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3章 年下の友達

※ 俺、類に隠してた事があるんだ

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 ※双葉side

 怒っていたのは俺の筈なのに、今は類の方が怒ってるって見て分かった。類の苛ついてる姿を見た周りの人達が見て来て、それが嫌だったのか類は俺の腕を引いて歩き出した。


「こんな目立つ所で最悪」

「離せっ!」

「うるせぇ!俺に命令すんな!」

「っ……」


 あのいつも穏やかに喋る類に荒々しい言葉を吐かれて俺は黙って付いて行くしかなかった。
 こんな類は知らない。
 類もこんな風になるだ……

 類はしばらくしてキョロキョロして小さな公園のベンチを見付けた。
 そこに俺を座らせて自分は地面にしゃがみ出した。
 は?何?


「ほら足見せろって。怪我見てやる」

「いい!もう痛くない!」

「だぁ!もう!言う事聞け!」


 イライラしてるのか、嫌がる俺を無視して無理矢理俺の右足を掴んでズボンの裾を捲り出した。
 なんて強引なんだ!


「んー、何ともなさそうだな」

「だからもう平気だって!」

「だって歩き方変だったし心配じゃん」


 俺の右足をパッと離して見上げて来る類は、いつもの類に戻っていた。
 ニコ~っと笑って俺の隣に座った。


「……なぁ、本当にお前がやらせたんじゃないのか?」

「違うってば。双葉と話さなくなってから周りにどうしたんだって聞かれたけど、別に俺は何も言ってねぇよ?双葉とは意見の食い違いでそれぞれ独立したって話しただけ」

「独立……そうだったのか。疑って悪かった」

「もー!俺とお前の仲なのにショックだぜ~」

「……ごめん」

「もういいよ。それよりもこの前の態度は何だよ?それ聞きたかったんだ」


 もうすっかりいつもの類だった。
 いつもの笑顔で、いつものように俺の隣にいた。
 俺は数日離れただけなのにそれが懐かしくて、つい心を許しそうになる。

 もう貴哉との事を話してしまおうか。
 俺と貴哉が既に接触してるって知っても類は何とも思わないかも知れない。
 貴哉が不幸になるような事はしないで欲しい。俺が頼めば聞いてくれるかも知れない。

 今の類ならと俺はつい期待してしまった。


「結論から言うと類の他に太陽を見付けたんだ」

「はい?太陽ぅ?」


 素直に話すと、類は思い切り顔を歪めて言った後に、腹を抱えて笑い出した。
 せっかく正直に話してるのにっ!


「ギャハハ!いきなり何!?お前って天然なとこあるけど意味分からな過ぎ!あー面白っ!」

「馬鹿にするならもう話さないからな」

「だってお前が面白い事言うから!あはは!」


 まだ笑う類にムスッとする俺。
 でもこれが俺達だった。
 いつも笑顔の類と、無表情の俺。
 これで成り立つ関係。それが俺達だった。


「あー、笑った♪で?俺の事太陽だと思ってたの?」

「いや、そこはどうでもいいんだけど」

「だってウケるじゃん♪太陽とかっ!ちょっと待って、また笑っちゃいそう♪」

「塾行く」

「待って!もう笑わない!最後まで聞かせて?」


 笑い過ぎて出た目尻の涙を拭きながら俺の話を聞こうとする類。
 俺も類とこうしてるのは嫌じゃない。
 塾には全然間に合う時間だ。


「俺、類に隠してた事があるんだ」

「何ー?」

「城山の文化祭で秋山貴哉に会ってるんだ俺」

「うっそ!?いつ!?マジで!?」

「帰る直前にはぐれた時に。初めは貴哉だって知らなかったんだ。話してて、名前を聞いてそこで分かった」

「へー、何で隠したんだ?別に言ってくれても良かったじゃん」


 類はいつもと変わらない感じだった。
 俺が隠してた理由は気になるみたいだけど、嫌な顔しないで普通に話していた。


「太陽だから」

「……あのさ、その太陽ってのやめない?絶対笑わせようとしてるだろ?」

「真面目に言ってる」

「あ、続けてくださーい♪」

「貴哉と話して普通に興味が湧いた。まるで類と初めて会った時みたいに。類以外に興味が湧いたの初めてだよ」

「ふむふむ。貴哉も特殊だからな~」

「そんで、月曜日に類と会う前に偶然貴哉と会ったんだ。そん時類に体調悪いって言って二人で遊んだんだ」

「はぁ!?マジかよ!あん時仮病だったのか!」


 俺が全てを打ち上けると、類は驚いたり笑ったり忙しそうだった。
 どこまで許してくれるかは分からないけど、全部話すつもりだった。

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