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1章 二学期中間テスト

デートなら土日に出来るじゃん!

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 次の日の朝、俺は伊織と歩きながら昨日の夜の出来事を話していた。空の家の事やバイトの事は伏せて、ちゃんと仲直りして友達になったと伝えた。
 伊織は初めは無表情のまま話を聞いていたけど、俺が話し終わると、大きなため息をついた。


「はぁ、連絡ねぇと思ったらそんな事してたなんてな」

「言わなかったのは悪かったよ。でも言ってたらお前も来てただろ?」

「行くだろ。だって元彼だぞ?しかもそんな時間に会うとか嫌じゃん」

「悪かったって……なぁ、これからも空と会うのはダメか?本当にやましい事はしてないんだぞ?」


 俺より背の高い伊織を少し見上げて聞いてみる。伊織はムッとした顔のまま俺を見た。
 そして苦笑いしながら俺のほっぺをムニっと摘んで来た。痛え!何だいきなり!?


「いっ!?」

「その上目遣いズリィぞ~?そんな可愛い顔で頼まれたら聞いてやりたくなるだろ」

「上目遣いだぁ?そんなのしてねぇし!んでも聞いてくれんなら嬉しい♪」

「なぁ、やましい事してないって証拠あんの?」

「……ないけど?」

「正直か!いやいや、キスとかしてたら俺分かんなくね?」

「確かにな。そこは信じてもらうしかねぇよ」

「うう、信じられねぇ」

「じゃあ内緒で会うぞ」

「それはダメ!分かったよ。信じるよ」


 伊織は渋々折れてくれた。
 やったー♪なんか伊織がすげぇ甘やかしてくれるぞー♪今なら何でも聞いてくれそうだなぁ♪


「なぁ伊織~!明日のテスト終わったら空と……」

「ああ?明日のテストの後が何だって?」


 すかさず睨まれた。
 こ、怖ぇ~!
 でも空と、って俺が無理矢理約束しちまったしなぁ……あ、他にも誰かいるって言えば良いや!


「空と、瑛二と遊びてぇんだけど、ダメ?」

「瑛二?誰だよそれ?」

「うちのクラスの奴!ほら、紘夢に命令されて俺達の写真ばら撒いた奴だよ」

「ああ、ってか仲良くなったのかよ?」

「瑛二良い奴だぜ?特に特徴ねぇけど」

「ふーん。でもなぁ、明日は俺も貴哉を誘いたかったんだよな~」

「デートなら土日に出来るじゃん!お願い!」


 俺は両手を合わせて頼むと、伊織はフッと笑って頭を撫でて来た。おっ♪これは良い反応だ。


「分かったよ。行って来い。土曜は空けとけよ?」

「やったー♪伊織大好き!」


 俺は嬉しくて伊織に笑いかけると、伊織も優しく笑ってくれた。
 今すげぇ調子良い気がする!
 この勢いでテストも片付けるぞー!



 伊織に送ってもらって、機嫌良く教室に入り、早速瑛二の元へ向かう。
 瑛二は笑顔で「何?」と首を傾げていた。


「なぁ明日テスト終わった後遊ぼうぜ~♪」

「明日……ごめんっ!せっかく誘ってくれたけど、明日はお母さんと出掛ける予定があるんだ……親戚の家に行かなくちゃいけなくて、あ、秋山くん、本当にごめんねっ」

「なっなっ何ぃ~!?」


 これは予想していなかったぞ!
 絶対瑛二なら笑顔で付いてくると思ってたのに!
 マズイ!伊織には瑛二も行くって言っちゃったぞ!

 こうなったら誰でも良い!誰か適当に誘って連れて行くしかねぇ!
 俺はクラス中を見渡して声を掛けようとした。
 いや待て?空んちに行くんだぞ?誰でも良い訳ねぇよな?空は家の事知られたくなさそうだし。
 くそー、瑛二の他に適任なのって誰だよぉ!


「貴哉♪おはよう♡」

「あ!空ぁ!」


 いつものユルダボカーディガンを羽織った空登場!ニコニコ笑顔で、昨日と様子は変わってねぇみたいで少しホッとした。
 空の態度がコロコロ変わるのって俺にとって少しトラウマかもしれねぇ。


「どした?慌ててるな」

「どうしたもこうしたも、明日お前んち行くだろ?朝伊織に許可貰ったんだけどよ、瑛二も行くって言っちまったんだ!でも瑛二は予定あるから無理だって!」

「え?明日ぁ?確かにテスト終わったらって言ってたけど、明日来るのかよ?」

「俺は勝手に明日だと思ってたぜ?テスト終わるの明日じゃん」

「まぁいいや。桐原さんは他に誰かいれば俺と会うの許してくれてる感じ?」

「そうなんだよ~。瑛二に確認する前に咄嗟に言ったまったんだ。なぁ、空は家に誰から連れてって平気?」

「いや、誰も連れて行きたくねぇよ。来て欲しい訳じゃないのに何でわざわざ家に来てくれなんてお願いしなきゃいけねぇの」

「何でって俺が空んち行きたいからだ♪」

「桐原さんには瑛二も行くって言ったままでいいじゃん。実際見に来る訳じゃないんだろ?」

「でももし二人きりなのがバレたらどうするんだよ」

「貴哉、そういうの気にするなら俺とは会わない方がいいって。あ、別に突き放してる訳じゃないからな?桐原さんに気を使うぐらいなら疑われるような事はしない方がいいぞって事」

「やだ!俺は空と遊びたい!」

「やだって……可愛いすぎ♡ねぇ、ハグしていいー?」


 両手を広げて抱きつこうとしてくる空から逃げるように自分の机に戻る。
 さすがにそれはマズいだろ!
 すっかり元に戻ったのは嬉しいけど、気を付けないと伊織の逆鱗に触れるな。空が相手だと俺も嫌じゃねぇから受け入れちまいそうで危ない。
 なるべく友達として振る舞わなくちゃな!

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