61 / 82
4章 空のバースデーパーティー
※ 一条さんてばどこまでやるつもりなんだろ
しおりを挟む※空side
一条さんちに着くと、昨日と違う庭の風景に俺と貴哉は圧倒されていた。
一条さんが庭に簡易キッチンを設置すると言ってたけど、本当に設置されていたんだ。
広い庭の周りを囲うように何ヶ所かに設置されていて、至る所に椅子とテーブルも設置されていた。
庭の奥にはテニスコート、その横にちょっとしたステージも設置されていた。
何かのフェスかイベントのような光景だった。
「すげぇ!昨日より豪華になってんじゃん!」
「一条さんてばどこまでやるつもりなんだろ」
俺と貴哉は一条さんに会おうと家の中に入る。
ううっ、ドアップの自分の顔に出迎えられるって気まずい気分だな。
中に入ると、昨日用意されていたテーブルに綺麗なお姉さんさんが座っていた。
そして俺達を見てニッコリ笑ってテーブルの上の紙を指した。
「ようこそ早川空誕生パーティーへ。こちらへお名前と連絡先のご記入お願いします」
「あ、はい」
受付の人まで雇ったのかよ!?
一条家ってどんなけすげぇ誕生パーティーやってんの!?
俺は言われるがまま紙に記入すると、綺麗なお姉さんは笑顔のまま穏やかに言った。
「まぁ、早川様ご本人でいらっしゃいましたか。本日はおめでとうございます。今日一日受付を担当させていただきます、白鳥と申します。どうぞよろしくお願い致します」
「ありがとうございます……こちらこそよろしくお願いします」
「何照れてんだよ空~。さっさと中に行くぞ~」
全く知らない綺麗なお姉さんに祝福されて気分も良くなったな。
貴哉も書いたのか、俺より先に部屋の中に入って行った。
一番広い部屋、ダイニング兼大広間に行くと、昨日見た通り、壁の至る所に俺のデカい写真、デカいスクリーンの下にステージ。ちょこちょこ用意された既にたくさんのご馳走様が乗ってるテーブル。そして俺たちが用意した色とりどりの風船や花が飾られていた。
そして何人かの知らないウエイターやウェイトレスのような格好をした綺麗な人達が行ったり来たりして続々と食べ物や飲み物を運んでいた。
「やば!俺達異世界に来たみてぇだな!」
「この先こんなの経験出来ないだろうな」
俺と貴哉がしみじみ思っていると、動いてる人達に指示を出していた一条さんが気付いて近寄って来た。
一条さんはグレーのカジュアルスーツを着ていて、髪もビシッと整えられていて如何にも出来る男って感じがした。それでも元々人当たりの良さそうな甘い顔をしているから、いつものように接する事が出来た。
「二人共早くこっち来て~!もうみんな来ちゃうから~!」
「え?何々?何があんの?」
「何って君たちは主役なんだから着替えるんだよ!」
実は俺は知っていた。昨日衣装合わせで一条さんにいろいろ着替えさせられたからな。
でも貴哉は知らなかったみたいで、さも面倒くさそうな顔をしていた。
これは俺の提案だ。俺も着替えるなら貴哉も一緒に着替えたい。そう言ったら一条さんはノリノリでオーケーしてくれた。
「俺はちげぇだろ。俺ここにいるからお前ら行って来いよ」
「いいから早く来ーい!!」
「いてて!引っ張るなよっ」
嫌がる貴哉を一条さんが引っ張って衣装部屋に連れて行こうとする。
頑張れ一条さん!
豪邸の二階にある一室まるごと衣装部屋になっていて、そこには一条さんが事前に用意した俺達用の衣装の他にも少し古そうな洋服達も眠っていた。きっと前の住人の物だろう。一条さんのお祖父さんとお祖母さんのだ。
この家にはそういった古い物がたくさん置いてある。どれも高そうでなるべく触らないようにしてるけど、俺からしたら博物館みたいだ。
一条さんに連れられて俺は昨日選んだ衣装のタキシードに着替える。もう一条さんに反論しても無駄だからな。大人しく従う事にしている。俺のタキシードは白なんだけど、光沢があってめちゃくちゃ派手で恥ずかしかった。白のシャツにこれまた光沢のあるベスト。そして青いネクタイを締めさせられた。
改めて鏡で着飾った自分を見てみるけど、悪くないと思う。うーん、俺って何でも着こなしちゃうな~。
軽く髪をいじってたら、貴哉達の方から騒がしい声が聞こえて来た。
俺は貴哉の衣装が何なのかは知っている。
俺と一条さんで選んだ貴哉に似合いそうな奴だ。
見てみると、上半身を脱がされて必死で抗議している貴哉と、下も脱がそうとしている一条さんが格闘しているところだった。
「てめぇ!人で遊んでんだろ!?何で俺がそんなの着るんだよ!」
「貴ちゃんには絶対これが似合うのー!せっかく用意したんだから大人しく着ろっての!」
貴哉に用意されたのは青色の紋付袴。誰がどう見ても日本男性の象徴と言える立派な正装だ。
黒髪で綺麗な顔をしている貴哉には絶対似合うと思って選んだんだけど、どうやら抵抗してるみたいだな。
「貴哉~、俺はもう諦めて着たんだから貴哉も着ちゃいなよ」
「空!お前何かっこよくなってんだ!てか俺は私服でいいだろうが!」
「え♡俺かっこいい?似合う?嬉し~♡」
「空くん、髪もスタイリストにやってもらうから先に隣の部屋でやってもらってて!俺はこの暴れ馬を何とかするから!」
ゼーバーゼーハーと息を荒くする一条さんの滅多に見れない姿に驚いた。俺は大人しく言う事を聞く事にした。
言われた通り隣の部屋へ行き、中にいたスタイリストさんに軽く挨拶をして指定された椅子に座る。
髪をいじったりいじられたりお洒落になるのは好きだからこれは楽しみだった♪
今日はタダでプロがやってくれるから特にな♪
俺が終わる頃には貴哉も着替え終わってるといいな。
あの二人のやり取りを想像して俺はワクワクしていた。
10
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ
pino
BL
恋愛経験0の秋山貴哉は、口悪し頭悪しのヤンキーだ。でも幸いにも顔は良く、天然な性格がウケて無自覚に人を魅了していた。そんな普通の男子校に通う貴哉は朝起きるのが苦手でいつも寝坊をして遅刻をしていた。
夏休みを目の前にしたある日、担任から「今学期、あと1日でも遅刻、欠席したら出席日数不足で強制退学だ」と宣告される。
それはまずいと貴哉は周りの協力を得ながら何とか退学を免れようと奮闘するが、友達だと思っていた相手に好きだと告白されて……?
その他にも面倒な事が貴哉を待っている!
ドタバタ青春ラブコメディ。
チャラ男×ヤンキーorヤンキー×チャラ男
表紙は主人公の秋山貴哉です。
BLです。
貴哉視点でのお話です。
※印は貴哉以外の視点になります。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる