139 / 189
3章 文化祭まで一週間
はいお前の勘違い~。俺に謝れ桃山
しおりを挟む背負い投げをされた座ったままの桃山は俺を見上げて見ていた。
まだやる気か?いや、もう俺が無理。さっき走ったのと今ので体力の限界だ。
ここまで体力が落ちてるなんてな……
今度なっちに筋トレ教わろう……
「貴哉かっけーじゃん!なぁ今のもう一回やって!」
「はぁ?もう無理だって。てかお前強過ぎ!もうお前とはやりたくねぇ!」
「湊!いい加減にしろ!秋山もこんなとこで何やってるんだ!」
俺と桃山は茜に叱られて、殴り合いの喧嘩は終了した。
そして俺は茜を見て聞いた。
「おい茜、俺はお前に聞きたい事がある。ちゃんと答えろ」
「な、何だよ?」
さっきの俺を見たからか、それとも逃げたからか茜は気まずそうに俺を見ていた。
俺も茜と同じ視線になるようにしゃがんで、聞きたい事を聞いた。
「どうして俺の言った事無視した?」
「何の事だ?」
「とぼけんじゃねぇ。俺はお前に完全に落ち着いたらまた電話しろって言ったんだ。それ無視して帰るってどういう事だ?あ?」
「それは……みんなに俺が悪いみたいに言われたからだ。先に態度がおかしかったのは卯月なのに、秋山も卯月の味方をするから……それが嫌で……」
「卯月?え、犯人って貴哉じゃねぇの?」
「はいお前の勘違い~。俺に謝れ桃山」
事情を知らない桃山は驚いたように俺を見て来た。俺が笑いながら言うと、ペコリと頭を下げて来た。
「ごめん。処刑対象を間違えるの良くあるんだわ。でも相手が貴哉で良かった。是非またやろう♡」
「テメェ悪いと思って謝ってねぇじゃねぇか!」
「湊が手を出したのは俺からも謝る。秋山、すまなかった」
「謝るのはそこだけか?」
「……秋山の言う事を無視して……ごめん」
「はぁ、マジ心配かけんなよな~!正直言って俺と伊織は演劇部じゃねぇから首突っ込みたくねぇけど、茜、お前の事だからやってんだぞ!」
「……どうして?」
「だから茜だからだって言ってんじゃん!茜は大事な友達だ!友達が誰かと揉めて困ってんの放っておけるかよ」
「でも秋山は卯月側じゃないのか?」
「どっちの味方でもねぇよ。俺は茜の事はもちろん、卯月の事も好きだからな。どっちの話も聞いて、そんで仲直りさせる。それだけだ」
ここで茜の表情が柔らかくなった。
まだ不安そうではあるけど、安心したように肩の力を抜いていた。
「そうか。秋山、本当に悪かった。今度は俺の話を聞いてくれるか?」
「当たり前だ♪次逃げたらお前も投げ飛ばしてやる」
「はは、それはやだな」
茜がやっと笑った。
茜の隣にいた桃山もそれを見て嬉しそうだった。
さて、茜の話を聞きてぇけど、あいつら置いて来ちまったんだよな。伊織いるから大丈夫だとは思うけど、一応連絡しとくか。
俺は伊織に茜を捕まえてこれから話を聞く事を伝えた。てか肉じゃが無しにならねぇよな?空にも後から行くからちゃんと作れって言っておこう。
スマホを閉じて俺は桃山に声を掛ける。
「なぁ、肩平気か?ヤバそうなら病院連れてくけど」
「今んとこ平気。貴哉って結構やってんの?」
「喧嘩の事か?昔は良くやってたな。高校入ってからは全然だけど」
「なぁ茜!俺だけじゃなくて貴哉も叱って!」
「あ!テメェ!」
「そうだな。秋山、どんな理由があっても暴力は良くないぞ。俺は一瞬お前が怖かったぞ」
「さっきのは正当防衛だ!クソ桃山!お前と一緒にすんな!」
「ふふ♡貴哉と一緒に怒られるの楽しい~♡」
桃山の肩は平気そうだったから少しホッとした。
それにしてもまたこうして前みたいに話せるようになって良かった。
あとは茜の話を聞いて卯月と仲直りさせるだけだ。
じゃないと文化祭がめちゃくちゃになっちまうからな。それだと俺の進級ミッションが失敗になっちまう!
何とか仲直りさせてさっさと空が作った肉じゃがを食おう!
10
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ
pino
BL
恋愛経験0の秋山貴哉は、口悪し頭悪しのヤンキーだ。でも幸いにも顔は良く、天然な性格がウケて無自覚に人を魅了していた。そんな普通の男子校に通う貴哉は朝起きるのが苦手でいつも寝坊をして遅刻をしていた。
夏休みを目の前にしたある日、担任から「今学期、あと1日でも遅刻、欠席したら出席日数不足で強制退学だ」と宣告される。
それはまずいと貴哉は周りの協力を得ながら何とか退学を免れようと奮闘するが、友達だと思っていた相手に好きだと告白されて……?
その他にも面倒な事が貴哉を待っている!
ドタバタ青春ラブコメディ。
チャラ男×ヤンキーorヤンキー×チャラ男
表紙は主人公の秋山貴哉です。
BLです。
貴哉視点でのお話です。
※印は貴哉以外の視点になります。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
夏休みは催眠で過ごそうね♡
霧乃ふー 短編
BL
夏休み中に隣の部屋の夫婦が長期の旅行に出掛けることになった。俺は信頼されているようで、夫婦の息子のゆきとを預かることになった。
実は、俺は催眠を使うことが出来る。
催眠を使い、色んな青年逹を犯してきた。
いつかは、ゆきとにも催眠を使いたいと思っていたが、いいチャンスが巡ってきたようだ。
部屋に入ってきたゆきとをリビングに通して俺は興奮を押さえながらガチャリと玄関の扉を閉め獲物を閉じ込めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる