82 / 219
2章 文化祭までのいろいろ
怖っ!お前性格悪くなって来てねぇか?
しおりを挟む昼休みになり、空と一緒に伊織と待ち合わせしてる屋上へ向かう。
確か空に紹介する筈だった奴もいる訳だけど、どんな奴だろ?
「でもさ~?あの人も俺の事舐め過ぎでしょ?いくら貴哉に似てる人でも所詮は偽物じゃん。好きになる訳ないっての」
「そうか?俺の偽物でも、俺より良いなと思ったら好きになるんじゃね?」
俺が思った事を普通に言うと、空は目をぱちくりさせていた。え、変な事言ったか?
「ならないよ!貴哉以上なんていないし!そもそも男は無理!俺は貴哉だけなの!」
「わ、分かったよ。怒るなって」
「あー、また貴哉と付き合いてぇなぁ」
自分の髪をいじりながら隣を歩く空。
今こうして普通に話しているけど、俺と空は別れていて、付き合ってる訳じゃない。でもお互い嫌いで別れた訳じゃないし、俺も空もお互い好き合っている。何とも不思議な関係だ。
「空~、俺の事好き?」
「だーいすき♡」
ニッと笑って即答するチャラ男。俺はキスしたくなったのをグッと堪えて、空の手を握った。
俺のその行為に驚いたのか空は間抜けな顔をしていた。
「えっ貴哉!コレ大丈夫なのか!?」
「少しぐらい平気だろ♪」
本当は伊織に見つかったら怒られると思う。じゃなくても、伊織のファンとかが見てチクる可能性もある。それでも俺は空とこうしたかったから手を握ったんだ。
空とは付き合ってないけど、空の事も伊織と同じぐらい大切にしたいと思っているからだ。
「貴哉♡ちゅーは少しにはならないかなぁ?」
「ならねぇよ。てか俺も我慢してんだから言うなっ」
「えっ♡貴哉もしたいのー!?じゃあしようよー♡」
「馬鹿か!?出来る訳ねぇだろ!伊織が怒るとかじゃなくて場所を考えろ!」
「じゃあ土曜日しよ♡」
「お前なぁ……そういう浮気発言を堂々と言うなよ。ここ学校なんだから、誰がどこで聞いてるか分からねぇんだぞ」
「俺は聞かれてもいいと思ってるぜ♪てか桐原さんもそうだっただろ?俺と付き合ってるのに平気で貴哉に手を出してたじゃん。あの人、演劇部に仮入部する時の挨拶で、貴哉の事俺のだからみたいな事言ったんだろ?自分がして来た事をやられて少しは思い知れっての!」
「怖っ!お前性格悪くなって来てねぇか?」
「桐原さん程じゃねぇし!……とにかく俺は堂々とするよーん♡そんでいつか貴哉を取り戻す!」
「はは、もしそのいつかが来たらさ、しようぜ同棲」
「……っうん!約束だからな!」
俺がずっと言いたかった事を言うと、空は目を潤ませて大きく頷いた。
また金貯めるかなー?お互いの高校卒業後はどうなるかなんてまだ分からねぇけど、そういう楽しみもあってもいいと思うんだ。
他の誰かじゃなくて俺が空の支えになってやりてぇ。もし今空に他の男が出来たら殴っちまいそうだ。女だったら殴れねぇから別れろって脅すか?
空と話しながら屋上への階段を登る。その間も俺と空はずっと手を繋いでいた。まるで別れてから離れていた時間を埋めるように。
多分伊織はもういるだろうなー。俺と空、話してて少し遅れたし。
「はぁ、さすがにそろそろ手は離すか」
「いいんじゃない?このままでも」
「いや、面倒くせぇじゃん」
伊織の事だから絶対気にするだろ。
名残惜しいけど、俺から空の手を離してやった。
「何が面倒くせぇの?」
「何がってそりゃ伊織が……あれ?今の空が言ったんだよな?」
何か違和感を感じて空を見ると、気まずそうな顔で階段の下を見ていた。どうやら今の質問は空がしたんじゃないらしい。良く考えたらもっと低くて聞こえて来た方向も空が見る方から……
「あ!伊織!?」
「仲良くし過ぎじゃね?やきもち焼いちゃうよー?」
声の主は一番見られちゃマズい伊織だったんだ。
ええー!てかもう先に屋上にいるものだと思ってたぜ!
ニコニコ笑ってっけど、絶対怒ってんじゃん!め、面倒くせぇ事になっちまったぜ!
10
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

女神の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界でオレは愛を手に入れる。
にのまえ
BL
バイト帰り、事故現場の近くを通ったオレは見知らぬ場所と女神に出会った。その女神は間違いだと気付かずオレを異世界へと落とす。
オレが落ちた異世界は、改変された獣人の世界が主体の乙女ゲーム。
獣人?
ウサギ族?
性別がオメガ?
訳のわからない異世界。
いきなり森に落とされ、さまよった。
はじめは、こんな世界に落としやがって! と女神を恨んでいたが。
この異世界でオレは。
熊クマ食堂のシンギとマヤ。
調合屋のサロンナばあさん。
公爵令嬢で、この世界に転生したロッサお嬢。
運命の番、フォルテに出会えた。
お読みいただきありがとうございます。
タイトル変更いたしまして。
改稿した物語に変更いたしました。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる