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2章 文化祭までのいろいろ

猿野の母ちゃん美人だな!

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 俺達が客間で待ってると、猿野の母ちゃんが飲み物とケーキ、そしてお菓子まで持って入って来た。
 めっちゃもてなしてくれる!


「今友ちゃん来るからね。みんなお紅茶で良かったかしら?」

「はい。突然お邪魔したのにすみません。申し遅れましたが、僕は三年の薗田詩音です。部活でこの前まで部長をやらせていただいてました。このケーキ、お母様の手作りですか?」

「あら、友ちゃんの先輩なのね~。とても綺麗な方で驚いちゃった♪いつもトモちゃんがお世話になってます。そうなのよ~♪ちょうど友ちゃんの為にチーズケーキを焼いててね~♪みんなのお口に合えばいいんだけれど」

「とても良い香りがしていたので♪ありがたくいただきますね」


 さすが最年長詩音!しっかりした挨拶をしてた。
 その後すぐにバタバタと荒々しい音が聞こえて来て、今日の主役の登場。相変わらずの金髪ライオンヘアーの猿野は、Tシャツにジャージ姿で、この家には不釣り合いに見えた。


「うおーーー!みんなっつーから誰かと思ったら本当にみんな揃ってるじゃねぇか!あ!薗田さんまで!」

「ようトモ。お前元気なさそうだったからみんな心配してたんだぞ」

「友ちゃんにこんなにたくさん素敵なお友達がいるなんて、ママ嬉しいわ♡みんなゆっくりしていってちょうだいね♪」


 猿野ママはニコニコ笑顔のまま客間から出て行った。マジで親子か?疑いたくなるぐらい似てる要素ねぇけど?


「あーーー!秋山ぁー♡」

「うす。お前元気じゃん。仮病か?」


 猿野は俺を見つけると、すぐに駆け寄って来た。両隣に座っていた伊織と空が警戒するのが分かった。


「体調悪かったのはマジだって!飯食って寝てたら良くなった♪秋山が来てくれるなんてな~♡ちょっと早川どいてくんね?」

「え、あっちの椅子空いてるじゃないですか」

「んじゃあ桐原、譲って」

「お前がここ座ったら貴哉に風邪移るだろうが」

「ちょっと待て!みんな俺の見舞いに来てくれたんだよな!?」


 いつも通りの伊織と空に、猿野は俺の後ろにずっと立ってるつもりらしかった。
 ここで紘夢が紅茶を飲んでニコッと笑って喋り始めた。


「トモ~、めちゃくちゃ良い家に住んでるんだね~♪この紅茶も有名店の葉っぱで淹れてるよね♪」

「おう!一条からしたら大したことねぇだろうけどな!俺は葉っぱの事は知らねぇけどな!てか何でこんなに大勢で来たんだ?」

「俺が誘ったのは秋山だけだよ」

「雉岡さんだけだと貴方から貴哉を守れる人がいないんでみんなボディガードで来たんですよ」

「そう言う事な~♪秋山に会えたし何でもいいけど!」


 猿野は空の言う事に納得していた。自分が危険人物だって警戒されてるって自覚はあるんだな!


「なぁ、猿野の母ちゃん美人だな!友ちゃんとか呼ばれてるし」

「ああ俺はオカン似だからな♪」

「似てねぇだろ!てかあの美人な母ちゃんにオカンかよ!」

「あはは、猿野は末っ子だから可愛いがられてるんじゃない~?学校とでは全然違うのかもね」


 怜ちんは楽しそうに笑ってるけど、全く笑えねぇよ!この見た目からして野蛮で、下衆くて、俺の乳首ペロってした変態が、どうやったらあの美人なお姉さんから産まれてくるってんだ!おまけに家は裕福で何不自由なさそうに見えるし!
 俺の母ちゃんはすぐ怒るから、いつもニコニコしててケーキまで焼いてくれるなんて、羨ましくて仕方なかった。


「まぁオカンだけじゃなくてオトンも兄ちゃん達も優しいかもな~。俺が出来の良い息子だからな!」

「トモの家族は本当の三男を知らないんだろうよ」

「トモがして来た事知ったらぶっ倒れちゃうんじゃね?」


 猿野と仲の良い犬飼と雉岡は笑いながらそう言った。


「何はともあれ猿野くんが元気そうで良かったよ。来週からは学校へ来れるのかな?」

「はい!行きますよ~♪えへへ♡」


 詩音に聞かれて、元気良く答えた後、俺を見てデレ始めた。なになに!?キモっ!


「何笑ってんだよ?てかいつまでそこにいるつもりだ。空いてるとこ座れよ」

「秋山に会えたら元気出たんだよ~♡」


 そう言って俺の肩にポンッと手を置いた。
 俺自身、バーベキュー大会での出来事は気にならなくなったけど、伊織はそう言う訳にはいかないようだった。伊織は猿野の手をグッと掴んでニッコリ笑って言った。


「念の為、貴哉に風邪移るかもだから、触るなよ?念の為な」

「ちょっとぐらいいいじゃんか~!なぁ?秋山ぁ?」

「まぁ少しぐらいなら……」

「貴哉は良くても俺はやだなー?だって猿野だし?そう言えば詩音さんは知ってるんでしたっけ?バーベキューん時の事」

「ん?何の事だい?貴哉くんの水泳の事ならバッチリ写真に収めたけど」


 伊織が意地悪く詩音にチクろうとしていた。
 多分、あの事は猿野達三人と、俺と伊織しか知らない筈だ。
 ここで猿野じゃなくて、犬飼と雉岡が慌て出した。


「桐原!あれだろっ!?肉が美味かった~って話!」

「そうそう!美味すぎて誠也なんか食い過ぎて腹壊したもんな~!」

「お肉?まぁ、贔屓にしているお肉屋さんのだからね~」

「バーベキューかぁ~。懐かしいなぁ。あん時の秋山はマジでヤバかった♡」


 せっかく二人が誤魔化しているのに、猿野はあの時の俺を思い出してるのか、ニヤニヤと自分から暴露しそうになっていた。酷い馬鹿だな。
 これには犬飼と雉岡も立ち上がり、猿野を連れて客間から出て行った。

 あの事が詩音に知られたら三人共やべーだろうな。
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