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2章 文化祭までのいろいろ
お前がまだここにいたいなら付き合うけど
しおりを挟む空の奴、俺が冗談で言ってると思いやがって。
そりゃ今の状況で二人で家を建てるなんて無理に決まってる。そんな事俺にだって分かるわ!
でもさ、二人であれしたいこれしたいって話すのぐらい良くね?何か楽しいじゃんっ!
空ってあんないい加減な見た目してる癖に、現実的ってか真面目なとこあるからなぁ。
「貴哉の言いたい事は分かったよ。俺も貴哉と家建てられるように頑張るから」
「…………」
「え?」
「何をどう頑張るんだ?」
「えっと、とりあえずちゃんとしたとこに就職出来るように頑張るかな?」
「ほう?」
「てか貴哉こそちゃんと考えてるのかよ?働かないとマイホームどころかボロっちいアパートにだって住めないぞ」
「考えてるし!」
「えー、嘘だ~。絶対卒業後の事考えてねぇだろ?」
「うるせぇ!てかまだ一年なんだからそんなの考えなくてもいいだろ!そもそも俺は進級出来るかどうかの瀬戸際なんだ!あと一回でも遅刻したらと思うと……恐ろしい!」
「確かに貴哉は卒業後よりも今が崖っぷちだもんな」
「あ、働くと言えば、お前紘夢んとこでバイトしねぇか?」
さっき紘夢と話した事を思い出して空に聞いてみると、一瞬驚いてから思い出したかのように頷いていた。
「そう言えば前に一条さんならって言ってたな。でも一条さんの所ってどういう事だ?」
「紘夢に聞いてみたらこの豪邸で家事手伝いやらないかって言ってたんだよ。的場の後輩になるって訳だ」
「なるほどね~。確かにここなら学校にはバレにくいよな。悪くないな」
「夕飯作ってくれればいいって言ってたぞ。あと風呂掃除とか。俺も空が紘夢のとこでバイトするなら安心出来るぜ」
「やってみようかな?ちょっと一条さんと詳しく話してみるよ」
「おう!紘夢の事だから給料は弾んでくれると思うぞ♪」
「貴哉、ありがとう。俺の事考えてくれてたんだな」
空は笑ってお礼を言って来た。
俺は空が一人になった時にまた変な事し出すのが嫌なんだ。今は側にいてやる事が難しいから、他に集中させようと思ったんだけど、空も自分の小遣いの為にバイトするのはとても良い事だと思う。
もし空が紘夢のとこでバイトするようになったら勿論応援するつもりだ。
「当たり前だろ。それなのにお前は俺との事ちっとも考えてねぇのな!」
「うわ、根に持ってるし!考えてなくねぇよ?あー、そしたらさ、バイト頑張って今付けてる指輪より高いの買ってやるよ♪そしたらそれ外して俺があげたやつ付けてよ♡」
「いらねぇよ!これでも無くさないように神経すり減らしてんだからこれ以上面倒増やすんじゃねぇ!」
空が俺の左の薬指に付けてる指輪を指差して言った。てかこんなものに金使うならマイホーム資金に充てろってんだ!マジで考えてねぇなこいつ!
でも、やっといつもの空に戻ったかな?
「面倒って酷ぇな。それ桐原さんの前でも言える?」
「普通に言える。次同じような事したらこれごと返すつもりだしな」
「貴哉、それ絶対しちゃダメだって!人としてやっちゃダメ!普通に喜ぼう!?」
「全っ然嬉しくねぇよ!今日貰ったキャップのが何倍も嬉しいわ!」
「あはは、貴哉らしいな」
「そろそろ良い時間だし部屋戻るか?お前がまだここにいたいなら付き合うけど」
「優しい~。でも桐原さん心配するだろうから戻ろうか~?」
今度は空が立ち上がって言った。俺も空の隣に並んで立ち、空の腕を引いてこっちを向かせる。
空は「ん?」と言って俺を見た。
俺は何も言わずに空に顔を近付けて、触れるだけのキスをしてやった。
すぐに離れて目を開けると、空はめちゃくちゃ驚いていた。
「えっ……えー!?」
「戻るぞ」
「待って!貴哉!何でしてくれたの!?」
「したかったからだ!悪いか!」
「ううん!貴哉からとかちょー嬉しい~♡大好き~♡」
空の言う通り俺からこういう事をするのは滅多にない。だって恥ずかしいからだ。
今だって恥ずかし過ぎて空の顔見れねぇし!
てか何でキスなんかしたんだろ?
空を励ますつもりで来たけど、キスとかする気なんかさらさらなかったのに。
空と話してたらなんつーか、その、触れたくなった?
あーもう分かんねぇ!
とにかく部屋戻って寝るぞ!
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