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1章 二学期中間テスト
嵌めてあげる♡
しおりを挟む今俺は伊織に連れられて、俺は初めてアクセサリー屋に来ていた。それも大人の!
商品はどれもガラス張りのケースに入っていて、等間隔にちょこんと指輪とかネックレスなどが綺麗に並んでいて、値段を見て俺は目が飛び出しそうになった。すげぇキラキラした店。ここは俺達のような制服を着た高校生が来て良い店じゃねぇって俺でも分かる。店員もどこかの高級ホテルの人かってぐらい綺麗な身なりしてて、俺達が入ると丁寧にお辞儀をして来た。
「貴哉、どれがいい?好きなの選んでいいぜ♪」
「好きなのって、無理だ!俺こんなとこ来た事ねぇもんっ」
「俺は来た事あるから平気だって。ここの店員も俺の事覚えててくれてるし」
「でも、俺達男同士だぞ?お前はいいのかよ?」
「えー、貴哉となら全然気にしねぇよ。貴哉が気にするなら俺だけで買って来るけど?」
「…………」
「俺も貴哉とお揃いのペアリングはいつかは欲しいと思ってたんだ♡まさか貴哉から言われると思ってなかったからめちゃくちゃ嬉しいんだ♪」
「伊織……」
本当に嬉しそうに目を細めて笑う伊織に、俺の心は罪悪感のズキズキからいつも感じてるドキドキに変わっていった。
伊織がそう言うなら俺も腹を括るか。伊織が喜ぶなら、嘘も本当にしてやる!
「分かった!お前がそう言うなら好きなの選ぶぞ♪後で文句言っても受け付けねぇからな♪」
「おうここには俺が文句言うようなもんはねぇから大丈夫だ♡」
俺と伊織は二人でショーケースに並ぶキラキラ輝く指輪を見ながら話して、結局こういうのは良く分からねぇから俺が飾りがないやつって言って伊織が決めてくれた。そして伊織が選んだ指輪の値段を見てまた目玉が飛び出そうになった。
もう伊織には何を言っても言い返せねぇ事言われるだけだから黙ってる事にした。会計も当たり前かのように伊織がしてくれた。
絶対俺には払えない額だから、正直気まずかったけど、伊織なら請求してくる事はねぇだろ。
あー、何か伊織が支払いするのが普通になってるのが怖ぇーわ。
小さな紙袋を受け取って二人で店を出る。
平日の、それもテスト期間中に何やってんだ俺らって改めて思った。
こんな高校生いねぇだろうよ。
伊織と付き合ってると、こういう事の感覚の違いに少し戸惑う事はあるけど、伊織が楽しそうにしてるから俺はそのままでいた。
「貴哉~何食うー?」
「パスタ食いたい」
「お、珍しい~!んじゃ昼飯行きますか♪」
こうやって俺がやりたい事とか言うと何でも叶えてくれる男。
伊織とこんな風に付き合ってるなんて母ちゃんが知ったら怒るだろうなぁ……いや、俺を大切にしてくれてるから喜ぶか?どっちにしても言えねぇけどな。
俺と伊織は昼飯を済ませて最後のテスト勉強をする為に俺んちへ向かった。
俺の部屋に入ると、伊織はさっき買ったペアリングが入った紙袋を渡して来た。値段が分かってるからすげぇ重く感じるわ……
「勢いで買っちまったけど、貴哉が何かを欲しがるなんて珍しいから買って良かったなと思ってるぜ。付けてみようぜ」
「……うん」
俺はベッドの端に座って、紙袋から綺麗にラッピングされた小さい箱型の物を取り出して開封して、パカっと蓋を開くと、さっき買ったばかりの指輪が並んで入っていた。
うわぁ、こういうの初めてだから何か緊張する!俺の希望通り何も付いてない、柄もない細めのシンプルな指輪だった。こ、これがペアリングか……
「嵌めてあげる♡」
「っ……」
伊織は俺の隣に座って来て、俺が持ってる箱から一回り小さい方の指輪を取って、俺の左手の薬指にそっと嵌めてくれた。やべぇ、これ恥ずかしいぞ!?
俺が照れて何も言えずにいると、伊織はそのまま優しくキスをして来た。
「……俺と結婚して下さい♡なんつって♡」
「バッ!お前なんつー事言ってんだぁ!」
「あはは♪貴哉顔真っ赤~♡」
笑いながら自分のも同じく左手の薬指に嵌めて嬉しそうにそれを見ていた。
誰かとこういう事をするのは初めてだったけど、思ってた以上に恥ずかしいものなんだな。
「コレさ、見た目はシンプルだけど、裏側に小さいダイヤ付いてるんだぜ?」
「嘘!そうなのか!?失くしたらどうしよう……」
「ずっと付けてりゃ失くさないだろうけど、外さなきゃいけない時もあるからな。これも買っておいたから良かったら使ってよ」
そう言って伊織は自分の鞄からペアリングが入っていた箱と同じデザインの長方形の箱から何も付いてないネックレスを取り出して俺に渡して来た。コレと指輪がどう関係あるんだ?
「指に嵌められない時はこのネックレスに通して首に下げてよ♪そうすりゃずっと一緒だ♡」
「そう言う事か!伊織すげぇな♪」
「貴哉とペアリング嬉し過ぎ♡なぁ、やっぱ明日の夜とか会いてぇなぁ♡何時まで遊んでるの?」
指輪を嬉しそうに眺める伊織を見て、俺も何だか嬉しくなった。このペアリングのおかげか俺と伊織の距離がまた近付いたような感じがして、こういうのも悪くねぇなとか思った。
「時間は分からねぇけど、夜なら会えると思う。伊織、指輪ありがとう。大事にするな♡」
俺が素直に思った事を言うと、伊織はとても嬉しそうに笑ってキスをして来た。
伊織のキスをそのまま目を閉じて受けていると、ギュッと抱かれて、ベッドに倒された。
あ、伊織ヤリてぇんだ……
「明日まで待てない♡」
「いいけど、終わったらちゃんと勉強も教えてくれよ?」
「貴哉♡愛してる♡」
「俺も愛してる♡」
その後俺と伊織はベッドの上で深く愛し合った。
こりゃ伊織を裏切るなんて出来ねぇな。
明日空と二人きりで会うのはやっぱり辞めといた方がいいだろ。誰か誘ってせめて三人だ。じゃないと、この指輪を見る度に後悔しそうだから……
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