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2章 文化祭までのいろいろ
なになに、ボイコット?
しおりを挟むやっと来ました金曜日!今日を乗り切れば休みだ~♪
朝、教室で明日の空との買い物の事を考えてたら、教室に人が少ない事に気付く。みんな今日遅くね?なになに、ボイコット?
そんな事を考えてたら今登校して来たのか空がイヤホンを外しながら俺に声を掛けて来た。
「おはよう貴哉。まだ教室にいたんだ」
「何それ?マジでボイコットすんの?」
「ぷっ!何だよそれ?今時そんな事する奴いねぇだろ」
「笑ってんじゃねぇ!みんながいない理由教えろ!」
「いやいや、今日朝一全校集会あるじゃん。だからみんな体育館行ってんだって。今日って生徒会選挙の日だろ」
「何だそりゃ!?知らねぇよそんなの!」
「知っとけよ。誰よりも生徒会と繋がりあるくせに肝心な事は知らないよな貴哉って」
何だよその面倒くさそうなやつー!全校が体育館に集まるだとぉ?行きたくねぇー!
「あ!直登達もいねぇって事はもう行ったって事か!?何だよあいつら教えてくれてもいいじゃねぇか!」
「ハブられてやんのー」
「お前もハブるのか?」
「まさか♡二人で行こうぜ~♡」
行きたくねぇけど、こういうのサボると玉山がうるせぇからな。一応行っとくか。
空と廊下を歩いて体育館まで向かうと、途中から人が多くなってマジで嫌になって来た。
そんな俺に気付いた空は笑ってた。
「貴哉顔に出し過ぎ~。でも貴哉ってこういうのあんま参加しないよな。だから変な感じだな」
「何でむさっ苦しい所に長時間いなきゃいけねぇのって思う。話も興味ねぇし、そもそも俺関係ねぇし」
「こういう集団行動も大事ですよって意味でしょ。特にこの学校の生徒会の事だから今回の集会は盛り上がるだろうね~」
「あ、神凪もとうとう引退か~!お疲れーって感じ?」
「そんな気安く出来るのは貴哉だけだよ……本当あの人にそんな風に接する事が出来る何て恐ろしいわ」
「何でだよ?あいつも俺達と同じ普通の人間だぞ?」
「そうだね。貴哉はこういう子だったよ」
「テメェ!馬鹿にしてんのか!」
「二人共朝から仲良いね~♪俺も混ぜて~♪」
俺と空が話しながら歩いてると、後ろから誰かに声を掛けられた。振り向くとニコニコ笑顔の紘夢がいた。
「一条さん、おはようございます」
「おはよー♪あは♪貴ちゃんネクタイ曲がってるよ~」
「くそう!何でみんなそんな綺麗に縛れんだよ?」
伊織に買ってもらったネクタイはあれから毎日つけている。紘夢はそっと直してくれた。
「慣れだよ慣れ♪貴ちゃんもその内出来るようになるよ」
「ん。サンキュー紘夢~」
「今日は葵くんの最後の晴れ舞台だからね♪正確には文化祭までだけど」
「そっか、お前と神凪って仲良いもんな~。てかお前侑士と仲悪いんだろ?大丈夫なのか?」
紘夢は俺の整ったネクタイから手を離して真っ直ぐに見て来た。
伊織が言ってたんだ。紘夢と桃山は侑士から嫌われてるって。生徒会長が絶対のこの学校で二人はやって行けるのか心配もあった。
「葵くんからは聞いてたけど、侑士に気に入られたみたいだね。さすがは貴ちゃんだよ」
「気に入られたったつーか、まぁいろいろな」
「侑士は和を乱そうとする曲がりものが嫌いなんだよ。だからこれから大人しくしていれば問題無いと思う。葵くんがいなくなる来年になったら分からないけど」
「ならお前は大丈夫だな♪もう良い奴だし、後は桃山だけか~」
「何かあったら貴ちゃんは俺の味方してくれる?」
「もちろん!だから紘夢も俺がヤバかったら助けてくれよな!」
「わーい♪俺達相思相愛だね~♪」
「紘夢、何道草食ってんだ。体育館入ってねぇのお前らだけだぞ」
おお!久しぶりに見たな紘夢の彼氏の雉岡!紘夢と同じ二年で、顔に付けてるピアスはベロにも付いてる一見普通そうで普通じゃない男!襟足の金髪も紫色に変わってやがるじゃねぇか!
「あ、吉乃~♡間に合ったんだね♡」
「ギリギリな。よう一年共。元気そうだな」
雉岡は俺と空を見てにっこり笑った。
この二人が付き合ってるってのは今だに不思議だぜ。
「おはようございます雉岡さん」
「はよ!雉岡寝坊でもしたのか?」
「あはは。吉乃は貴ちゃんじゃないから寝坊なんてしないよ~。トモの様子見に行ってたんだよね」
「変態の?」
紘夢が言うトモってのは猿野の事で、演劇部の裏方のライオンヘアーの大男の事だ。俺を見付けると問答無用で追いかけて来る変態だ。雉岡ともう一人犬飼は猿野と三人で仲がいい。
「あいつ昨日早退したんだよ。今日も休むって言うから珍しいんで見舞い行って来たんだ」
「トモどうだった?」
「風邪って聞いてたけど、あれはいろんな意味で重症だな」
雉岡は涼しい顔しながらそう言った。
あの猿野が風邪とか想像出来ねぇけど、いつも演劇部で元気にしてるの見ると、休むって事は本当に体調悪いんだろうな。
「そうだ、秋山も見舞いに行ってやってよ♪そしたら元気になるんじゃね?」
「俺ぇ?」
「貴ちゃんを行かせるのは危険じゃないか?あいつ貴ちゃんを襲いたくて仕方ないんだろ」
雉岡の提案に俺はギョッとした。紘夢も察してくれたのか反対してくれたけど、猿野の友達である雉岡は本当に心配してるようだった。
「でもさー、トモがあんなに弱ってるの見るとな~」
「こうするのはどうですか?猿野さんが貴哉を襲おうとしても対抗出来るようにボディガードを連れて行く。そうすれば貴哉は安全にお見舞い行けますよね?」
「さっすが空くん♪でも誰がボディガードするー?正直俺や吉乃、空くんだってあのデカブツのトモには勝てないよ」
「俺、最適な人知ってます♪香山さんですよ」
「なっちか!確かになっちなら猿野に勝てるな♪」
「確かに那智ならイケるかもね!体格も力もあるし、よし、それで行こう♪」
「おっ決まり?んじゃ放課後みんなで行こうぜ。誠也にも声掛けとくわ」
俺達は急遽、今日の放課後に猿野の見舞いに行く事になった。
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