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4章 文化祭
文化祭の始まりだぜ〜!
しおりを挟む土曜日、文化祭当日。
俺はボラ部部室でみんなとお揃いのTシャツに着替えて、みんなで演劇部の部室兼茜の部屋から野菜とおもちゃを運ぶ作業をしていた。
「どこも盛り上がってんな~。学校がこんな賑やかなのって変な感じだな」
「だな!俺こういうの大好き♪ワクワクするよなっ♪」
隣にいたなっちに言うと、子供みたいに楽しそうに笑って言った。
なっちと怜ちんは自分達のクラスの方にも行かなくちゃいけないから決められた時間しかボラ部にはいられない。
こういう力仕事の時になっちがいてくれて助かったぜ~。
俺が野菜の入った箱を一箱。
なっちはおもちゃが入ってる一番重い箱を二箱担いでいた。
「なっちのとこも見に行きたいな!宝探しゲームやってるんだろ?面白そ~♪」
「来いよ♪是非特賞狙ってくれ!」
「特賞って何貰えんのー?」
「それは取ってからのお楽しみだ♪」
ニシシと笑って特賞を秘密にするなっち。これはなっち達と同じクラスの伊織に聞いても同じだった。
ヒントが書かれた紙を一枚引いて、それを見ながら学校中に隠された宝物を探して行くって言うめちゃくちゃ面白そうなゲームをやってるらしい。
難易度があって特賞クラスになると、かなり難しいらしい。
「気になるな~!俺が欲しがる物か?」
「欲しがる……かなぁ?」
「えっ何それっ!微妙なもんなのか!?じゃあ特賞じゃなくてもいいかなぁ~」
「いやいや!是非秋山には特賞狙って欲しい!!」
「どっちだよっ!まぁいいや!時間見つけて行くからな♪」
俺は午後からは演劇部の方に行かなきゃなんねぇからそれまでに行けたらいいな~。
伊織は朝から演劇部の方へ、怜ちんも自分のクラスの方へ行ってるから残ったメンバーで朝の準備を進めていた。
先にボラ部の陣地に来ていた直登がテーブルの上を整えていた。浅い箱が何個か用意されていて、その中に俺達が運んで来た野菜やおもちゃを入れて行った。
「こうして並べるといよいよって感じするな~♪」
「おーい?このカボチャも詰め放題すんのー?」
「うげ!カボチャそのままじゃん!どうすんだよ?」
「もう手にしたら袋に入った事にしちゃえば良くない?そのまま持って帰ってもらおうと思う」
なっちが不思議そうにカボチャを指さしながら言っている。
直登はあまり気にしてないようだけど、なっち同様、俺は気になって仕方なかった。
俺達が用意してる袋は一応コンビニとかで貰える取っ手付きの物だけど、そこまで大きくはない。500mlのペットボトルが二本入るぐらいの大きさだから、カボチャなんて入れようもんなら破けるだろ!
カボチャだけじゃねぇ!おもちゃもだ!
「実はさ~、こんなの用意したんだよね。野菜もおもちゃも大きい物があるから、手ぶらで来た人とか小さい鞄しか無い人とか用にいいかなって」
俺と直登の会話を聞いていた紘夢が段ボール箱いっぱいに詰まった何かを見せて来た。
いろんな色の四角い物が一個一個袋に入ってるみてぇだけど、何だこれ?
「あ、それってエコバッグですかー?」
「正解♪知り合いにエコバッグ作ってる人がいてさ、前に貰ったの思い出して持って来たんだ。これを100円で売って好きなだけ詰めてもらうのはどうかな?」
エコバッグ!母ちゃんも持ってるぞそれ!
直登が青色の四角いのを一個取り出して袋から出して広げると、見事に立派な入れ物になった。
すげぇ!これならビニール袋よりしっかりしてるし、カボチャも入るな!
てかエコバッグ作ってる知り合いって何!?
紘夢ってどんな知り合いいんだよ!
「すごーい♪一条さん!これ使いましょう♪てか俺もエコバッグ一個貰っていいですかー?」
「いいよー♪いっぱいあるから♪もし必要ならまだ家にあるし、的場に運ばせるから言って~♪」
そっか、直登は料理するから買い物とか行くのか。二人はきゃっきゃと楽しそうにしていた。
そうこうしてると、更に野菜とおもちゃの箱を台車で運んで来た空と数馬も合流した。
他に行ってる伊織と怜ちんを除いてこれで全員揃ったな。
うし!文化祭の始まりだぜ~!
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