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3章 年下の友達
※ こうして会えただけでも嬉しいのに
しおりを挟む※双葉side
駅前のマックでハッシュドポテトとホットコーヒーを買って店内を見渡す。俺のような学生はいなかった。当たり前か。普通なら授業受けてる時間だもんな。
ここで窓際に座る一人の男と目が合った。
黒髪の少し目付きのキツい、とても綺麗な顔立ちの男。グレーのパーカーに、カーキ色の上着。黒のスキニーに白いスニーカー。
まさかの人物に俺は嬉しくなり、自分から近寄っていた。
「貴哉!また会えましたね♪」
「あ!お前こんがり兄ちゃんか!」
「こんがり兄ちゃん……双葉ですよ。浅野双葉。覚えて下さいね♪相席良いですか?」
相変わらずな貴哉に俺はとても楽しい気持ちになれた。
そして貴哉の座る空いてる椅子を指さして聞いてみる。
「双葉!そうだそうだ♪座れよ。お前も一人なのか?てか学校どうした?」
「今日は予定があったんで休んだんです。貴哉は?」
「最近の中学生はこんな堂々と休むのかよ。俺は振替休日~♪そうだ、時間あるか?ちょっと聞きてぇんだけどよ」
類から聞いてたから知っていた。でも、貴哉が一人でここにいる事は知らなかった。
だから俺はここで類に「ごめん。体調不良で家に戻る」とメッセージを送った。
今類がここに来たら貴哉とは楽しく過ごせなくなりそうで嫌だった。
だから俺は貴哉を選んだ。
類に嘘をついて、貴哉と過ごしたいと思った。
「いいですよ♪予定無くなったんで、貴哉に付き合います♪」
「無くなったぁ?そんな急に無くなるようなもんなのか?」
さすがに怪しまれたか?
いや、ここは自然にいこう。下手に嘘つくよりも本当の事を言っておいた方がいいな。
俺は類の名前を伏せて、約束をしていた事を伝える事にした。
「はい。友達と会う予定だったんですけど、どうやら忙しいみたいで。あ、貴哉は誰かと待ち合わせしてましたか?」
「いや、俺も一人だけど。なら一緒に遊ぼうぜ♪今遊び相手探してたんだよ♪」
「わー♪俺と遊んでくれるんですか?嬉しいなぁ♪こうして会えただけでも嬉しいのに」
貴哉からのお誘いに俺は本当に嬉しかった。
こんなにワクワクするのはいつ振りだろう。
まるで類と初めて話した時みたいに楽しい。
ごめんね、類。今日だけは許して。
俺ね、類の他にも仲良くしたいって思う人に会っちゃったんだ。
「んじゃあ、まずは俺の目的に付き合ってもらうぞ~。実は友達の誕生日に何渡したら良いのか分からなくてよ。何がいいと思う?」
「誕プレですか?そうだな~、その人が欲しい物を知ってるならそれが一番ですけど、その人ってどんな人ですか?」
「チャラ男!」
「えー、貴哉の友達にそんな人いるんですか?でも、そう言う人なら派手な物とか、インパクトある物とか喜びそうですね」
「確かにあいつ見た目は大事にしてるな~。派手でインパクトある物か~」
「そろそろ店が開く頃だし、見て決めるのも有りですよ。さぁ行きましょう♪」
あまりここに長居はしたくなかった。
類と待ち合わせしてたからもしかしたらここへ来るかもだからな。
なるべく遠くへ行かないと。
「そうだな。悪いな付き合わせて」
「全然平気です♪そうだ、貴哉は中華好きですか?俺の好きな中華屋さんあるんですけど、買い物終わったらお昼そこで食べません?隣駅の方なんですけど」
「中華か!いいじゃん♪」
良かった。ここから離れられそうだ。
それに貴哉も喜んでくれてる。
俺と貴哉は電車に乗って隣駅まで移動して、駅周辺の街をブラブラして誕プレを探した。
貴哉と初めて並んで歩くのはとても楽しい気持ちになる。
背は俺より低くて、一個だけど年上で、気の強そうだけどとても綺麗な顔している。
そして何より話していて楽しいんだ。一緒にいるこっちが明るくなれるような。貴哉が笑顔になる度に俺の心は踊った。
まるで類といるようだった。
類も一緒にいると明るくなれるぐらい楽しいんだ。だけど、最近は違った。
類が欲しがる人を手に入れる為に協力する度に俺はつまらなくなるのを感じていた。
だから類の前での俺は昔の俺に戻りつつあった。
無気力で何にも対しても興味の湧かないあの頃に。
だからかな、類以外の人にこんなに惹かれるのは。
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