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2章 文化祭までのいろいろ
あ、財布代くれた人?俺も会いたい!
しおりを挟むその後、俺と空はさっきの店に戻って無事?お揃いの財布を買った。ちなみに俺の所持金は10,000円だった。これでも俺にしては持ってる方だったけど、余裕で足りなかったので初めに言ってた通り空に多く出してもらった。
はぁ、何か俺ってば物を貰ってばっかだな。
「わーい♡貴哉とお揃い~♡」
買ったばかりの財布が入った紙袋を持って嬉しそうにしてる空。その笑顔を見たらまぁいっかって気にもなれた。
時間は昼前。まだ時間はあるし、空にこの後の予定を聞いてみた。
「で、この後はどうする?」
「貴哉が嫌じゃなければ兄貴の店に行こうと思ってたんだ。店が開くのは15時からだけど、この時間なら光児さんはいると思うんだ」
「あ、財布代くれた人?俺も会いたい!」
空の言う光児さんも気になっていた。空達の世話をしてくれてる人なら空の親も同然だ。挨拶しとかなきゃな!それと、この財布のお礼もな。
「良かった~♪じゃあ行こうか。光児さんも貴哉に会いたがってたんだ」
「俺の事知ってるのか?」
「写メなら見せた事あるよ。ちなみに俺と貴哉が付き合ってたのも知ってる。とても大人な人だよ」
「へー、楽しみだな♪」
「それと、お昼代無くなっちゃったからご飯も作って貰おうと思って♪ナポリタンオススメ~♡」
俺と空は再びバスに乗り、兄貴と光児さんって言う人の店に行く事にした。
空が案内してくれた店はとても大人な雰囲気で、黒い壁に黒い看板、黒いドア。ほとんどが黒で統一されているとてもお洒落なダイニングバーだった。
こういう店は初めて来たから、物珍しさからキョロキョロしてしまう。空の後から中に入ると、外の窓からも見えていたカウンター席がズラッと並んでいて、その右側には店側の人が立つであろうスペースに、後ろの棚には大量の酒の瓶が飾ってあった。手前のスペースにはコーヒーを作るマシンも置いてあって、コーヒーの匂いがした。
そしてカウンターの後ろ側、入って左にはテーブル席がいくつかあった。どの席も椅子が高くて足が長い人用かと勘違いしてしまった。その更に奥にはソファタイプのテーブル席もあった。
「光児さーん!いるー?」
空がカウンターの外から中に呼び掛けると、奥から一人の男が出て来た。髭面の男。そして室内なのにサングラス。そして髪を頭の後ろに縛っていて、もみあげの部分はツーブロックになっていて、後ろまで全部刈り上げていた。
服装もピチピチのTシャツに、ダメージが入ったジーンズ。如何にも昔は悪でしたって言う感じ!
かっこいいじゃねぇか!
「おー、空じゃねぇか。お?もしかして隣のってー♪」
空に気付いた光児さんはサングラスを外しながら近付いて来た。そして俺を見てニヤニヤ笑った。
「こんにちは。貴哉連れて来たよ♪」
「おお!やっぱり貴哉か!写メ通り男前だな!まぁ座れや。何か出してやるよ」
「男前……光児さん良い人だな!」
言われ慣れない憧れの言葉を言ってくれて俺は、この人は良い人だと判断した。俺は言われた通りカウンターの椅子に座った。
「はは、何飲む?好きなの言えよ」
「光児さん特製カクテルがいい♪」
「オーケー!腹は減ってるか?何か作ってやるよ」
「そのつもりで来たー♡俺はナポリタン♪貴哉は何にする?あ、メニューはね~」
そう言って空が出してくれたメニューを見てみると、ナポリタンの他にもいろいろあった。俺は空のオススメじゃなくて気になったから、スタミナ丼にしてみた。それを選ぶと光児さんは喜んでいた。
「おっ!男っぽくて良いね~♪空も雪も小洒落たのしか食わねぇからこういう男らしいの好きよ♪」
「だって光児さんのスタミナ丼ってニンニクたっぷりなんだもん~。デートにはちょっとねー?」
「あーはいはい。空くんはお年頃ですもんね~」
そんな会話をしながらも光児さんは手を動かしていて、俺達に出すカクテルとやらを作っていた。俺は珍しいからその手つきをずっと見てたけど、何かと何かを混ぜてたりしたけど、素早過ぎて何を何に入れたのか分からなかった。
そしてそれをグラスに注いで俺達の前にサッと出して来た。グラスの端っこにレモンが刺さってる真っ青な液体だった。
「あ♡ブルースカイだ♡」
「空の為のカクテル♪勿論ノンアルな♪そんじゃ飯作ってくるからちょっと待っとけよ」
そう言って奥に消えていく光児さん。
俺は出された青い飲み物が気になったから早速飲んでみた。おお!甘酸っぱい!柑橘系の香りがする何とも不思議な飲み物だった。
「空!これ美味しい!」
「気に入ったなら良かった♡光児さん良い人だろ?」
「ああ、すげぇワイルドだな!料理も出来るなんてカッコ良すぎ!」
隣で空はさっき買ったばかりの財布をガサガサ出しながら話していた。そして今持ってる財布の中身を移し替えていた。
「あ、もう使うんだ?」
「うん♡光児さんにも見せたいからな~」
「そんじゃ俺も出しとくか」
俺は入れ替えまではしねぇけど、お礼を言いたかったからが箱から出しておく事にした。
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