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3章 文化祭まで一週間
※ ふふ♪空くんその髪型似合ってるな~って
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俺と空くんと吉乃で学校を出て歩いていた。
空くんは自転車通学だから乗らずに転がしていた。
演劇部で茜ちゃんと卯月が喧嘩しちゃったらしいけど、貴ちゃんといーくんに任せて俺達は帰る事にしたんだ。
今日は空くんが家で初バイトの日だからね♪
バイト内容は家事手伝い。主にご飯を作ってもらうつもりなんだ。
実は楽しみにしてたんだよね。だって手作りご飯が食べられるんだよー?最近休みの日は的場が作ってくれるようになったけど、やっぱり手作りは美味しい♡あと、毎回味が違うから楽しいんだ。
どうせ貴ちゃんが茜ちゃんを、いーくんが卯月を連れて来るだろうから先に帰って準備しなきゃー。材料も多めに用意しなきゃだもんね。
「貴哉大丈夫かな……」
「大丈夫だって。それよりも貴ちゃんが来る前に肉じゃが作っておかないと怒りそうだし」
「確かに!」
茜ちゃんを追い掛けて行った貴ちゃんの心配をする空くんは、髪をバッサリ切っていた。髪色はそのままでハイライト入ってるから、チャラさは変わらないけど、多分貴ちゃん好みになろうとしてるんだ。
俺自身の貴ちゃん調べでは、貴ちゃんの好きなタイプは男らしくて頼りになる人。ちょっとワガママ言っても寛大な心で受け入れてくれる人なら直良し。意外や意外、面食いで、短髪の人が好き。
逆に嫌いなタイプはうじうじしている人。ジロジロ見て来る癖に何も言わずにスッと顔を背けるのなんて大嫌いだろうね貴ちゃんは。
これを考えて空くんを見ると、当てはまる項目が少ないんだ。イケメンなとこぐらいじゃない?まぁ二人にしか分からない何かがあるのだとすれば話は別だけど。
だから今回髪をバッサリ切ったのは大成功だと思うよ~。
「さっきから何で見てるんですか?」
「ふふ♪空くんその髪型似合ってるな~って」
「思い切ったよな。肩ぐらいまであったよな?」
吉乃に言われて自分の後頭部を触る空くん。
吉乃も襟足が長いけど、俺は似合っていれば見た目の好みは無い。
「また伸ばそうかと思ったんですけどね。切っちゃいました♪」
「貴ちゃんの為にー?」
「はい♡貴哉は短いのが好きなんで♡」
「おー、可愛いとこあるのな。でも秋山にはいーくんいるじゃん。可哀想にな」
「可哀想とか言わないで下さい。俺諦めてませんからっ」
「その想いいいと思うよ♪完璧な人間なんていないからね~。いーくんが相手だと一見無理そうに見えるけど、一つアドバイスを言うなら穴を見つけたら突くのをオススメするよ♪」
「穴?弱点って事ですか?そんなのあの人にあるんですか?」
「そりゃあるでしょ~。ねぇ?吉乃ー?」
「いや、分からん。いーくんの弱点って何?」
「……貴ちゃんだよ」
「…………」
「あー、確かにそうだわな~。二之宮もどけど、いーくんも秋山現れて変わったもんな。前のいーくんって完全無欠のスーパーアイドルって感じで誰に対しても笑顔で何でもこなしてたけど、今だと怒ってるの良く見るし、あんま人助けとかしねぇよな。今回の二之宮と卯月のだって、秋山がいたからって感じするし。今のいーくんは秋山中心に動いてる感じがするな」
「そこだよ。恋は盲目って言うけど、いーくんもそのタイプみたいだね♪貴ちゃんの為なら何でもするでしょー。だって優等生って思われてたいーくんが謹慎受けるなんて誰も思わなくない?あはは~♪」
俺が笑うと空くんは何かを考えるように少し上を見てから段々と表情を曇らせていった。
貴ちゃんを射止めた一人だから空くんの事は調べてあったけど、こうして直接話すと意外な一面があったりもする。
調べた限りでは母子家庭で、今は訳ありでお兄さんが住むマンションに住んでいる。中学時代は遊び呆けてることが多く、特に女子との接点が多かったらしいね。でも意外と成績は優秀なんだ。勉強面では常にトップにいたし、授業も真面目に受けていたらしい。
本当人は見かけによらないね~。
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