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2章 文化祭までのいろいろ

最新のパソコン!俺専用のな

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 土曜日になり、今日は空と買い物に行く日だ。
 ちなみに昨日夜遅くまで茜達とゲームしてたから昼ぐらいまで寝てようかと思ったんだけど、朝早くに空が迎えに来たから渋々起きる事にした。


「相変わらずだな貴哉は。てか寝てる貴哉を迎えに来たの久しぶりだな」

「休みの日ぐらいゆっくり寝かせてくれよ~」

「何休日のお父さんが言いそうなセリフ言ってんだ!ほら早くしないと貴哉は門限あるんだから~」

「あ、そうだった。夜は伊織と会うんだった」

「貴哉の服選んでやるから顔洗ってこいよ」

「おう。行ってくらぁ」


 眠い目を擦りながら洗面所へ向かう。
 この後は空と買い物行って、夜は伊織と待ち合わせ。あー、何か面倒くせぇな。せっかくの休みなのに、一日潰れちまうじゃねぇか。
 顔を洗って、歯を磨きながらぼんやり考える。
 てか空と話したけど、みんなで泊まればいいんだよな?そこで思ったんだけど、紘夢んちはどうだ?あいつんち広いし、ちょうど紘夢に空のバイトの事聞きたかったんだよな。
 ちょっと紘夢に聞いてみるか。

 俺が部屋に戻ると、空がコーディネートした今日の俺の着る服がベッドに置かれていた。黒のパーカーにライトブルーのダメージジーンズが。俺が持ってる服ってワンパターンだから大抵はこういう感じになる。


「何か服増えた?しかも貴哉が着なそうなのもあるし」

「ああ、伊織がくれるんだよ。俺に似合いそうとか言って良く買ってくるんだ」


 空は一枚のTシャツを広げて見せて聞いて来た。パステルグリーンって言う色らしい俺が選ばなそうな淡い緑色のTシャツ。着れれば何でもいいと思ってるから俺は普通に着るけど。


「あの人の趣味か。良いよな~、金持ちは!俺も貴哉に何でも買ってあげたいな~」

「やめろよ。伊織からのはもう慣れたけど、貰ってばっかもプレッシャーなんだからな!いつ返せって言われるか分からねぇし、ま、んな事言われてもお前がくれたんだろって言ってしらばっくれるけどな~」

「桐原さんはそんな事言わねぇだろ」


 笑いながら空は持っていたTシャツを綺麗に畳んでしまった。なんだかんだ伊織の話題になっても普通に話せている。前の空はムッとしたりやきもち焼いたりしてたけど、俺と伊織が付き合ってるって言う体でちゃんと向き合ってくれてるらしい。


 俺の準備も済んだから空と家を出てバスに乗る。時間は9時。隣に座ってる空は機嫌が良さそうで、俺は欠伸をしながらうとうとしていた。


「何時まで起きてたんだ?」

「3時」

「またそんな遅くまで……でもさっきまで寝てたなら睡眠は取れてるな」

「いつもよりは寝てられたからな~。腹減った~。空何か食ったのか?」

「まだだよ。一緒に朝ごはん食べよ♪何が食べたい?」

「そうだな~。軽く食えるもんがいいよな。そんで昼飯はガッツリ行きたい」

「そんじゃカフェで軽食でも食いながら話そうぜ~」

「おう」


 今日の予定は空に全部任せるつもりだ。一番の目的は空が俺に何かを買いたいらしいからな。俺も空に買うつもりだけど。
 伊織もだけど、空は特にこういうデートっぽいのには慣れてるからいつも行く所はお洒落な場所が多かった。なっちと良く行く牛丼屋とかラーメン屋とか男が好きそうな場所には行った事ないもんな。

 バスを降りていろんな店が並ぶ街に到着して、近くにあったカフェに二人で入る。
 空はアイスコーヒーとトーストサラダセット。俺はアイスティーとホットドッグを頼んだ。


「一応聞くけど、貴哉は欲しい物ある?」

「最新のパソコン!俺専用のな」


 俺は家でゲームする時は父ちゃんのノートパソコンを借りていた。少し古い型だし、何より俺は自分のが欲しかった。俺は思い付いた欲しい物をパッと何も考えずに言うと、空は苦笑いを浮かべた。


「ごめんだけど、それは桐原さんに頼もうか」

「冗談だよ。空と俺が買えそうな物でって事だろ?俺は何でもいい。俺も空も喜ぶ物ならな」

「それってお揃いの買ってくれるって事?」

「俺はそのつもりだったけど」

「嬉しい♡じゃあやっぱり身に付けられる物がいいな~。俺とお揃い付けてて桐原さん怒らないか?」

「やきもちは焼くと思うけど、別に焼かせときゃいいだろ。あ、指輪は勘弁な!あとネックレスとか付け方分からないから無しな」

「じゃあ……ちょっと貴哉の財布見せて?」

「財布?金ならちゃんと持って来たぞ」


 俺の所持金チェックか?別に空になら見られてもいいと思ったから自分の財布をリュックから出して渡すと、特に開ける事なく外見だけ見て返してくれた。俺の財布は中学ん時からずっと同じのを使っていた。母ちゃんのお古で、一応ブランド物らしい。何のかは知らないけど。だから結構ボロボロになっていた。
 それと財布なら前に芽依に貰ったのがあるんだけど、それは一度も使わずに箱に入れたままクローゼットにある。筈。


「お揃いの財布とかどう?」

「え、財布ぅ?」

「貴哉のボロボロだし、俺も新しいの欲しいと思ってたんだ。それならいつも目につく訳じゃないから桐原さんも気にならないでしょ」

「確かにそれならいいかもな♪でも空が使ってんのって高そうじゃん?それってブランド物だろ?」

「財布は長く使いたいから高くても良いのを買うようにはしてる。貴哉の予算が足りなかったら俺が多く出すから、財布にしよう♪」

「空がそれでいいならいいけど」


 伊織程じゃないけど、空も自分の目的の為なら金使いが荒いんだ。特に服と髪には惜しみなく使ってるっぽい。
 俺はあまりにも高いやつを選ぼうとしたら止めればいいやと思って空とお揃いの財布を買う事に決めた。
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