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3章 文化祭まで一週間

はいお前の勘違い~。俺に謝れ桃山

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 背負い投げをされた座ったままの桃山は俺を見上げて見ていた。
 まだやる気か?いや、もう俺が無理。さっき走ったのと今ので体力の限界だ。
 ここまで体力が落ちてるなんてな……
 今度なっちに筋トレ教わろう……


「貴哉かっけーじゃん!なぁ今のもう一回やって!」

「はぁ?もう無理だって。てかお前強過ぎ!もうお前とはやりたくねぇ!」

「湊!いい加減にしろ!秋山もこんなとこで何やってるんだ!」


 俺と桃山は茜に叱られて、殴り合いの喧嘩は終了した。
 そして俺は茜を見て聞いた。


「おい茜、俺はお前に聞きたい事がある。ちゃんと答えろ」

「な、何だよ?」


 さっきの俺を見たからか、それとも逃げたからか茜は気まずそうに俺を見ていた。
 俺も茜と同じ視線になるようにしゃがんで、聞きたい事を聞いた。


「どうして俺の言った事無視した?」

「何の事だ?」

「とぼけんじゃねぇ。俺はお前に完全に落ち着いたらまた電話しろって言ったんだ。それ無視して帰るってどういう事だ?あ?」

「それは……みんなに俺が悪いみたいに言われたからだ。先に態度がおかしかったのは卯月なのに、秋山も卯月の味方をするから……それが嫌で……」

「卯月?え、犯人って貴哉じゃねぇの?」

「はいお前の勘違い~。俺に謝れ桃山」


 事情を知らない桃山は驚いたように俺を見て来た。俺が笑いながら言うと、ペコリと頭を下げて来た。


「ごめん。処刑対象を間違えるの良くあるんだわ。でも相手が貴哉で良かった。是非またやろう♡」

「テメェ悪いと思って謝ってねぇじゃねぇか!」

「湊が手を出したのは俺からも謝る。秋山、すまなかった」

「謝るのはそこだけか?」

「……秋山の言う事を無視して……ごめん」

「はぁ、マジ心配かけんなよな~!正直言って俺と伊織は演劇部じゃねぇから首突っ込みたくねぇけど、茜、お前の事だからやってんだぞ!」

「……どうして?」

「だから茜だからだって言ってんじゃん!茜は大事な友達だ!友達が誰かと揉めて困ってんの放っておけるかよ」

「でも秋山は卯月側じゃないのか?」

「どっちの味方でもねぇよ。俺は茜の事はもちろん、卯月の事も好きだからな。どっちの話も聞いて、そんで仲直りさせる。それだけだ」


 ここで茜の表情が柔らかくなった。
 まだ不安そうではあるけど、安心したように肩の力を抜いていた。


「そうか。秋山、本当に悪かった。今度は俺の話を聞いてくれるか?」

「当たり前だ♪次逃げたらお前も投げ飛ばしてやる」

「はは、それはやだな」


 茜がやっと笑った。
 茜の隣にいた桃山もそれを見て嬉しそうだった。

 さて、茜の話を聞きてぇけど、あいつら置いて来ちまったんだよな。伊織いるから大丈夫だとは思うけど、一応連絡しとくか。
 俺は伊織に茜を捕まえてこれから話を聞く事を伝えた。てか肉じゃが無しにならねぇよな?空にも後から行くからちゃんと作れって言っておこう。

 スマホを閉じて俺は桃山に声を掛ける。


「なぁ、肩平気か?ヤバそうなら病院連れてくけど」

「今んとこ平気。貴哉って結構やってんの?」

「喧嘩の事か?昔は良くやってたな。高校入ってからは全然だけど」

「なぁ茜!俺だけじゃなくて貴哉も叱って!」

「あ!テメェ!」

「そうだな。秋山、どんな理由があっても暴力は良くないぞ。俺は一瞬お前が怖かったぞ」

「さっきのは正当防衛だ!クソ桃山!お前と一緒にすんな!」

「ふふ♡貴哉と一緒に怒られるの楽しい~♡」


 桃山の肩は平気そうだったから少しホッとした。
 それにしてもまたこうして前みたいに話せるようになって良かった。
 あとは茜の話を聞いて卯月と仲直りさせるだけだ。
 じゃないと文化祭がめちゃくちゃになっちまうからな。それだと俺の進級ミッションが失敗になっちまう!
 何とか仲直りさせてさっさと空が作った肉じゃがを食おう!

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