117 / 189
2章 文化祭までのいろいろ
めちゃくちゃ楽しいよ♪だって二人が隣にいるんだもん♪
しおりを挟むトランプは片付けられて時間も日付が変わろうとしていた。そろそろお開きになる事になった。
「それじゃあみんな寝ようか~♪おやすみなさーい」
紘夢と戸塚となっちはそれぞれ好きな場所の布団に入り大人しくなった。
俺も布団に入ると、当たり前かのように伊織が同じ布団に入って来た。
「せっかくだから一人一つ使おうぜ?この布団めちゃくちゃフワフワで気持ちいいぞ」
「貴哉と寝たい♡」
ギューっと抱き付いて来る伊織を隣の布団にいた空が見ていて言った。
「桐原さん、ここ一条さんちっての忘れないでくださいよ?みんないるんですから変な気起こさないように」
「一緒に寝るだけだろ。てか布団なら山ほど敷いてあるんだからお前ももっと離れた所の使えよ」
「俺も貴哉の隣で寝たいんでここにします♪」
空は伊織に笑顔で言って、手だけを俺の布団に入れて来た。そして俺の手を見付けてギュッとされた。
「空……なぁ、お前も来いよ♪」
「は?」
「三人でくっ付いて寝ようぜ♪」
俺は空の握られた手を引っ張って同じ布団に入れる。すると空は照れたように笑った。
「貴哉♡」
「はぁ?何勝手に決めてんだ」
「何だよ伊織ー?嫌なのか?」
「……勝手にしろ。ただし、貴哉を抱き締めて寝れるのは俺だからな」
「そんじゃ俺は空をギューってするー♪」
両腕を空に伸ばして更に引き寄せる伊織がいるから上半身だけになっちゃうけど、空とも少しくっ付く事が出来た。
男三人で一つの布団はめちゃくちゃ狭かったけど、何だか楽しかった。
そんな俺を見た空はクスクス笑っていた。
「貴哉楽しそうだな」
「めちゃくちゃ楽しいよ♪だって二人が隣にいるんだもん♪」
俺がそう言うと、二人は目を見合わせてどちらともなく笑っていた。
「はぁ、貴哉がそう言うなら仕方ねぇなぁ♪」
「き、桐原さん!?」
伊織がそう言って俺ごと空まで腕を伸ばして引き寄せた。これによって俺の後ろには伊織、前には空が、ピッタリくっ付く事になった。
うわぁ!なんか凄え事になったぞ!
「今日は特別だ。早川もこのまま寝ていいぞ~」
「やったな空♪」
「やったなって……あの、桐原さん。お願いがあるんですけど?」
空は俺の向こうにいる伊織を見て言った。今の伊織なら多少のお願いは聞いてくれそうだもんな!
「おう、何だ?言ってみ」
「俺、貴哉とセックスしたいです」
「あ?」
俺の耳元で伊織の低い声がして、俺はビクッとしてしまった。空さん、いきなりなんつー事言ってんの!?それはさすがに怒るでしょーよ!
「ダメなのは分かってます。だから、桐原さんも一緒にまた3Pしませんか?」
「……お前」
「そ、空!」
怒らせるのを覚悟したのか、強気な笑顔で、でも少し不安げな顔で空は言った。
とうとう言いやがった。それなら空も堂々と俺に触れるだろう作戦だ!全く計画なんか立ててなかったけど、俺と空で密かに話していた事だから、俺は内心冷や冷やしていた。
だって、伊織がそんな事許す訳ないって思ってるからだ。
「前に桐原さんに挑発されてまんまと乗ってしちゃった事があったでしょ?それのリベンジさせて下さいよ。あの時の借り返さなきゃって思ってたんです♪」
「あー……で、貴哉はどう思ってんだ?」
「へ!?俺ですか!?」
「俺はどっちでもいい。貴哉がしたいならするし、したくないなら断る。どんな状況でも俺が一番お前を愛してるって自信があるからな♡」
「ズルい人だ……貴哉、やるよな!?」
「一旦落ち着け二人共!やるとしても今じゃねぇよな!?」
「今すぐだ!」
「今だ♡」
二人の声が同時に重なった。
二人共正気かぁ?そりゃ少しは興味ある。前にやった時気持ち良かったし?でも、あれは立派な黒歴史だ。茜と桃山に知られた時の反応見たら良くねぇ事だろ?
それに何より、ここは紘夢んちだ。人様の家でそんな事出来る訳ねぇだろ!
「馬鹿かお前ら!三人が寝てる横でんな事してみろ!バレたらどうする!?また変な噂が広がって俺は今度こそ退学だ!そうなってもいいのかよ!?」
「貴哉がそんな事気にしてるのか?意外だな」
「ここにいる人達ならベラベラ喋る人はいないから大丈夫だろ」
「いや、那智は歩く爆弾だから危ないかもな」
「歩く爆弾?確かに良い悪い関係無しに人に話しそうなところはありますね」
二人は真面目に何かを相談していた。すっかりヤル気でいやがるな!冗談じゃない!誰かがいる所でなんかヤレるか!
俺は二人から逃げようと布団から出ようとするが、すぐに伊織にガッチリ抱き抱えられて止められる。むしろ俺の寝巻きの中に手を突っ込んで来て直接肌に触れて来やがった。
「逃げんなよ貴哉♡逃げられると追いたくなるだろ♡」
「今回は俺が邪魔者役ですけど、こっちはこっちで守りじゃないから気が楽ですね♡ただ攻めるのみ♡」
空は空で俺の下半身を自分に引き寄せて密着して来やがる!
どうする俺!?こうなったらガキみてぇに泣くか!?
10
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ
pino
BL
恋愛経験0の秋山貴哉は、口悪し頭悪しのヤンキーだ。でも幸いにも顔は良く、天然な性格がウケて無自覚に人を魅了していた。そんな普通の男子校に通う貴哉は朝起きるのが苦手でいつも寝坊をして遅刻をしていた。
夏休みを目の前にしたある日、担任から「今学期、あと1日でも遅刻、欠席したら出席日数不足で強制退学だ」と宣告される。
それはまずいと貴哉は周りの協力を得ながら何とか退学を免れようと奮闘するが、友達だと思っていた相手に好きだと告白されて……?
その他にも面倒な事が貴哉を待っている!
ドタバタ青春ラブコメディ。
チャラ男×ヤンキーorヤンキー×チャラ男
表紙は主人公の秋山貴哉です。
BLです。
貴哉視点でのお話です。
※印は貴哉以外の視点になります。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる