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3章 文化祭まで一週間
※ 紘夢カンパニーで料理の腕磨きます!
しおりを挟む※空side
楽しそうに笑う一条さん。最後の謹慎の件は自分のせいだって事忘れてないよな?
とにかく桐原さんの弱点が貴哉なのは頷ける。俺から見ても貴哉の事を本当に愛して、大事にしてるのが分かる。
だから貴哉も不安定だった俺よりも桐原さんを選んだんだろうからな。
「あーもう。思い出したら腹立つなぁ」
「何を思い出したのー?」
「こっちの話ですっ」
「早川もモテるだろうに、何でそこまで秋山にこだわるんだ?」
「貴哉だからですよ!それに先に付き合ってたのは俺です!それを横から掻っ攫うように!ただ俺は奪い返すだけですっ」
「そうですか。怪我しない程度に頑張れよ~」
「面白い!実際貴ちゃんは空くんの事も好きなんだろ?今スパイ付けてないから分からないけど、裏ではイチャイチャしてるんだろ?」
興味無さそうにしてる雉岡さんに比べて興味津々に聞いてくる一条さん。
スパイとか怖い事をサラッと言うよな……
貴哉とは両想いだと思ってるけど、前程手は出してないんだ。本当はいっぱい触りたいけどなっ!
「イチャイチャ出来てませんよ。何か、貴哉幸せそうだし、壊しちゃうの悪い気がして」
「確かに今安定してるよね。俺が空くんに協力してあげようか?」
「…………」
この人絶対楽しんでるよな。
一条さんが協力してくれるとか心強いけど、貴哉が絡んで来るとそうも言ってられない。一条さんなら十中八九上手く行く作戦を立ててくれるけど、十じゃないのは貴哉だからだ。貴哉はいつでも予測不能な行動をするから。
一条さんはそれも込みで楽しんでるんだろうけど、これで失敗して貴哉がもっと離れる事になったら嫌だ。
「空くんは紘夢カンパニーの従業員だから優遇するよ~♡」
「紘夢カンパニー……」
「なんか危なっかしい会社だな。早川、就職先は慎重に選ぶ事を勧めるぞ」
呆れてる雉岡さんは意外と慎重な性格らしいな。
対象的に自分の興味のある事はとことん楽しもうとする一条さん。
俺はどちらかと言うと雉岡さん側の人間だ。
だけど、貴哉に触れたい。
もう一度俺の所に戻って来てくれるなら危ない事でも賭けてみようかとも思ってしまうんだ。
「一条さん、ちなみにどうやって協力してくれるんですか?」
「おっ♪乗り気だね?そうだなぁ、まず空くんは貴ちゃんとまた付き合いたい?」
「はい!」
「おい紘夢、あんま悪い事考えるなよ」
「分かってるよ~。正直いーくんと別れさせるのが一番手っ取り早いんだけど、それだと貴ちゃんもいーくんもかわいそうだから、違う方法を考えてるよ」
「おう、どんなのだ?」
雉岡さんは一条さんの事を心配してるみたいだった。そりゃそうだ。一条さんのやり方次第では桐原さんを敵に回すかもしれないんだから。
俺も余計な事をして貴哉を怒らせたくないから変な方法なら乗らないつもりだった。
「空くんが有利でみんな円満にって考えると、やっぱり空くんの魅力を上げるしかないかなぁ?今のあの二人を見ると、とても上手くいってるように見えるし、だったら相手のいーくんを越えるぐらいの魅力を身に付けるしかないんじゃない?」
「そんなの出来たらとっくにやってますよ」
「いーくん越えるのとか誰でも無理だろ」
「その考えがもうダメなんだよ。いーくんだったらもっと前向きな事を言うんじゃない?現に空くんと付き合ってた貴ちゃんを落とせてるんだから、貴ちゃんはちょっとやそっと口説かれたぐらいじゃ落ちないのは知ってるでしょ?」
一条さんの言う事が正論過ぎて何も言い返せなかった。
確かに桐原さんはどんなに貴哉に相手にされなくても懲りずにちょっかい出してたよな。自分に自信があったからだろうけど、俺はいつもそれに対してやきもち焼いてるだけだった。
だから貴哉は桐原さんを選んだって訳じゃないけど、桐原さんにはあって俺には無い何かが貴哉をそうさせたんだ。
考え込む俺に、一条さんは笑顔で言った。
「気を落とさないでよ♪まずは料理で貴ちゃんの心を掴もう!美味しい肉じゃがを作って胃袋を掴んじゃお~♪」
「料理出来る男子とかモテるだろうな~」
「分かりました。俺やってみます!紘夢カンパニーで料理の腕磨きます!」
「わーい♡美味しいご飯食べられる~♡」
そうだよな。肉じゃが、貴哉も楽しみにしてるもんな。
俺ももっと魅力的になって貴哉に好きになってもらうぞ!
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