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1章 二学期中間テスト
パンケーキお待たせいたしました〜!
しおりを挟む俺の質問に先に答えたのは伊織だった。変わらない笑顔のままサラッと答えた。
「俺は仲良くしてぇよ?でも早川がそうでもないみたいなんだ」
「えっ伊織、空と仲良くしてぇの?」
「間に受けるなよ貴哉。この人は遠回しに言うのが好きなんだ。本当は俺の事邪魔で仕方ないんですよね?」
「さすが学年二位だな。良く分かってんじゃん♪頭が良いんだからさっさと手引いてくんねぇかな?」
「はぁ、勉強は関係ないですよね。俺これでも一応遠慮してるつもりですけど?」
「はは!生意気だな~。まぁこれぐらい来てくれた方が俺もやりやすいけどな。もう率直に聞くわ。お前らヤッたのか?」
伊織の突然の質問に凍り付く空気。てか場所考えろよ!他にも客いるだろ!
うわっタイミング悪く飲み物届けに来た店員の姉ちゃんなんか、顔赤くして固まっちまってるじゃねぇか!
「ホットコーヒー二つとアイスティーです!パンケーキはもう少々お待ち下さいっ」
「あー、はい。なんかすんません」
ここで俺はある事に気付く。俺の前にはアイスティー。伊織にはホットコーヒー。そして何も頼まなかった空にもホットコーヒー……あ!伊織が二個頼んだのって空の分だったのか!
「伊織~♪お前なんだかんだ優しいのな♪」
「?」
俺がニヤニヤしながらアイスティーにガムシロを入れてると、伊織は不思議そうな顔をして見てた。
空は目の前に置かれたコーヒーに手を付ける事なく伊織を真っ直ぐに見て喋り出した。
「桐原さん、結論から言います。俺と貴哉はヤッてません。俺が無理矢理しようとしましたけど、拒否られたので断念しました」
「空っ」
「本当か?それ嘘だったらどーすんの?てか無理矢理しようとしたってだけでも許さねぇけど」
「嘘だったら俺を殴っていいです。気の済むまで」
「ふーん。貴哉、どうなの?早川は本当の事言ってんの?」
今度は俺に聞いて来た。
口調は普通だったけど、さっきまでの笑顔は無くなっていて、俺にまで冷たい目を向けていた。
確実に怒ってる!
俺は何て答えるのがいいんだ?
空には本当の事を言うなと言われてるし、伊織には本当の事を言わないと嘘がバレたらとんでもない事になる。
何だよこれぇ!今日やったテストより難しいじゃねぇか!
「あのさ、伊織はどっちにしろ空を許さないんだろ?なら俺は?俺の事は許すのか?」
「もし早川が言う事が本当なら油断すんなって叱る。嘘だったら……貴哉には怒らねぇかな」
「んん!?何で!?」
「ムカつくけど、正直今回のが嘘だったとしても水に流そうと思ってるよ」
えっ?どういう事だ?
怒ってるけど、怒らないって事か?
嘘だったとしてもってのは、俺と空がセックスしてたとしてもって事で合ってるよな?
伊織の言葉に俺よりも空が早く反応した。
「どういう事ですか?ちゃんと説明してくれませんか?」
「俺は貴哉の気持ちを大切にしようと思ってんだ。貴哉がしたいならすればいい。それに、早川の事も殺したいぐらいムカついてる訳じゃねぇよ。気持ち分かるから。貴哉に相手がいても手を出したくなるってやつ」
「伊織……」
「そんな綺麗事言って、今だけなんじゃないですか?俺達に本当の事を言わせる為の」
「そうかもな。貴哉には嘘つかれたくねぇからな」
ニッと笑う伊織を見て俺は罪悪感でいっぱいになった。こんな気持ち今までにたくさん味わってきたのに、俺はまた同じ事を繰り返して……
伊織が言った事を間に受ける訳じゃねぇけど、俺はもう嘘をつきたくなかった。
怒られるとかそう言うのはどうでもいい。
伊織が俺の事を考えてくれているって言う気持ちを裏切ったみたいですげぇ悲しくなった。
どうりで最近甘やかしてくれる訳だ。
伊織は伊織なりに考えてくれてたんだ。ただ俺の気を引くだけじゃなくて、自分も変わろうとしてたのかも知れない。
「伊織、ごめん。俺、空とした」
「貴哉!」
「だろうな。どうせ早川が自分が犠牲になるからとか言ったんだろ?」
「はは、やっぱ伊織はすげぇな。全部分かっちゃうんだもんな」
「ああ、お前らの事なら良く分かる」
「俺から空を誘ったってのも?」
「……は?」
「パンケーキお待たせいたしました~!」
タイミングが良いのか悪いのか、俺が頼んだパンケーキがテーブルに置かれてしばらく沈黙が流れた。
どうやらこれは伊織にも分からなかったらしいな。そうだ。俺は伊織が思ってるよりも酷い男なんだ。
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