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3章 年下の友達

時間掛けて知っていこうぜ~?

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 双葉と二人で観覧車に乗り込んだが、微妙な空気が流れていた。

 観覧車に乗る少し前から双葉の元気がないなぁとは思ってたんだけど、今俺が放った言葉に双葉はまた元気をなくしていた。

 あちゃー、俺やっちまった?
 俺って何も考えずに喋るらしいからなぁ。
 んでもそんな俺に慣れてもらわねぇと俺がつまんねぇしなぁ。

 相手が伊織とか空とかいつもの奴らなら大して気にしねぇけど双葉は年下だし、良い奴だからなぁ。
 はぁ、俺が大人になるしかねぇか。


「何気にしてんだよ。お前だって一緒にいて作り笑いされたら嫌だろ。一緒にいる奴には本当に笑っててもらいたいし、怒るなら怒ってもらいたい。何で作ったりすんだよ?」

「……だって」

「だって?」

「貴哉が、遊んでくれないって言うから……大嫌いって言われたから……」


 下を向いてポツリポツリと俺への不満を言い始める双葉。
 俺よりデカいくせに何だよその弱々しいのは!
 はぁ~、見た目は出来上がってってけど、やっぱり中学生なんだな!
 そんな双葉が可愛いく感じて俺はゴンドラを動かすなと言う双葉の言葉を無視して乱暴に双葉の隣に移動する。
 案の定俺達のゴンドラは大きく揺れて、俺でも少し怖かった。


「ひっ!揺れ過ぎじゃね!?」

「貴哉がいきなり移動してくるからでしょう!?」

「はは!でも楽しいな♪外見るのもいいけど、こういう楽しみ方もあるんだな♪」

「多分後者の楽しみ方は間違えてますよ……」

「何か言ったかぁ?」

「いいえ?」

「んで、何だったっけ?俺が嫌な事言っちまったんだよな?そもそも遊ばないとは言ってねぇだろ。お前は受験あるんだから遊んでばっかいねぇで頑張れよって事だよ。行き詰まったら遊んでやるよ」

「本当に?」

「本当だ。あとは、大嫌いってのか?あれはお前にそうなって欲しくないから言ったんだ。双葉の事は本当に良い奴だと思ってるから俺の嫌いな人間にはなって欲しくねぇの!分かったか?」

「……はいっ!俺、貴哉に好かれる人間になりたいです!」


 俺の言葉に元気良く返事をする双葉。
 可愛いなぁ♪素直で言う事聞くって、年下っていいじゃん♪
 元気になったっぽい双葉に俺は頭を撫でてやった。


「その意気だ♪これからも一緒に遊ぼうな♪そうだ、俺の連絡先教えっからいつでも連絡して来いよ。寝てたり面倒な時以外はちゃんと返すからよ」

「やったぁ♪ずっと貴哉の連絡先聞きたかったんです!嬉しいなぁ♪」

「お前ってば!本当に可愛い奴だなぁ♪」

「可愛い……それは言われた事ないですね。貴哉から見て俺は可愛いですか?」

「可愛いよ。俺って年下には嫌われる事多かったからお前みたいな後輩と仲良くなれて嬉しいんだ。だからもう俺の嫌がる事すんなー?」

「はいっ!絶対しません!誓います!」

「はは!良い子良い子♪」


 俺に年下扱いされてるのに、満足そうな双葉。
 素直だし、ちゃんとしてるし本当に良い子だ。
 俺が中三の頃とは大違いだな。俺は今と変わらねーけど。

 もう少しで地上に着く頃、すっかり元気になった双葉は、笑顔で話し始めた。


「貴哉、お互いまだ知らない事とかたくさんあると思います。それでも俺は貴哉ともっと仲良くなりたいです。貴哉にもいつかは俺の全てを知ってもらいたいです」

「おう。時間掛けて知っていこうぜ~?」

「はい。あと、何があっても俺を信じて下さい。俺は貴哉を裏切りません」

「ん?何大袈裟な事言ってんだ。まぁ信じてるよ」


 いきなりすげぇ事言い出すな。
 俺に何かあったら助けてくれるって事か?
 まぁ双葉なら頼りになりそうだし、期待しとくか。

 そして地上に到着して二人で遊園地を出て軽く飯食って過ごした。
 その間はとても楽しくいろんな話をして過ごした。

 俺の新しい友達は年下で、大人っぽい見た目してる癖に中身は人懐っこい子供。でも話してて分かるけど、俺より頭良いと思う。塾行ってるって言ってたしな。
 そんな奴だった。


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