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3章 年下の友達
※ 何て言えば貴哉に好かれるんだ?
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貴哉に会いに行った後、塾に行った。
本当は今日は休みだけど、城山を目指す事にしたから通う日数を増やす事にしたんだ。
元々高校には行く気だったけど、どこでもいいやと適当に考えていたんだけど、類と遊び過ぎていたせいで学校での成績が落ちている。
もう受験まで日数も無いけど、基礎は頭にあるから後は今までサボって来た分を詰め込むだけだ。
類は高校へは行かないと言っていた。
だけど、貴哉に再会し、赤い髪の男を手に入れるという目標が出来てから城山に行くと言い出した。その時に都合が良いからと俺も受けろと誘われたけど、その時は断った。
今の俺には城山を受験するにはハードルが高かったし、無難に受かりそうな良くも悪くもない高校を受験するつもりだった。
でも決めた。貴哉がいる城山を目指そうと。
類には言っていない。ちなみに類なら城山に余裕で受かるだろう。
何てったってあいつは一年の頃から学年首位をキープしているからな。学校での生活態度も、明るくて活発な人気者の生徒としてキャラが作り上げられてる。だからたまに休んだりしても特に言われないでいた。
そんな類が高校を受験するってなって学校は大騒ぎだ。担任は勿論、周りも大喜び。みんなで類を応援していた。
俺だって絶対に受かってやる。
幸い成績や順位は落ちたものの、テストはちゃんと受けていたので上位にいる事は出来ていた。
後はもう休まずに真面目に学校生活を送り、ひたすら勉強をすれば何とかなるだろう。
「……お腹空いた」
夜の10時前に塾が終わり、俺はコンビニで何かを買って帰ろうと立ち寄る。
あ、肉まん売ってる。帰ったら夕飯あるだろうからこれぐらいがちょうどいいかもな。
俺は肉まんをひとつ買ってコンビニの外で食べていた。
その間に塾を終えた奴らが仲間達と仲良さげに目の前を通り過ぎて行った。
みんな楽しそうに笑いながら。
おかしいな。この前まではそんな光景になんか興味すら湧かなかったのに、今ではあいつらは何を話してあんなに笑っているんだろうとか考えてしまう。
でも、あいつらに興味がある訳じゃない。
あいつらみたいに笑い合える相手が隣にいる事が羨ましいんだ。
俺も貴哉の隣を歩いてあんな風に笑い合いたい。
肉まんを食べ終わったからゴミを捨てて帰ろうと歩き出す。
帰ったらお風呂に入って夕飯を食べたら塾でやった事を復習しよう。
サボり過ぎた分、1日1日が貴重に思えた。必ず合格して貴哉の側にいてやるんだ。そして類から守ってやりたい。
ああ、貴哉に会いたいなぁ。
今日会いに行って城山を受験するって報告した時、喜んでくれたな。そしたら同じ部活にって言ってくれた。
でも、類の事を苦手だと思ってたのは意外だった。俺はてっきり仲が良いのだと思い込んでいたから。
でも、それならそれでやり易い。貴哉が類と会いたくないと思っているなら会わせないように守ってあげればいいんだ。
俺は既に類に協力するつもりは無かった。
朝の時点では俺がやらないなら他の人にとか言い出すから再び引き受けたけど、こうなったら俺が類を説得しようと思う。
もう人を不幸にするような事は辞めようって。
俺が言えば類は分かってくれるはずだ。今まで俺が言いなりになって来たせいもあるんだ。
家に着く少し前に俺はスマホを出して貴哉のメモリを表示させる。
通話ボタンを押せば貴哉に繋がる。
少しだけ、声を聞くだけいいよな?
家の近くにある小さな公園のベンチに座って貴哉に電話を掛ける。
しばらく鳴ってから応答があった。
『おう!どうした!?』
貴哉の声だ♪声を聞いただけで嬉しくなり、電話越しなのに笑顔になった。
声を聞いただけなのに、貴哉って凄いなぁ。
「もしもし?今大丈夫ですか?」
『平気だけど?』
「いきなりごめんなさい。声が聞きたくて」
少し恥ずかしかったけど、貴哉なら受け入れてくれると思ったから言えたんだ。
そしたら貴哉は……
『なぁ、お前って俺の事好きなのか?』
「…………」
『何で黙るんだよ?聞いてるのかー?』
意外だった貴哉からの質問に俺の思考は一瞬止まった。
何でいきなりそんな事を聞くんだ?
俺は何て言えば正解なんだ?
何て言えば貴哉に好かれるんだ?
貴哉の事は好きだ。
友達としてずっと側にいたいと思っているぐらいに。
それを言ってもいいのか?
気持ち悪いって思われないか?
俺は、何でこんなに悩んでるんだ?
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