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2章 文化祭までのいろいろ
怖っ!お前性格悪くなって来てねぇか?
しおりを挟む昼休みになり、空と一緒に伊織と待ち合わせしてる屋上へ向かう。
確か空に紹介する筈だった奴もいる訳だけど、どんな奴だろ?
「でもさ~?あの人も俺の事舐め過ぎでしょ?いくら貴哉に似てる人でも所詮は偽物じゃん。好きになる訳ないっての」
「そうか?俺の偽物でも、俺より良いなと思ったら好きになるんじゃね?」
俺が思った事を普通に言うと、空は目をぱちくりさせていた。え、変な事言ったか?
「ならないよ!貴哉以上なんていないし!そもそも男は無理!俺は貴哉だけなの!」
「わ、分かったよ。怒るなって」
「あー、また貴哉と付き合いてぇなぁ」
自分の髪をいじりながら隣を歩く空。
今こうして普通に話しているけど、俺と空は別れていて、付き合ってる訳じゃない。でもお互い嫌いで別れた訳じゃないし、俺も空もお互い好き合っている。何とも不思議な関係だ。
「空~、俺の事好き?」
「だーいすき♡」
ニッと笑って即答するチャラ男。俺はキスしたくなったのをグッと堪えて、空の手を握った。
俺のその行為に驚いたのか空は間抜けな顔をしていた。
「えっ貴哉!コレ大丈夫なのか!?」
「少しぐらい平気だろ♪」
本当は伊織に見つかったら怒られると思う。じゃなくても、伊織のファンとかが見てチクる可能性もある。それでも俺は空とこうしたかったから手を握ったんだ。
空とは付き合ってないけど、空の事も伊織と同じぐらい大切にしたいと思っているからだ。
「貴哉♡ちゅーは少しにはならないかなぁ?」
「ならねぇよ。てか俺も我慢してんだから言うなっ」
「えっ♡貴哉もしたいのー!?じゃあしようよー♡」
「馬鹿か!?出来る訳ねぇだろ!伊織が怒るとかじゃなくて場所を考えろ!」
「じゃあ土曜日しよ♡」
「お前なぁ……そういう浮気発言を堂々と言うなよ。ここ学校なんだから、誰がどこで聞いてるか分からねぇんだぞ」
「俺は聞かれてもいいと思ってるぜ♪てか桐原さんもそうだっただろ?俺と付き合ってるのに平気で貴哉に手を出してたじゃん。あの人、演劇部に仮入部する時の挨拶で、貴哉の事俺のだからみたいな事言ったんだろ?自分がして来た事をやられて少しは思い知れっての!」
「怖っ!お前性格悪くなって来てねぇか?」
「桐原さん程じゃねぇし!……とにかく俺は堂々とするよーん♡そんでいつか貴哉を取り戻す!」
「はは、もしそのいつかが来たらさ、しようぜ同棲」
「……っうん!約束だからな!」
俺がずっと言いたかった事を言うと、空は目を潤ませて大きく頷いた。
また金貯めるかなー?お互いの高校卒業後はどうなるかなんてまだ分からねぇけど、そういう楽しみもあってもいいと思うんだ。
他の誰かじゃなくて俺が空の支えになってやりてぇ。もし今空に他の男が出来たら殴っちまいそうだ。女だったら殴れねぇから別れろって脅すか?
空と話しながら屋上への階段を登る。その間も俺と空はずっと手を繋いでいた。まるで別れてから離れていた時間を埋めるように。
多分伊織はもういるだろうなー。俺と空、話してて少し遅れたし。
「はぁ、さすがにそろそろ手は離すか」
「いいんじゃない?このままでも」
「いや、面倒くせぇじゃん」
伊織の事だから絶対気にするだろ。
名残惜しいけど、俺から空の手を離してやった。
「何が面倒くせぇの?」
「何がってそりゃ伊織が……あれ?今の空が言ったんだよな?」
何か違和感を感じて空を見ると、気まずそうな顔で階段の下を見ていた。どうやら今の質問は空がしたんじゃないらしい。良く考えたらもっと低くて聞こえて来た方向も空が見る方から……
「あ!伊織!?」
「仲良くし過ぎじゃね?やきもち焼いちゃうよー?」
声の主は一番見られちゃマズい伊織だったんだ。
ええー!てかもう先に屋上にいるものだと思ってたぜ!
ニコニコ笑ってっけど、絶対怒ってんじゃん!め、面倒くせぇ事になっちまったぜ!
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