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2章 文化祭までのいろいろ
俺みたいな素人なんてボロクソに言われても仕方ねぇさ
しおりを挟む放課後になり、部活を終えた俺は掃除当番なので茜と一緒に食堂内の掃除をしていた。
今日はこの後猿野んち見舞いに行くんだよな~。紘夢達とは部室で待ち合わせてる。なっちも誘ってあるから待っててくれてると思うんだ。
「茜ー!俺そろそろ帰るぞー」
「あ、待ってくれ秋山」
「?」
さっさと掃除を終わらせて部室へ行こうと鞄を持ち上げると、茜が駆け寄って来た。
「何だよ?俺急いでんだ」
「あの、俺の事……嫌いになってないか?」
「……はぁ!?何それ!何で茜を嫌いになるんだよ~」
とても言いにくそうにボソボソ喋るから一瞬何を言ってるのか分からなかったぜ!
あ、さては俺にスパルタ指導してるの反省してるなー?可愛い奴め!少し苛めてやるか?
「なってないならいいんだ!変な事聞いて悪かった」
「いや、正直言っていいか?」
「何だ?構わない。言ってくれ」
俺が少し雰囲気を真剣なものにして、茜に聞くと、真面目に返って来た。
「実は結構キツかったんだよ。ほら、茜とは今まで二人で楽しくやってたじゃん?それがいきなりあんな風に怒鳴られたりしたらさ……さすがの俺も、やだなって……」
「わ、悪かった!俺もやり過ぎかなとは思ってたんだ!でも、これが俺だから、スイッチ入ると止まらなくて……家に帰ってからも秋山にはキツく言い過ぎたなとか、嫌われたらどうしようとか、いろいろ考えるんだけど、部活になるとどうにもコントロールが出来なくて……」
俺が少ししょげて言うと、茜は一生懸命に弁解して来た。そんなの知ってるよ。茜はクソ真面目だもんなー♪
ちょっと構ってるだけなんだけど、茜のガチな反応が面白過ぎて笑い堪えるのが辛い。
「いいんだよ。茜は正しいぜ?演劇部副部長ともなれば中途半端なのは許されねぇもんな。俺みたいな素人なんてボロクソに言われても仕方ねぇさ」
「秋山は一生懸命やってるんだ!でも俺がより良くしたいが為に無理をさせてしまってるんだ!」
「もういいよ。俺も文化祭までは耐え抜いてやるよ。じゃあな二之宮副部長」
あー!ダメだ!もう笑い堪えるの限界!廊下に出て腹抱えて笑おうと思って逃げるように食堂から出ようとしたら、茜に手を掴まれて止められた。
ヤバい!もう我慢できねぇ!
「あはは!嘘だよ茜~!マジお前真面目過ぎておもしろっ……って、茜ぇ!?」
「あ、きやま……」
振り返って本当は嘘でしたーってドッキリ大成功させる筈が、大粒の涙をポロポロ流す茜が目に入って俺はヒヤッとした。
えーーー!茜泣いてんのぉ!?
ちょ、俺めちゃくちゃ悪い奴じゃん!
「何泣いてんだよ!今の全部冗談だから!」
「ほんとうか?」
「本当本当!俺、茜に厳しくされて嫌だとは思ったけど、俺の為に厳しくしてくれてるんだって分かってるから!だから気にすんなよ!俺は変わらずお前の事好きだから!」
「そっか……はは、安心した」
涙をポロポロ溢しながら嬉しそうに笑う茜に俺は思わずドキッとしちまった。なるほどな。こりゃみんな茜に惚れちまう訳だ。
俺は申し訳なさでいっぱいになり、ワイシャツの袖で涙を拭いてやった。
「ん、秋山の服が汚れちゃうだろ」
「いいよ。俺が悪いんだし。なぁ茜ー?ごめんな?茜の反応が面白過ぎて悪ふざけしすぎたよ」
「秋山の演技力を舐めていた俺にも非はあるから。お互い様って事にしよう♪」
「茜って可愛いよな」
「はっ!まさか秋山に言われるとは!泣いたの誰にも言うなよ!?」
「言わねぇよ。何か茜っていじめたくなる」
「年上をからかうんじゃない。それよりお前急いでるんじゃなかったのか?」
「あ!そうだった!今日猿野んち行くんだ」
「猿野の家に?秋山がぁ?何でまた」
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「いや、辞めておけ。俺はお前の為に止めるぞ」
「大丈夫!ボディガードになっちを連れてくから♪」
「なっち?ああ、香山か。確かに香山なら守ってくれそうだな。桐原じゃダメなのか?」
「伊織も行くぜ。でも伊織より猿野の方がガタイ良いじゃん。猿野とタイマン張れるのはなっちしかいねぇだろ♪」
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「おう!んじゃまたな茜!あ!」
「何だ?まだ何かあるのか?」
俺は再び茜に近付いてぐいっと顔を近付けると、茜はキョトンとした顔をしていた。
「俺、茜の事大好きだぜ♡だから余計な事考えずに最後まで副部長やりやがれ♡」
「秋山ぁ♪ああ!俺も秋山の事、大好きだ♪ありがとう!」
そして茜は可愛いく笑って、俺はボラ部部室へ向かった。
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