山が赤いブレスレットを持ってるってやつだった。
「とりあえずここのクラスの奴らに聞いてみよう」
「そうだな」
「なぁ、桃山知らね?」
「ちょ、貴哉!先輩だから!」
俺がいつも通りに近くにいたウエイターに声を掛けると、空が慌てて止めた。
別に気にする事ねぇのに。
声を掛けたウエイターもニコッと笑って答えてくれた。ほらな?
「桃ならこっちには参加してないよ。部活の方に行ってると思うよ」
「デザイン部だろ?どこでやってんの?」
「どこでやってるんですか!だろ!?」
「空うるせぇぞ。桃山の場所聞いてるだけだろ」
「はは、秋山くんは噂通りだね。デザイン部なら午前中は体育館でファッションショーやるから体育館にいるんじゃない?行ってみてよ」
「ファッションショー!?空!見に行こう!」
「ちょ、貴哉待ってよ!あ、ありがとうございました!」
丁寧にお礼を言ってる空を置いて俺は体育館へ急いだ。
てかデザイン部ってばそんなすげぇのやってんの!?俺は桃山よりもそっちのが見たくなっていた。
後を追って来た空は焦ったようにしていた。
「貴哉、宝探しもいいけど、時間に気を付けないと、今日は絶対遅刻出来ないんだぞ」
「分かってるって。時間は空に任せてるから大丈夫だ」
「俺かよっ!まぁちゃんと見てるけどさぁ!13時からだったよな?早めに12時半とかに行っておいた方がいいよな」
「それも空に任せる~!時間になったら言ってくれ」
「まったく、貴哉は♡」
俺は本当に空に管理してもらうつもりだった。スマホの音は出るようになってるけど、限られた時間は思う存分楽しむ事にしてんだ。
空も嫌そうじゃないし。てか嬉しそうじゃね?
空が楽しそうなら良かった。
体育館に行くと、大勢の観客が見守る中、ステージの上に次々といつ着るんだって言うような派手な服を着て歩き回ってる奴らがいた。
正にこれがファッションショーと言うらしい。でも見た感じ桃山はいねぇ。
「すごーい♪かっこい~♪」
「えっ!どこが!?」
空が俺の隣でそんな事を言うから、改めてステージ上を見てみる。
が、やっぱり変な服着た奴らが色んなポーズ決めてるだけだった。
え、空ってああ言うのが好きなのか?
「どこがって、あれって自分達でデザインして作った服着てるんだろ?すげぇじゃん♪」
「あ、そうなのか?あれ自分達で作ったんだ」
それならすげぇのかな?
あまり言っても文句言ってると思われるだろうし、面倒だから俺はそれ以上何も言わなかった。
体育館の入口でキョロキョロして桃山を探してると、誰かにいきなり後ろからギューっと抱きしめられた。
「貴哉~♡会いたかったぞ~♡」
「あ!伊織!」
俺に抱き付いて来たのは機嫌の良さそうな伊織だった。
伊織とは朝一緒に学校に来てから会ってなかったから、何か久しぶりに会う気がした。
「本当は一緒に回りたかったぜ~」
そう言ってチラッと空を見る伊織。
空は澄ました顔して黙って見てた。
「お前、機嫌良さそうじゃん。何かあったのか?」
「貴哉に会えたからだよ♡」
「そ、そうか!お前は何してたんだ?」
空の前であまりイチャつきたくなかったから、自然な感じで伊織を引き剥がす。
すると、伊織の後ろから詩音や茜達が現れた。
あ、演劇部の奴らと一緒だったのか。
「詩音さん達と打ち合わせしながら飯行ってた♪貴哉は何か食ったのか?」
「牛串とか食った」
「おっ貴哉くん牛串を食べてくれたのかい?あれは僕のクラスがやってるんだよ♪僕が担当の時に来てくれればサービスしたのになぁ」
「へー、詩音が肉焼くのとか想像出来ねぇな!」
「秋山、こんな所で何をしてるんだ?まだ集合の時間じゃないけど、まさか昨日の反省を生かして早めに来たのか?」
茜が目を輝かせてるけど、そう言う訳じゃねぇ。
てか俺はさっさと桃山を探さなきゃいけねぇんだよなぁ。
「悪いけど、別件!ちょっと急いでるから俺達行くな!あ、今日は遅れねぇからさ」
「ふふ、楽しんでおいで♪」
「絶対遅刻するなよー!」
「貴哉、演劇部が終わったら一緒に過ごそう。約束だ」
最後に伊織が俺の腕を掴んで微笑みながら言った。空は相変わらず澄ました顔をしていた。
「おう!約束な~。じゃあまたな」
俺は伊織にそう言って空と体育館から出た。
てかさ、俺と伊織と空が揃うと気まずいのって俺だけ?
伊織は普通にしてるし、空は特に何も言うでもなく澄ました顔してるし。
俺は出来れば二人を一緒にしたくなかった。
10
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる